ほぼにちわ。西本です。 湘南国際マラソンで10Kmを完走してから、 しばし、連載に間が空いてしまいました。 長い冬が終わり、桜も咲き始めた春。 「春だから、走ってみようかな?」 とお思いの方もいらっしゃるでしょう! というわけで久しぶりの更新です。
中年陸上部の大きな出来事といえば、 湘南国際マラソンの10kmからステップアップして 新宿シティハーフマラソンにエントリーしたことです。
新宿シティハーフマラソンは、 その名前のとおり、 東京・新宿区が舞台のマラソンです。 じつはは 2年前まで、10年以上新宿区民。 いまもわりと近くに住んでいるし、 「ほぼ日」のある青山からも遠くありませんから、 わりとなじみのあるエリア。 (伊勢丹もありますしね!)
スタートは、かの「国立霞ヶ丘陸上競技場」!
そう、1964年東京オリンピックのように ここの陸上トラックから出走です。 神宮外苑をぐるっと回り、 外苑東通りから四谷三丁目へ。 曙橋から防衛庁に抜けて、 靖国通りをまっすぐ伊勢丹方向へ。 かの「新宿二丁目」を左手に見ながら(朝ですけど) タカシマヤの手前で明治通りに入り、 北参道から千駄ケ谷駅方向に進みます。 これが1周目。 2周目は似たコースですが、 新宿通りから、普段は車両しか走れない 新宿御苑トンネルを抜けるというイベントが待っています。
エントリー時の目標は シェフ&べっかむ3が2時間30分で完走。 ぼくが1時間30分で完走。 それぞれ一応、目標タイムを 目指そうって話だったんです。
そう。10kmを完走したから、 次はハーフマラソンだ! と、ステップアップのつもりでね。 ところが‥‥。
そうは問屋がおろさなかった!
そうなんです。ふたりとも 湘南国際マラソンまでの練習で頑張りすぎて、 疲労がピークのところにレースが重なり、 そのあと、故障で走れなくなってしまったのです。
そうそう。あの時のUstreamでも配信されたけど、 スタート前にマッサージを受けたら 「よくこんなになるまで ほっときましたね」と言われてね。
ぼくも足底を痛めてしまって。 「足底筋膜炎に、すでに、なってますよ?」 と、マッサージの人に驚かれました。 そのあとは、朝起きて立ち上がるのもつらい状態に。 そういうにしもっちゃんも、 あのあと、たいへんだったんだよね?
そうなのです。 ぼくは11月にフルマラソンを走ったんですが、 3時間13分の自己ベストを出しながら、 直後に体調を崩して入院したんです。 それは腸の病気だったんですけど、 絶食治療で5日間点滴だけで過ごしたら、 筋肉がげっそりおちて、フラフラになっちゃった。 運動が出来るようになったのが12月の末。 ゼロからカラダを作り直しとなりました。
そんなわけで3人とも、 マイナスとまではいかないけど、 ゼロからのチャレンジとなったのが 1月末に行われた 新宿シティハーフマラソンだったんです。
で、結論から言ってしまうと、 ぼくは1時間31分でゴール。
よくやった!
えらいぞにしもっちゃん!
そして、ふたりは‥‥。
ぼくら? ぼくらは、13km完走!
え‥‥それは完走って言わないですよ‥‥。
そんなことないよ、13km走ったんだから たいしたもんじゃないか! 10kmより3kmも多い!
そうなのです。 まさかの13km地点で制限時間に間に合わず、 関門に引っかかってリタイヤしちゃったのです。
あれは、まさかのリタイヤだった‥‥。
説明するとさ、5kmの関門までは、 だいたい1km8分ペースでOK、っておぼえてて。 べっかむ3がiphoneでペースをチェックしながら 走っていたんだよね。
最初は1km6分半くらいまであがってたし、 その後も7分くらいで順調に走れていたからね。 最初の関門も余裕をもって通過したから、 途中で2人でトイレに寄ったんですよ。
で、ぼくはちゃっちゃっと済ませたんだけど、 べっかむ3が出てこないんだよね。 どうしたんだろ、おなか痛くなったのかなあと 心配して待ってたんだよ。
おなかは痛くなってないよ。
そうなんだよ! あんまり遅いから、 おかしいなあとのぞいてみたら、 べっかむ3ってジェントルマンじゃない? トイレだけでなく、手を念入りに洗って、 鼻もかんで、鏡見てんの!
いや、まあ‥‥ふだんの習慣どおりで‥‥。 その結果、次の関門でタイムオーバー。 トイレで貯金分のタイムを使い果たしてたんだよ‥‥。
それはべっかむ3らしいエピソード! そもそも、最初の5kmの関門は ちょっとゆるめに設定しているんですよ。 というのも、ああいったシティマラソンは 参加人数も多いから、スタートの号砲がなっても なかなかスタート位置にたどり着けない。 その分のタイムロスも含めての 最初の関門時間なんです。
しかもぼくは当日、風邪気味だったんだよね。 じつは熱が7度6分あってさ。 それでも、新宿を走るなんて面白そうだから、 いいや、出ちゃえ、って、出走したんだけど、 その日がものすごく寒くて!! 日陰に入ると、汗が冷えてもうふるえるくらい。 だから、「関門ひっかかってラッキー!」 「ていうか13kmも走れて上出来!」と、 もう、うれしくなっちゃって。 でも、べっかむ3はちょっと落ち込んでたね。
ほら、それなりに練習もできてたし カラダのほうはまだまだ余裕があったから ちょっと悔しかったよ‥‥。 でも武井さんがリタイアしたにもかかわらず、 「上出来、上出来!」と言ってるのをみて 「この人は何を強がってるんだ」と思ってた。 でも、本気でそう思っていたんだよね?
そうだよ。だって考えてごらんよ。 ハーフマラソンは 13kmで時間制限で引っかかったとはいえ、 その距離を平気で走れるようになってるんだよ?! 去年の今ごろの自分を考えると とんでもないことだよ!
前向きだよね‥‥。
この話を聞いて、最初、ぼくも、 なんじゃそりゃ! と、 一応コーチとして、 「ダメっすよ!」と言わなくちゃ、 という寸前まで行ったんですけど ふと、思い出したんです。 自分が10kmを、初めて走れた日のことを。
あれは確か真夜中でした。 それまでは酒ばっかり飲んで、 年がら年中二日酔い、 体型もだらしなく、ぽてっと腹が出て、 顔はいつもむくんでた自分が、 すこしずつ走れるようになって、 生まれて初めて10kmという距離を完走できた。 「おおっ! すごいぞ! オレ!」って、 公園で思わずガッツポーズしちゃったなあ。 この「おおっ! すごいぞ! オレ!」 という気持ちがあったから、 走り続けることができたわけだし、 フルマラソンを完走する一歩になったんだなあ、と。 武井さんをみて、初心にかえりましたよ。
前にみんなで皇居を2周して はじめて10km走れたときは 本当にうれしかったもんね。 最後は思わず1km5分ペースまで スピードがあがって、 「自分にはこんなに走れる力があったんだ」 ってびっくりしたんだもん。
そうですよ。去年の春は5km走っただけで 足が痛いと泣いていたべっかむ3が、だよ?!
それにしても準備期間1ヶ月くらいで ハーフマラソンを走れるかな? ってくらいにもっていけただけでもよかったですよ。 ハーフマラソンに向けて準備してきたことや お二人の初心者ならではの質問は たぶん、これから走ろうと思っている人や レースに出てみようかと思っている人にとって とっても参考になると思うので レース1か月前に時間をもどして、 会話形式でまとめてみようと思います。
湘南国際マラソンに向けて練習してたおかげで 10kmを走ることはできるようになったけど、 今度はその倍だよ!
ハーフマラソンは未知の距離ですね。 やっぱり20kmを何回か走ったほうがいいの?
本来ならば、レース前に 長い距離やレースを想定したスピードで走り、 いったん疲労のピークを経験したうえで、 本番に向けて練習を軽めにしつつ、 疲れを抜いていく方法で調整するんです。
けれども今回の準備期間は約1ヶ月。 いまからたくさん走っても 本番当日はカラダが疲れちゃて走れない。 レース当日に調子のピークがくるように 徐々にカラダを動かしていきましょうか。
ハーフマラソンの距離を走っておかなくても大丈夫?
うん。大丈夫です。 いろんな方法があるけど、 要は当日にハーフマラソンを 走れるカラダになっていればいいんです。 ランニングから少し離れていたとはいえ、 10km走ることはできるようになっている。 ですので、前に教えたLSD。 あれだけで十分ハーフマラソンは完走できます。
ゆっくり、長く走るってやつ?
そう、もう、あれだけで十分です。 市民ランナーが目指す「サブ4」 (フルマラソンを4時間以内で走ること)も LSDだけで達成できる。 LSDというと 「ゆっくり走ればいい」という イメージが一般的にあるんですが、 大事なのは 「いいフォームでゆっくり走ること」。 ダラダラと走らずに レースペースで走ってるイメージで 「足をあげて、腕を振って」 ゆっくり走ることを続ければ カラダがその動きを覚えてくれるので 練習でハアハアするまで追い込まなくても それなりに走れちゃうものなんですよ。 それに、湘南国際マラソンで経験されたと思いますが とにかくレースというのは 自分が思っている以上のスピードが出ます!
そうだったねえ。 周りのペースにつられるんだよね。
気づいたら自己ベストが出てるんだよね。
ゆっくりとはいえ、 毎日60分も90分も走っていると また本番前に疲労のピークがきてしまうので、 まずは最初の2週間は なるべく平日は毎日30分ほどゆっくり走って カラダがあったまって軽くなったらやめる。
やめるの?!
そう、ウォーミングアップくらいでやめておく。 調子が良くなると、ついつい走りすぎて 疲労がたまって故障しちゃいますから なるべく毎日走れるように 「調子が出たな」くらいでやめておく。 車で言えば暖気運転が終わって、 町内を一周まわってくるくらいでやめておく。 そして週末、土日のどちらかは60分走る。 つまり、休日に60分を走るために 平日はカラダを慣らしておくという考え方です。 そして「自分はどれくらい走ればカラダが軽くなるか」 ということを知っておくと レースのペース作りにも役立つんです。 例えば、ぼくだと「調子が出たな!」と、感じるまで だいたい30分弱くらいかかるようなんです。 スタートから全力で走る駅伝などは 30分くらいゆっくり汗をかいてから 走りだせばいいですし、 フルマラソンを走るときは最初の30分は無理をせずに ペースを抑えて入るようにしてます。 そして、レースの前の週の土日のどこかで レースに出る装備で ゆっくりでいいので15km走りましょうか。
それまでは「時間」で走っていたのに 今度は距離なんだね。
時間だったら、目安として2時間。 あるいは時間を気にせず15km、 走ってもらえればいいです。 目的はふたつあるんですね。 ひとつは2時間連続してカラダを動かしつづけると カラダに今までなかった反応が出てくるんですね。 たとえば、Tシャツがすれて乳首から血が出たりとか。 股ずれが出るとか。
いてててて‥‥想像しただけで、痛い。
(笑)その対策も含めて ハーフマラソンに対応できているかの予行演習です。 そして、前の週に15km走っておくことによって ハーフマラソンを走るための脚作りをしておくんです。
でもさ、前の週に一番長い距離を走ったら 疲れが残っちゃうんじゃないの?
そうなんです。 疲れを残しておくことがポイントなんです。
なんじゃそりゃ?!
次回「その2」に続きます!