(前回までのおはなし)
時はさかのぼり、
はじめてのハーフマラソン出走まで1ヶ月の頃。
コーチ・西本は練習不足の部員(べっかむ3&シェフ)に
「練習のしすぎで疲れがたまらないように」と、
毎日30分ほどのウォーミングアップランを指示する。
しかし、そう言っておきながら、
「レース1週間前に一度、
15kmもしくは2時間走って脚を疲れさせろ」と、
これまでと矛盾することも同時に通達。
すっかり戸惑いつつ、
それよりもこの冬の寒さで風邪をひきっぱなしで
まったく練習ができていないことを
ひた隠しにする2人であった‥‥。
|
|
この前の湘南国際マラソン10kmでは
「レース前に疲れがたまるのはよくない」
という話だったけど‥‥? |
|
|
|
|
|
|
|
あれじゃない? フルマラソンでよく
「30kmの壁」といわれるやつが、
おなじようにあるんだよ、きっと。 |
|
|
|
|
|
それです。フルマラソンだと30kmから35km。
ハーフマラソンだと残り5kmあたりから「壁」がきます。
呼吸はそれほどきつくないんだけど
脚が動かなくなっちゃうんですよ。
それまで快調に飛ばしていたランナーが
突如、ストップして歩きはじめるのがこの辺りなんです。
いやいや(笑)。市民ランナーの間では
それを「撃沈」と呼んでるんです。
単なるペースダウンとは違って
「撃沈」という言葉がまさにぴったりくるくらい
見事なまでに脚が動かなくなるんですよ。
脚が動かなくなる理由の大半は
「前半飛ばし過ぎた」か
「ガス欠」のどちらか。
「ガス欠」は朝ご飯を
ちゃんと食べておけばいいのですが
問題は「飛ばし過ぎ」です。
「前半は抑えて入れ」ということはわかっちゃいるけど、
調整がうまくいった時に限って
カラダも軽いし、筋肉もリフレッシュしているから
スタート直後、ついついスピードを出してしまうんですね。
なので、前の週にちょっと長めの距離を走って
「重めの脚」を作っておくといいんです。
前の週に15kmも走ると
その疲れが1週間では抜けず、
ちょっとカラダが重いかな。
くらいのコンディションができあがります。
そうすると、必然的に
前半はスピードはあがりませんから
自重しながらレースを進めていける。
つまり前半をウォーミングアップがわりに考えて
ゆっくり走り出す。
すると中間点あたりで
カラダがほぐれて走りやすくなります。
そこからスピードアップしていけば
一番きついはずの残り5kmで
楽にスピードが出るんですよ。
|
|
一番きついはずの後半で
一番スピードが出るって信じられないよ! |
|
|
|
|
|
ええ。初めてのフルマラソンから「撃沈」でした。
その後、何度も経験しているのですが、
この調整方法をやるようにしてから
撃沈知らずになりました。
じつは先日のフルマラソンでも
レース終盤の39km地点で
ベストラップが出たんですよ!
前半押さえて、後半上げていくというのは
「ビルドアップ」と呼ばれる走り方なんですけど、
この「脚作り」とセットにした調整方法は
かの小出監督にマラソンを教わった友人の
イズミくんから教わったものなんです。
|
|
ひゃあ、つまりそれって
「世界の小出メソッド」?! |
|
|
|
|
|
はい、信じてください。
最後の5km、
みんながスピードダウンしてるなか、
スピードアップしてどんどん抜いていくのは
すごく気持ちいいですし、
「おお、オレ、走れてる!」という、
いいイメージのままゴールできますよ。
これがいくら最終的なタイムが良くても
「もっとうまく走れたんじゃないか?」
というようなゴールは、おもしろくないですよ。
夕ごはんお酒もまずくなっちゃう。
村上春樹さんも書かれていますよ、
最後は全力で走れる力を残しておく、と。
何よりもレース翌日の疲れが全く違うんですよ。
|
|
われわれはタイムが目標じゃないから、
そういうことが大事かもね。 |
|
|
|
|
|
|
|
走ったあとのイメージがね。
筋トレでもそうなんだけどさ、
トレーナーには
「できなかった」ことを指摘するタイプと
「できたこと」をほめてくれるタイプがいてね。
「ああ、ダメでしたね武井さん、
最後の懸垂は、数に入れないでおきます」
って言われると、トホホ‥‥と思っちゃう。でも
「よくできましたね武井さん!
あとちょっとできたら完ぺきですよ!
次回またがんばりましょう!」
って言われると、気持ちよく終われるもんね。 |
|
|
|
|
|
若いときと違ってカラダの無理がきかない
中年陸上部ですからね。
普段の練習から疲れを残さないことが大事です。
時にはクスリの力をかりることも必要ですしね。
ふふふ、そのあたりは、次回に
くわしくお伝えします! |