ブライアン 来てくださって、ありがとうございます。
糸井 お会いできてうれしいです。
この偶然に飛び込むことができたことを、
とてもうれしく思ってます。
ブライアン どうもありがとうございます。
糸井 ツイッターで渡辺由佳里さんと知り合って、
グレイトフル・デッドについて検索して、
半年経ったら、どういうわけか、ここにいるという。
ブライアン (笑)
糸井 今日はいろいろとお話をうかがえることを
たのしみにしています。
ブライアン こちらこそ。
糸井 あの、ぼくらは日本で『はたらきたい。』という
本を出したりもしているんですけど、
いま、みんなが、新しい働き方を
さがしているんじゃないかと思うんです。
で、うかがったところ、このHubspotという会社は、
創業4年にして、ボストンで働きたい会社の第1位、
マサチューセッツ州全体でも
第4位になるほどの人気企業だそうですね。
その可能性を知りたいなあと思っているんです。
ブライアン わかりました。
そうですね、いま、会社をざっとご案内して、
感じられたかとも思うんですが、
いわゆる日本的な働き方とは
ずいぶん違っているかと思います。
糸井 うん、そうですね。
でもね、ぼくらの会社とは、
ちょっと似てると思った(笑)。
ブライアン あ、そうですか(笑)。
おもしろい。
糸井 どこが似ているのかっていうことよりも、
まずは、このHubspotという会社が、
どうしてこんなふうになったかということを、
教えてもらえますでしょうか。
ブライアン そうですね‥‥どう話そうかな‥‥
あの、『MAD MEN』という、
1960年代の広告会社を舞台にした
テレビドラマがあるんですけど、ご存じですか?
糸井 あ、知ってます。見ました。
おもしろいですよね。
ブライアン あれ、おもしろいんですよね。
で、内容もさることながら、あのドラマって、
1960年代当時の文化や会社のありかたを
おもしろおかしく描いているでしょう?
つまり、女性はまったく仕事をしない。
マネージャーは大きな部屋を持っていて、
みんながものすごくタバコを吸って。
糸井 うん、うん。
ブライアン あのドラマを見ながら、ある日、思ったんです。
もしも50年後に、いまの時代の企業を舞台にして、
おんなじような番組をつくるとしたら、
どういう文化や、どういう働き方を、
「この時代特有のもの」として
茶化してドラマにするだろうか、って。
そして、そこから、逆に発想を広げたんです。
「50年後にあってもおかしくないような
 企業文化をつくろう」って。
それをここでは「ポストモダン」と呼んでます。
もっと具体的に説明しましょう。
インターネットとモバイルの技術が、
世の中に広まってから生まれた会社というのは、
それまでの会社と大きく違って
しかるべきだと思います。
それらが生まれて浸透して以後は、
私たちの買い物のやり方や
ものを学ぶやり方が変わっています。
当然、働き方だって変わってるはずだし、
会社と従業員の関係だって変わっているはずです。
私たちは、その変化に合わせた会社を
つくっていこうと考えました。
糸井 なるほど。
ブライアン 情報技術が進んだことにより、
いろんな側面で民主化が進みました。
たとえば産業の構造という面では、
モノを製造して卸すという流れが、
インターネットの発達によって
すごく広範囲にわたるようになりました。
また、インターネット以前の時代では、
情報イコール権力であって、
会社の一部の偉い人だけが情報を持っていて、
それゆえ、権力を持っているという構造だった。
そこにはヒエラルキーがありました。
しかし、いまのように情報が広く
すみずみまで知れ渡っている時代においては、
組織もほんとにフラットであるべきだと思います。
糸井 うん、そうですね。
ブライアン 私は1990年代のはじめに
日本の大きな商社で働いていたんですが、
社長から平社員まで、階層が100くらいあった。
糸井 (笑)
ブライアン もう、一般社員の机は、こんなにちっちゃくて、
みんなこう、狭いところにぎゅーっと座ってて、
端っこに課長さんのちょっと大きい机があって、
部長ぐらいになると、個室ができて、
社長になると、もうワンフロア、だーんと専用で。
部屋の大きさから、お給料からなにから、
明らかに違うっていうヒエラルキーがあった。
これを古い会社の構造だとすると、
未来の会社、これからの会社というのは
そのまったく逆をやるんだろうなぁ
というふうに思いました。
糸井 うん、うん。
ブライアン 日本だけでなく、アメリカの会社の多くも、
古いヒエラルキーを抱えています。
(壁にマジックで組織図を描きながら‥‥)
まず、ほとんどの会社はCEOがいて、
その下にVP、つまり担当役員や部長がいて、
その下に、たくさんの人たちが働いています。
ぼくの父親なんかは、
そういう世界で仕事をしてきたわけです。
糸井 うん。
ブライアン で、ぼくらは、これはなしにしよう、と。
(壁の組織図にバッテンを描く)
糸井 いや、とってもよくわかります。
‥‥あのね、ぼくの考える
ヒエラルキーの話をしてもいい?
ブライアン もちろん。
糸井 (ブライアンからマジックを借りて
 壁に組織図を描きながら‥‥)
昔は、てっぺんにボスがいて、
その下にたくさんの人が働いてて、
こういうヒエラルキーがあったでしょ。
ぼくは、これを倒してしまったら、
こういう船の形になると思った。
ブライアン
デイヴィッド
To Be Continued......

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2011-07-19-TUE