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今、採用基準についてお話いただいた
「エネルギーレベルの高さ」と、
「思考のやり取りができる」というのは
マッキンゼーならでは、ですか?
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どこでも基本は一緒なんじゃないかと
思うんですが、
まったく違う仕事もありますよね。
ひとりでずーっと突き詰めていく
職人的な仕事とか。
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そうですね。
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ただ、チームで成し遂げていくような
仕事に関して言うと、
「エネルギーレベルの高さ」と
「思考のやり取りができる」ということは
すごく大事なことだと思います。
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うん、うん。
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まあ、そんなに特殊な人を求めてるわけでは
ないんですけれど。
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そのあたりがまた、おもしろいですね。
うちの乗組員が
よその媒体で受けたインタビューを読んでいたら
「わが社は
必ずしも優秀である必要はないんです」と。
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おお、なるほど(笑)。
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たしかに、ふだん僕はそんなこと言ってるんです。
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何が優秀かというもの、難しいですし。
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「わたしは優秀ですよ!」という言う人って
「うるさいだけ」なことが多かったり‥‥。
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会場:(笑)
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つまり「優秀である」ということより
「力を合わせてやったら上手くいっちゃった」
というのが、うちのやり方なんで
そう言ってるんですけど‥‥
ご本人たちが
「優秀じゃなくてもいいんです」って‥‥。
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そこ確認されても、と(笑)。
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でも「優秀って何?」って考えると、
たとえば
学校の英語のテストでいい点数を取ってたんです、
という人より、
学生時代は、あんまり勉強してこなかったけど
仕事で海外に赴任して
1年経ったら英語ができるようになりました、
という人が活躍するのが、
実際の仕事の現場じゃないですか。
そう考えると、二十歳そこそこで
「僕って、だいたいできちゃうんですよね」
みたいな人に来られても‥‥。
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「僕って、だいたいできちゃうんですよね」
みたいな人って、基本、ダメですしね。
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会場:(笑)
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あかるく言い放ちますね(笑)。
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これからは「全教科80点」みたいな人って
通用しなくなると思うんです。
反対に、1科目でもいいし、
もう「科目」じゃなくてもいいんですが
何かひとつ
「すごい!」という分野を持っている人のことを
「スパイク型」と言うんですね。
で、そういう人のほうが
「この人といっしょはたらきたい」って
思われる気がするんです。
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‥‥僕、あらゆる能力は、
もう「外部化」していると思っているんですよ。
ようするに
アプリケーションとしての他人がいる、という。
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なるほど、斬新な考えかたですね。
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分野ごと分野ごとに
「俺の友だちでさ、こういうやつがいるけど」
という人、心当たりあるでしょう?
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なるほど‥‥いや、外部化って
素晴らしい概念だなあと思ったんですけど、
同僚や友だちが困ってるとき
「じゃあ、あいつに頼んでみようか」って
言ってもらえる人って
「全教科80点の人」じゃないんです。
「あることについて200点の人」なんです。
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うん、うん。
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その「200点の部分」で
「それだったらあいつがいるじゃん」って
呼んでもらえるわけです。
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もっと言うと
「何だか知らないけど、いたほうがいい」
というのも、ありだと思うんです。
必ずしも「200点」じゃなくたって。
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ああ‥‥そうですね。
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「ただ呼ばれるやつ」」って、憧れで。
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わかります。
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みんなでどっか行こうぜーってときに
「あいつどう?」
「あ、呼ぼう呼ぼう」って言われる人。
本人は、別に何にもできなくっても
「いるといいよね」みたいな。
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会場:(笑)
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ロールプレイングゲームで
「戦士」とか「僧侶」とか「魔法使い」みたいに
職業名をつけるとすれば
「人格者」‥‥みたいな(笑)。
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でも、糸井さん言う「ただ、呼ばれる人」って、
それだけの意味じゃないですよね。
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実は、いちばん大きいと思います。
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そうですよね。
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そいつがいることで、
何だろう、「文脈が楽しくなる」んです。
つまり、
なくてもいいかも知れない言葉によって
小説って、できているわけですし。
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なるほど、なるほど。
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「彼は彼女に会った」って書いてあっても、
おもしろくも何ともない。
でも、そのときに
どういうふうに文章を飾ったり、引いたり‥‥
「文体」や「スタイル」に
影響を与えるのが、その人の役割なんです。
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そういう人がいるだけで
上手くいくってこと、ありますものね。
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<つづきます>
2013-09-06-FRI