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お手柄主義って、あると思うんです。
たとえば
「私がこうやったお陰で
この会社は200万円稼いだんです」
みたいな。
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ああ‥‥ありますね。
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「ここをこうこうこうすることで
原価が2円下がりますので
何万部売れば、何十万円儲かることになる」
というハンコをたくさんついてもらうことで、
ものすごく
自分が仕事した気になってる人‥‥いません?
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はい、ありがちですよね。
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つまり、何が言いたいかというと
「お客さんに、よろこばれるものをつくって、
がんばって売る」
というのが仕事じゃないですか。
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逆に、誰も求めてないし、誰も喜ばないけど‥‥
みたいなことでも、
仕事のフリになっちゃうってこと、ありますよね。
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会社に入ってさえもそんなだから、
就職活動している人って
そういう考えに陥ってたりしませんか?
つまり、自己PRを聞いてくださいというのは、
ぜんぶ「お手柄の話」じゃないですか。
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たしかに、そうですね。
「僕が家庭教師になったら
教え子の成績が上がったんですよ」とか。
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つまりは「それくらい」ですよね。
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そう、そもそも、
そんなにないんですよ、お手柄なんて。
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うん、学生をやっているときに
「お手柄」なんか、ほとんどないと思う。
だからみんな「お手柄つくろう」として
いろいろやってるわけでしょう。
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そうですね。
海外ボランティアのツアーって
「就職活動に有利です」みたいな感じで
売ってたりしますし。
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中途採用の場合は、どうですか。
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あるていど、社会人経験のあるかたですと
どんな仕事が好きかというのは、
明確になっていらっしゃることが多いので、
あとは
「マッキンゼーが欲しい人」に
適性があるかどうかになってくるんですね。
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ああ、そうか。
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さっき、制度論の話が出てきましたけれど、
「制度論が好きな人」と、
「個別論が好きな人」がいると思うんです。
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個別論?
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たとえば「企業経営」について、
制度論からすると
「この会社の事業が伸びそうなのか、
そうでないのかを分析する」
わけです。
で、伸びると思ったら株を買うし、
ダメだと思えば
株を空売りしたりするわけです、人は。
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ええ。
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でも、コンサルタントという職業は、
その会社がダメで、苦しい状態だったら
うまく回るように
もっていかなければならない。
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「株を売ってサヨナラ」はできませんね。
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ですから、制度論的な考えかたよりも
「困ってる人を助ける」
みたいな気持ちがないとダメなんです。
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お役に立ちたい、と。
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その気持ちがないとダメです。
でも、そこをわかってない人が、わりと多くて。
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制度論の好きな人って、
頭がいいみたいに思われてそうですしね。
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一般的には、マッキンゼーという会社は
頭のいい人が受けるというイメージがあるので
制度論が好きなんだろうと思われがち。
でも、実際の仕事では
たったひとつのお客さんの会社の経営を
手伝うという仕事なので
「ここの会社、いろいろダメだから
もうコンサルしません、終わり」
みたいな仕事は、できないわけですよね。
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ええ、ええ。
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この「はたらきたい展。」に沿って言うなら
「はたらく」の制度論を排して
個別論を取り戻そうということなのかなあと
思ったんですが。
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そうそう、そうなんですよ。
出来上がった「はたらきたい展。」には
制度論が、みごとにない。
ここに秀才型の子が混じると、
そういう絵を、描いちゃうと思うんです。
「理想のはたらきかたって
こうこうこんな感じなのに、現実は‥‥」
とかね。
そのあたりが「いっさいない」のが
うちの会社がつくる
「はたらく」の展覧会の特徴だと思います。
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そうですね。
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自分の会社のことで言うと、
将来的には、うちではたらいている人が
どんどん自由に別の会社に行って、
また戻ってくるみたいな、
そういう社会になったらおもしろいなあと
思ってるんです、僕。
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同感ですね、ほんとに。
世の中がそういう流れになっていったら
今、滞ってる部分も
うまく循環していきそうな気がします。
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<おわります>
2013-09-10-TUE