イマサギ 2.0 イマサギ 2.0
みなさんのスマートフォンに、
こんなメッセージが届いたことはありませんか?



「お荷物のお届けにあがりましたが、
不在のため持ち帰りました。
下記よりご確認ください」



これは配送業者を装って送られる、
最近流行りの偽メールなんだそうです。
「誰がなんの目的で送っているの?」
「受けとった人はどうすればいいの?」
そのあたりのことを訊きに、
全国の消費者から相談が寄せられる
「国民生活センター」に足を運びました。
「イマ」どきの「サギ」のこと、
7年ぶりにいろいろとうかがってきました。
イラスト:てぶくろ星人
02 悪質サイトからの高額請求。
──
先ほどちょっと話に出ましたが、
SMSに届いたURLをクリックするだけでも、
ウイルスに感染するリスクはあるんですね。
神辺
その可能性は十分に考えられます。
具体的な対策については、
お使いの通信キャリア等に
ご相談されるのをおすすめします。
森澤
もし不正なURLをタップしてしまっても、
すぐに何かが起こるわけではないと思います。
しばらく様子を見てもらって、
自分のクレジットカードに不正な請求がないか、
こまめに明細をチェックしておくのが
大事なことなのかなと思います。
写真
──
最近の配送業者を装ったもの以外に、
「こういうメッセージには注意」
みたいなものってありますか?
神辺
よく相談を受けるのは、
身に覚えのない有料サイトから連絡が来て、
「お金が未納です」というパターンですね。
3日以内に払わなければ訴えますとか、
脅迫まがいに支払わせようとします。
すぐに連絡ができるように、
電話番号が記載されているのが特徴です。
──
その番号にかけてしまうと‥‥。
森澤
電話をかけてしまうと、
言葉巧みにお金を払う方向にもっていかれます。
どんなに内容を確かめたくなっても、
絶対に電話はかけないでください。
写真
──
そういうメッセージが届いたときは、
どうするのが正しいのでしょうか。
森澤
何もしなくていいです。
完全に無視してください。
──
無視をする。
神辺
そもそも電話番号しか書いていない
業者なんて怪しすぎます。
どこのどういうサービスで、
運営会社はどこなのかとか、
そういうことが書かれていないものは、
すべて無視してもらって大丈夫です。
──
よく耳にする話で、
無料サイトと思ってクリックしていたら、
いつのまにか有料サイトに会員登録されていて、
「◯日以内に◯万円をお支払いください」
という画面が突然パソコンに出てしまったと‥‥。
神辺
悪質なアダルトサイトによくあるパターンですね。
──
そういう場合も無視ですか?
神辺
無視してください。
──
あとで本当に請求されたりは?
神辺
基本的にはされません。
されないというか、できないんです。
写真
──
できない?
神辺
ウェブサイトに無料と書いてあるのに、
クリックした瞬間、
「あなたは有料登録されました。
いついつまでに◯万円お支払いください」
となるようなものに関しては、
支払う義務はこちらにはありません。
──
支払い義務がない。
森澤
「無料のはずが有料になった」
というものに関しては、
契約が成立していない可能性があります。



インターネットで契約する場合、
通常は「最終確認画面」というものが
設けられています。
「最終確認画面」がなく、
クリックしただけで登録完了になるものは、
契約の取り消しを主張できるケースもあります。



ただし、主張できるからといって、
こちらから相手に連絡してしまうと、
かえって個人情報を伝えることになります。
なので、まずは最寄りの
消費生活センター等に相談してください。
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──
ネットの「IPアドレス」などから
個人の住所が特定されて、
そういう業者から取り立てにあうとか、
迷惑行為を受けるとか、
そういう可能性はないんでしょうか?
神辺
画面にIPアドレス等が
表示されることはあるかもしれませんが、
個人や企業レベルでは、
IPアドレスからその人の住所までわかる、
ということはありえません。
──
つまり、個人は特定できない。
森澤
ただの脅し的なものとして、
IPアドレスを表示するかもしれませんが、
その番号と個人情報が
すぐに結びつくということはないです。
サイトを見ただけでは、
その人のメールアドレスすらわかりません。



ただし、クリックする前に
メールアドレスや電話番号を自分で入力した場合、
向こうから連絡が来る可能性があるので、
そこは十分に注意してください。
写真
──
悪質な有料サイトから高額請求があって、
会社や家にバレると恥ずかしいから
お金を支払ってしまったという話、
けっこう耳にすることがあります。
森澤
そういう相談も多く寄せられています。
──
でも、いまの話だと、
仮にそういうサイトを開いてしまっても、
支払い義務はないということですよね。
神辺
先ほど森澤も申し上げましたが、
インターネット経由での契約には、
通常「最終確認画面」というものが
設けられています。



なので、もし仮に請求されたとしても、
その確認画面がなかった時点で、
「その契約を取り消す」
と主張できる場合があるんです。
──
あー、なるほど。
その部分で対抗ができると。
神辺
いきなり請求画面が出てきて
不安になるかもしれませんが、
まずは落ち着いてブラウザを消して、
そのあと何も出てこなければ、
そのまま無視していただいて大丈夫です。



ただし、サイトによっては
お金を請求することが目的じゃなく、
ウイルスに感染させることが目的の場合もあります。
そこはご自身でウイルス対策ソフトを
最新版にアップデートするなどして、
対策するようにしてください。
──
なにはともあれ、
そういうサイトには関わらないことですね。
神辺
はい。
──
もう一度確認しますが、
いまおっしゃった「最終確認画面」というのは、
注文確定前の確認ページですよね。
森澤
そうです。
自分の個人情報を入力して、
クレジットカード番号を入力して、
最後に「この契約はこういう内容です。
おまちがいないですよね?」という、
契約前に必ず出てくる確認画面のことです。
──
それがないものに関しては、
「契約を取り消す」と言えることもある。
森澤
はい。
写真
(つづきます)
2020-12-18-FRI