みなさんのスマートフォンに、
こんなメッセージが届いたことはありませんか?
「お荷物のお届けにあがりましたが、
不在のため持ち帰りました。
下記よりご確認ください」
これは配送業者を装って送られる、
最近流行りの偽メールなんだそうです。
「誰がなんの目的で送っているの?」
「受けとった人はどうすればいいの?」
そのあたりのことを訊きに、
全国の消費者から相談が寄せられる
「国民生活センター」に足を運びました。
「イマ」どきの「サギ」のこと、
7年ぶりにいろいろとうかがってきました。
- ──
- 2020年の話でいうと、
コロナに関連した詐欺も多そうですね。
- 神辺
- 非常に増えてますね。
とくに4月、5月のころは、
給付金に関する不審電話や
メール等についての相談が多くありました。
- ──
- あー、給付金。
たしかに狙われそうですね。
- 神辺
- 自治体の職員を名乗って
個人情報を聞き出したり、
申請にお金がかかるからと言って、
お金をだましとるケースもありました。
いわゆる「なりすまし」と呼ばれる手口です。
- ──
- 給付金の受けとり方って、
国民全員が初めてのことだったので、
なにが本当でウソかもわからないですよね。
- 神辺
- そうなんです。
他にも本物の申請用紙が来る前に、
偽物が届くというケースもありました。
偽の申請用紙に個人情報の書類を添付させて、
そういうのをだましとるというものです。
- ──
- かなり悪質ですね。
- 神辺
- そういうのが本物よりも先に届いてしまうと、
だまされる可能性は高くなります。
- ──
- それはもう防ぎようがないですよね。
- 神辺
- 偽物を見分けるポイントは
いくつかあります。
たとえば、申請用紙のどこにも
連絡先がないとか。
また、返信用の封筒の住所が、
自分の自治体とは違うところになっていたり。
- ──
- なるほど。
- 神辺
- ただ、中には本物でも、
違う市や区になっていたケースも
あったようですが。
なので少しでもおかしいなと思ったら、
まずは相談していただければと。
- 森澤
- あと、給付金の申請用紙ようなものは
周辺地域で一斉に届くので、
ご近所の人に確認してみるのも
大事かなと思います。
- 神辺
- やっぱり怪しいと思ったときは、
誰かに聞くクセをつけてほしいですね。
自分ひとりでどれだけ悩んでも、
出てくる結論は多くありませんから。
- ──
- まだ全国でマスクが品切れだったころ、
突然家にマスクが届いたという
ニュースを見たことがあるんです。
袋の中に紙が入っていて、
「3日以内にマスク代金を振り込むか、
不要な場合は送料元払いでお返しください。
返送がなければ購入したとみなします」
というのが書いてあったとかで。
- 森澤
- いわゆる「送りつけ商法」と呼ばれる手口です。
身に覚えのない宅配便でしたら、
受け取り拒否されるのがいいと思います。
- ──
- もしまちがって受け取ってしまった場合、
どうすればいいんでしょうか。
- 森澤
- まずは、本当に自分が
注文してないものかを確認します。
あきらかに身に覚えのないものなら、
袋を開けずにしばらく自宅で保管してください。
本当の誤配という可能性もありますので。
- ──
- 「3日以内に振り込んでください」
という警告に関しては‥‥。
- 森澤
- 無視していただいて大丈夫です。
まちがってもそこに書かれた
電話番号などには連絡しないでください。
- ──
- 無視して、しばらく家で保管する。
そのあとはどうすればいいんですか。
- 神辺
- 「特定商取引法」という法律があるんですが、
そうやって送られてきた
身に覚えのない商品に関しては、
「14日間」という一定期間保管しておけば、
それ以降は受け取った方が
自由に処分してよいとされています。
- ──
- 自由に処分していいんですか?
- 神辺
- はい。
14日間家で保管して、
連絡もなく、誰もとりにこなければ、
捨てるも使うも、受け取った方の自由です。
- ──
- じゃあ、さっきのマスクの例でいうと、
ひとまず家で保管して、
14日間過ぎたら捨てればいいわけですね。
- 神辺
- はい。
念のため身に覚えのないものが届いたら、
まずは最寄りの消費生活センター等に
相談していただくのがいいと思います。
そのときの状況にあわせた適切な対応を、
担当者からアドバイスしてもらえると思います。
- ──
- コロナ禍で増えた相談って、
他にどういうのがあるんでしょうか。
- 神辺
- 詐欺とは少し違う話かもしれませんが、
自粛期間中は「巣ごもり」される方が多くなって、
映画や音楽のサブスクリプションサービスに
登録された方も多かったと思うんです。
- ──
- いわゆる「サブスク」というやつですね。
- 神辺
- ああいったサービスによくあるのが、
初めは一定期間無料なんですが、
そのうち有料契約に切り替わるという‥‥。
- ──
- はいはい、初回月だけ無料とか。
- 神辺
- それで無料と思って使っていたら、
いつの間にか自動更新されて、
知らない間に利用料金を請求されていたとか。
そういう相談はけっこうありました。
- ──
- ちなみにその場合はどうなるんですか?
さすがに「知らなかった」では
通用しない気がしますが‥‥。
- 神辺
- 自動更新については、
登録するときに必ず注意事項に
書いてあると思うので、
よく読んでから契約してください
としか言えないんですよね。
- ──
- 契約時に自動更新のことは
必ずどこかに明記されているわけですね。
- 森澤
- ただ、詐欺的商法の話をするなら、
「今なら1000円の商品が100円で試せます」
というパターンもあります。
ダイエットサプリや健康商品の
ネット広告でよく見られる手法のひとつで。
- ──
- あー、ありますね。
目を引く派手なページのやつですね。
- 森澤
- ページの仕組みとしては、
「初回限定100円!」と大きく書いてあって、
そのすぐ下に
「お申し込みはこちらから」
というボタンがあります。
ボタンを押すと画面が勝手にスクロールされて、
名前や住所の入力フォームまでスキップされます。
- ──
- 自動で一気にスクロールされて。
- 森澤
- 自動でスキップされたところに、
いろんな情報がたくさん書いてあるんですが、
その中にすごく小さな文字で、
「この契約は4回連続で購入していただきます」
「2回目以降は9800円の代金がかかります」
というのが書いてあったりします。
つまり1回契約するだけで、
合計3万円近く支払わないといけなくなります。
- ──
- そういう売り方は違法ではないんですか?
- 森澤
- 一応、ページに表示はされているので、
法律違反とは明確に言い切れないんです。
- ──
- でも、あきらかにだますつもりですよね。
だってそうじゃなかったら、
「初回限定100円」みたいな
言い方をする必要もないわけで。
- 神辺
- おっしゃるとおりです。
なので、そういう広告を見たときに
「あ、安い、いますぐ買おう」じゃなくて、
「なぜこんなに安いんだろう」って、
一回冷静になっていただきたいと思います。
- ──
- お得に思えるような話には、
それなりの理由があるわけですね。
(つづきます)
2020-12-20-SUN
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