みなさんから寄せられた
犬猫エピソードを、
毎日すこしずつご紹介します。
今年７月の松本ひで吉さんと糸井の対談で、
読者の「犬猫エピソード」を募集したところ、
なんと約600通ものご応募がありました。
どうもありがとうございました。
すべて大切に読ませていただきました。
こちらのコンテンツでは
編集チームおすすめの32のエピソードを、
毎日すこしずつご紹介していきます。
各賞の発表は最後にお知らせしますので、
どのエピソードが受賞するのか、
一緒に予想しながら読んでみてくださいね。
はたして「松本ひで吉賞」は誰の手に！
犬と一緒に暮らしていると、
お互いことばは話せなくても、
なんとなく気持ちが伝わるときがあります。
きょうのエピソードは、
そんな犬との交流を描いた２本です。
#13
感謝の気持ちを
伝える犬
実家で「ベア」という黒柴を飼っていた。
ある日、私は床に座ってくつろいでいた。
私の兄もソファーに寝転んでくつろいでいた。
そこに犬のベアが来た。
ベアは兄とソファーを交互に見ていたので、
私は兄に向かって
「ベアもソファーでくつろぎたいって」と言った。
そしたら兄がソファーから足を下ろし、
ベアが横になれるスペースをつくった。
私が「ベア、ここ空いたよ」と言うと、
ベアはしっぽをフリフリしながら、
私の顔をペロッと舐めてからソファーに上がった。
犬も感謝の気持ちを伝えるんだと思って、
私はビックリした。
動物のそんな仕草は、
ジブリだけの世界だと思っていた。
人間と動物は会話はできないけど、
思いは通じるんだなと感じたできごとだった。
（鉄子）
#14
兄弟の絆
ひとりっ子育ちのワンコに、
弟ワンコを迎えたところ、
兄となった彼はヤキモチからか、
部屋中にマーキングしたりと、
反抗期が１年ほどつづきました。
クールでツンデレキャラの兄に対し、
弟は陽気なやんちゃキャラ。
散歩が大好きな兄に対し、
散歩が苦手な弟はいつも足をひっぱりまくり。
いろいろと正反対のふたりは、
お互いつかず離れずといった感じで、
良好とはいえない微妙な関係のまま
月日は流れていきました。
ところが、
あの３月11日の大震災の夜のこと。
私が会社から歩きつづけ、
ようやく自宅にたどり着くと、
兄弟が同時にかけ寄りジャンプをして、
私の胸に飛びこんできたのです。
ふたりを抱きかかえながら家の中を確認すると、
なぜかバスルームの床にワンコ用の毛布があり、
さわってみるとまだぬくもりがあったので、
ずっとここにいたことがわかりました。
わが家ではこれまで大きな地震があったとき、
私は兄ワンコを抱いて、
よくバスルームに避難していました。
これは私の想像なのですが、
もしかしたら兄はバスルームに毛布を運び、
おびえる弟をここまで誘導し、
お互いに身を寄せ合っていたのでは‥‥。
そしてその夜を境に、
兄弟は不思議なほど仲良しになりました。
それからしばらくして、
深夜に弟が珍しく吠えるので起きてみると、
横たわったままで身体を震わせている
兄の姿がありました。
その夜まで元気でいた彼は、
もう立ち上がることができませんでした。
彼は私に介護の覚悟もさせてくれないまま、
翌日、虹の橋へと旅立ちました。
兄が亡くなる直前ですが、
彼は落ち着いた目で私を見つめ、
「大丈夫、悲しむな」と
言ってくれたような気がしました。
それからというもの、
ひとりっ子になった弟は、
なぜか突然、お散歩が大好きになったのです。
兄の形見のリードを付け、
ぐいぐいとリードを引っぱる弟はまるで別犬のよう。
そして散歩の途中でときどき立ち止まり、
ふっと遠くを見つめるしぐさをします。
キミたちふたりに出会えて本当に良かった。
そばにいてくれてありがとう。
（ココレオン）
明日につづきます。
2019-10-25-FRI
- 写真で広がる犬猫なかま。
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投稿して楽しむSNSです。 -
©HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN