犬のラブラドールが11歳の時、
10歳になる猫がわが家にやってきました。
もともと弟が飼っていた猫で、
ときどき家に連れてきていたのですが、
犬派の私をメロメロにするぐらい、
かわいくて頭がいい猫でした。

ところが、いざうちで暮らすとなると、
猫にとって「体の大きな犬」は恐怖でしかなく、
いつもシャーシャーと威嚇していました。

それから数年たったある日。
犬と猫が鼻を突き合わせて、
長い間ジーッと見つめ合っていました。
「珍しいこともあるもんだ」と思っていたら、
しばらくして犬が亡くなりました。

「きっと業務の引き継ぎをしてたんだね」と、
家族で話していました。
「あとは頼むわよ」と。

その翌年、猫が亡くなりました。

もしかして虹の橋の向こうで、
犬から「あんた、こっち来るの早すぎるわよ！」
と怒られてケンカしているかもしれません。
その姿を想像して、泣きながら笑いました。

（ももさくら）

実家の犬のロン子は、
私の顔を舐めるのが大好きです。
いつもおでこからはじまり、
顔の隅々、髪の生え際まできっちり舐めます。

ある日、お昼寝をしていた私の顔を
ロン子がいつものように舐めておりました。
顔全体を舐め終えるのを、
私は寝たふりをしたまま待っていました。
そのあと私は起きあがり、
舐められた顔を洗うのが面倒だったので、
そのまま母と外に出かけました。

母と買い物をしている間、
スーパーの化粧品コーナーで
用もなくぷらぷらと歩いていた私。
店員さんに声をかけられ、
カウンターに置いてあった
肌の状態をチェックするマシーンを指して
「試してみませんか？」と言われたので、
ひまつぶしにチェックしてもらいました。

そして出てきた結果は、
肌のいろんな状態が平均値以下なのに、
保湿のところだけは、
ほぼ100点満点に近い判定でした。
私は思わず大笑いしてしまいました。
だって、犬の唾液がたっぷりついた
保湿パックの顔なんですもの。

店員さんにはほめられましたが、
こちらとしては返す言葉が見つからず、
笑顔でその場を去りました。

（ロンちゃんの姉）

わが家の猫は、13歳のおじいちゃん。
そんな彼がまだ若い頃のことです。
夜勤の仕事を終えてやっと帰ってきた飼い主。
そのまま疲れて寝ていると、
やっと帰ってきた飼い主がずっと寝ているので、
猫は退屈に思ったのでしょう。

飼い主の顔をつついたり、髪や手をかんだり、
ワオワオ騒いだりしてみるのですが、
それでも飼い主は起きようとしません。
「あとすこしだけ寝させて‥‥」と、
申し訳ないと思いつつ横になっていると、
猫が枕元でひと言。

「ダメだぁ‥‥」

飼い主、びっくりして飛び起きました。
猫は猫生の中で一度だけ
人間の言葉を話すことができると
聞いたことがあります。
うちの猫はあれが
最初で最後の人間の言葉なのかなぁ‥‥。

（流弥）