もくじ
第1回懲りずにアイドルの話をしたい私 2016-06-28-Tue
第2回私の好きなアイドルのお話 2016-06-28-Tue
第3回Case1.チケットがなかった私 2016-06-28-Tue
第4回Case2.他人と勝手に話し始める私 2016-06-28-Tue
第5回Case3.詐欺に遭った私 2016-06-28-Tue
第6回つまるところ、やっぱり「ありがとう合戦」なのである 2016-06-28-Tue

アイドルが好きです。草かんむりに部活動の部で、一文字で蔀(シトミ)と読む、珍名字の女です。

担当・シトミ アツコ

第3回 Case1.チケットがなかった私

それは、関ジャニ∞10周年記念ライブでのこと。
私は、実はデビュー前から関ジャニ∞のことを
応援してきており、こういった
「記念ライブ」「節目のイベント」といったものに、
特に高いモチベーションを持ちがちなタイプである。

それなのに、チケットは落選。
チケットを余らせている友人もおらず、
でもどうしても諦めきれないので、
当日は会場である大阪に、
はるばる東京から赴いた。

当日にもなると、できることは一つ。
会場近くの駅で、
「チケットを譲ってください」と書いた
スケッチブックを持って立つのである。

このライブは、チケットをとれなかったファンが
とても多く、当日は朝から
「チケット譲ってください」の紙を持った女性で
駅は溢れかえっていた。
私も、その中に身を投じる。

私には、秘策があった。
みんな同じ「チケット譲ってください」の紙を
持っていても、私がチケットを譲る立場だったら、
「この人!」と選ぶのは至難の業である。
つまり、「この人にチケットを譲りたい!」と
思わせる何かを、スケッチブックに書けばいいのだ。

ということで、私はスケッチブックにこう書いた。

「チケットを譲ってください。
譲ってくれた方に、関ジャニ∞メンバーの
細かすぎて伝わらないモノマネを披露します」

スケッチブックに書くだけでは飽きたらず、
Tシャツにも同じようなことを書いた。
これなら、きっとおもしろいこと好きの人は
目を留めてくれるはず!

そう自信満々にスケッチブックを掲げたのだが、
これが思っていた以上に恥ずかしかった。

目の前を通る関ジャニ∞ファンの女性たちが、
私のスケッチブックをチラッと見ては
クスッと笑って通り過ぎるのである。

最初こそ、笑いたければ笑え!と
開き直っていたものの、
中学生ぐらいの女の子に指をさされて笑われては、
さすがに悲しくなってくる。
Tシャツの文字は、そっと隠した。

いくら待っても、声をかけてくれる人はいない。
もう諦めるしかないのか……。

そう覚悟した、開演30分前。
なんと、チケットが余ってしまったという女性に
声をかけていただいたのだ。
なんでも、一緒に行くはずだった方が
体調不良で来られなくなってしまったとのこと。

「モノマネが見たくて……」と笑って
声をかけてくれた彼女と、
無事にライブを見ることができたのであった。

ライブは言わずもがな最高であったし、
苦労が報われたうれしさで、
いつも以上に感動したことを覚えている。

私に声をかけてくれた女性は、偶然同い年で、
その後も友人関係が続いている。

辛いこともあるけれど、素敵な出会いがある。
それが、アイドルオタクの一つの魅力であると
心から感じた出来事であった。

(ちなみにモノマネは、帰り道で披露。
たしか「ファンに向かってめちゃくちゃかわいく
手を振る錦戸くんの真似」をした気がするが、
全然ウケなかった。
苦笑いの彼女の顔も、いい思い出である)

第4回 Case2.他人と勝手に話し始める私