怖いことだってあった。
それは、私が初めて関ジャニ∞のライブに
行ったときのこと。
当時私は大学一年生。
親の教育方針で、中高生の間はライブに行くことを
禁じられていたため、私にとっては待ちに待った
念願のライブであった。
チケットが当たってからは、
うちわを作ったり、洋服を買いに行ったりと、
ライブの日を待ち望みながら、
一緒にライブに行く予定の友人と
毎日のようにメールをしていた。
そんな私に、
ある日怪しげなおじさんが声をかけてきた。
たしか、ネットの掲示板経由で
メールが送られてきたのが始まりだった。
彼は、ジャニー社長とのつながりを示唆しながら、
「おもしろい話があるよ」といって近づいてきた。
私は、怪しいと思いながらも、
そのおじさんとコミュニケーションをとり続けていた。
というのも、彼のいう「おもしろい話」が
気になっていたからだ。
彼は、ジャニーズ事務所に出入りができて、
社長ともつながりがあるため、
「僕と仲良くしておくと
いい思いをできるかもしれないよ」と言うのである。
今考えると、なんて怪しい話なのだと思うのだが、
当時高校を卒業したばかりの私は、
半信半疑ながらも突き放せずにいた。
その彼が、楽しみにしていたライブ当日、
「僕にチケットを預けてくれたら
もっといい席のチケットと交換してあげるよ」
と言ってきたのである。
半信半疑の私だったが、
とはいえ彼の連絡先は控えてあるし……と思い、
うっかりチケットを渡してしまったのだ。
初めてのライブ、どうせならいい席で見たい。
一緒に行く友だちも、きっと喜んでくれるはず。
そう思っての行動だった。
チケットは返ってこなかった。
もちろん、もっといい席のチケットも。
私も友だちも、その日のライブに
行くことはできなかった。
友だちは当然怒ってしまい、
それからずっと絶縁状態である。
あとで調べてみたところ、彼は同様の詐欺を
繰り返していたらしく、ジャニーズのファンが
かなりたくさん被害に遭っていたようだった。
被害者の会のようなものもあり、私も参加したが、
なかなかうまく進まず立ち消えになった。
私のチケットは、転売屋に売られたようだった。
後日、ファンクラブの会員ページにログインできなく
なっていたので問い合わせたところ、
「転売が確認されたのでブロックした」
と事務所から通告があった。
大学一年生、18歳の若造だった私には、
大変ショックだった出来事だ。