もくじ
第1回懲りずにアイドルの話をしたい私 2016-06-28-Tue
第2回私の好きなアイドルのお話 2016-06-28-Tue
第3回Case1.チケットがなかった私 2016-06-28-Tue
第4回Case2.他人と勝手に話し始める私 2016-06-28-Tue
第5回Case3.詐欺に遭った私 2016-06-28-Tue
第6回つまるところ、やっぱり「ありがとう合戦」なのである 2016-06-28-Tue

アイドルが好きです。草かんむりに部活動の部で、一文字で蔀(シトミ)と読む、珍名字の女です。

担当・シトミ アツコ

第6回 つまるところ、やっぱり「ありがとう合戦」なのである

アイドルオタクであったこの20年近く、
様々なことがあった。

そのたびに、
「なぜアイドルを好きなのか」
を考えてきた。

20年近くも、答えが出ないままなのには、
きっとわけがある。

つまるところ、「ありがとう合戦」に
帰着するのではないだろうか。

どんなに辛くても、
好きなアイドルに「ありがとう」と言ってもらえたら、
嫌な気持ちは吹き飛んでしまう。

どんなに悲しくても、
好きなアイドルに「ありがとう」を伝えて
笑ってくれたら、こちらも笑顔になってしまう。

どんなに考えたって、「ありがとう合戦」の前では
無力なのである。
だって、「ありがとう合戦」には、
おそろしいほど巨大な力があるのだ。

怪しいおじさんに騙されてチケットを渡してしまった
次の日、私は幸運にもライブに行くことができた。
そのとき、メンバーがステージ上でしきりに
繰り返していた「ありがとう」の言葉で、
私は元気を取り戻すことができた。

就職活動に失敗したときは、ライブで聞いた
「ありがとう、また来年も同じ場所で会おう」
という言葉を思い出して、
また自分を奮いたたせることができた。

失恋したときに参加した握手会で、
「ありがとう」と伝えたアイドルが
にっこり笑ってくれたおかげで、
未練を吹っ切ることができた。

アイドルと「ありがとう合戦」をするだけで、
「これでいいのだ」という気持ちになるのだ。

「なぜアイドルを好きなのか」に、
答えなどない。
「ありがとう合戦」の前では、
そうした理屈など通用しないのである。

悶々と考えて、答えが出ないことにもがいても、
結局は「ありがとう合戦」の圧倒的パワーで
あっさりどうでもよくなってしまう。

これが、なかなかの快感なのだから、
アイドルオタクはやめられないのだろう。