ラグビーのどんなところに注目して
観戦すればいいのか。
このページでは
3つの「みどころ」をご紹介します。
①フェア
②リスペクト
③ダイバーシティ
野蛮なスポーツなのでカッコつけて
カタカナを使ってしまいましたが、
「公平性」「信頼・尊敬」「多様性」
という意味です。
それぞれ説明していきます。
①フェア
「ラグビーを象徴するものは?」
と聞かれたら、なんと答えますか?
「タックル」
「スクラム」
「ノーサイド」
‥‥いろいろあると思いますが、
わたしは、「楕円球」だと思います。
ラグビボールは、
片手ではつかめないほど大きく、
よく弾みます。
ラグビーはキックを使って
前進していくこともあるので、
この楕円球がよく地面に転がります。
このとき、楕円のボールは、
どちらに転がるかわからないのです。
※ある程度の訓練をすれば、
最後のバウンドの角度で
どちらに転がるかわかるようになったり、
意図的にキックのバウンドの方向を
定めたりできるようになります。
この、どちらに転がるわからないゆえの
「いつも、どちらにもチャンスがある」
というのが、ラグビーの特徴と
言えるのではないでしょうか。
どちらのチームにも、いつでもフェア。
「自由すぎるスポーツ」がゆえに、
「ズルはなし」というのが、
ラグビーらしさかもしれません。
ちなみに、ラグビーのレフリーは、
いつでも「不公平がないように」
笛を吹いています。
②リスペクト
ここで、いきなり質問です。
80分の試合のなかで、
「選手がボールを持っている平均時間」
は、どのくらいだと思いますか?
・
・
・
・
正解は、「90秒」です。
全選手の平均と言われているので、
もしかすると「3秒」の人も
いるかもしれません。
つまり、80分間のあいだ、
ほとんどは1つのボールを
仲間とトライまで運んでいくために
「自分の仕事」をしているのです。
球技なのに、おかしな話ですよね。
じゃあ「自分の仕事」とはなにか。
スクラムを組んだり、
敵の突進をタックルでとめたり、
ボールを獲られないように敵を倒したり。
つまり、「じぶんが主役でいたい」
という人がやるとつまらないのが
ラグビーというスポーツだと思います。
ラグビー選手がトライしたシーン、
観たことあるでしょうか。
おそらく、トライした選手は、
大騒ぎしてよろこんでいません。
彼に駆け寄ってきた仲間たちのほうが
本人よりもうれしそうにしていませんか?
ボールを触れない人がいるけど、
トライをしたらみんなでよろこべる。
みんなが拍手をしてあげる。
ラグビーは、仲間との「信頼」、
そして「相手への尊敬」がなければ、
成立しないスポーツなのだと思います。
それは、レフリーに対しても同じです。
試合中にイエローカード
(10分間の退場を命じるカード)が
レフリーから出たとします。
選手は、一切抗議しないはずです。
すがすがしいまでに、
サッと走って退場していきます。
これも、試合を安全に
公平に進めてくれている
「レフリーへの敬意」です。
あと、ラグビーの監督は、
グラウンドに立っていません。
試合がはじまると、
チームのトップはキャプテンになります。
監督は、観客席のどこかにいます。
(無線で指示をすることもありますが、
さいごの意思決定はキャプテンです)
これも、監督の「選手への敬意」です。
「ノーサイド」(試合終了)も、
敵味方のサイドがなくなるという意味で、
相手の健闘をたたえあう文化があります。
これは「敵への敬意」です。
「あんなにケンカしていたのに!」
という選手同士が、
試合がおわるやいなや
おどろくほど仲よく握手しているのは
なかなか面白い光景です(笑)。
こんなふうに、あらゆる相手への
リスペクトのきもちがあって
成り立つスポーツが、ラグビーなのです。
余談ですが、
ラグビーはひとりで練習できません。
ボールが楕円球なので
壁に向かってパスをしても
ちゃんとじぶんのところに
戻ってこないのです。
「だれか」がいて成り立つ。
そんなスポーツなのです。
③ダイバーシティ
ラグビー選手たちが、
試合前に整列をしているのを
見たことがあるでしょうか。
実に多様な人たちがいると思います。
小柄な人、背が高い人、
異常なまでにデカイ人、
あんがいスリムな人。
もちろん、国籍のちがいも。
ラグビーは1チーム15人ですが、
ひとつの目的に向かって、
まったく性質のちがう人たちが
力を合わせていくのです。
「グローバル」な社会。
それぞれの個性を認め合って、
それぞれの「強み」を活かし合う。
そんなラグビーの考え方は、
いまの日本に必要なことだと
わたしは(勝手に)思っています!