- 糸井
- NHKで働いてたときは
“インタビューアー”
になったこともあるでしょ?
- 浅生
- あります。
ぼく、インタビュー得意です。
すごく得意です。
- 糸井
- それ、ちょっと思うんだけど、
相手が「何とかしたい」って
思っちゃうんだろうね。
- 浅生
- ぼく、質問して相手が話し始めたら、
だまって “じーっ” と聞いてるんですよ。
特にテレビだと、インタビューする人って
「あれもこれも聞かなきゃ」って焦って
いろいろ聞くんですけど、
ぼく、だまってカメラ回ったまんま、
“じーっ” と。
そうすると相手が沈黙に耐えられなくなって、
いろいろ言い始めるんですよね。
それで “うっかりなこと” しゃべっちゃったりするので、
結構なネタ拾えたりとかするんです。
- 糸井
- ちょっとわかります。
聞く側としては辛いけど、
聞かれる側でも辛いもん(笑)。
- 浅生
- すいません。
孤独に耐えられるので
“沈黙” とか “孤独” が、
ぜんぜん怖くないので。
- 糸井
- 多少思いやりとか無いもんなのかね。
相手は “沈黙” とか “孤独”、嫌だよ。
- 浅生
- 嫌だと思いますけど、
まぁ、ぼくじゃないので。
- 糸井
- (笑)
- 糸井
- NHK_PR時代なんて
“開き直り” を感じましたよね。
- 浅生
- ああ、そうですね。
- 糸井
- 陽動作戦みたいに、
呼び寄せて逃げるとかね。
あれ「NHK」っていう名前ついていながら
あれをやるっていう役は、なかなか‥‥。
あれはおもしろかったね。
- 浅生
- 相当ムチャでしたから。
- 糸井
- NHKの人がそういうことをやったっていうのが、
やっぱりショックでしたね。
誰が書いたかまったくわからなかったし。
- 浅生
- ぼくがいちばん緊張したのは、
「これからユルいツイートします」
って書いたときでしたね。
- 糸井
- あぁ。
- 浅生
- 「日常的なことをやります」っていうのを書くときは、
相当悩んだんです。
何度も文章書き直して。
要するに1人で舵を切ろうとしたんで。
それによって逆に “傷つく人” が
いっぱい出るかもしれないっていう恐怖は。
- 糸井
- あの、何だろう。
「それは人が言ったことがないな」
みたいなことがいっぱいあった。
だから、変なおもしろさ。
あれは、ほぼ24時間みたいなものですよね。
- 浅生
- いや、あれはほぼやってないんですよ。
- 糸井
- どういうことですか?
- 浅生
- 自動設定してあって、
だいたい前の日に翌日に
やることをワーッて書いて、
タイマーで設定しちゃって。
いわゆる返信とかリツイートも
全部タイマーで設定してあるんです。
- 糸井
- でも、俺なんかNHK_PRさんと何回か
リアルタイムでやりとりしたことがあるよ。
- 浅生
- リアルタイムをたまに混ぜると。
- 糸井
- 混ぜるんだ。
- 浅生
- たまに混ぜるんです。
ウソに “ほんと” を少し混ぜると、
全部が “ほんとに見える” っていう。
- 糸井
- そうか。とてもなるほどですね。
- 浅生
- ぼく、震災のあと、女川に直後から行って
FMラジオを作ったりとかしてたんですけど。
こっそり。
寄付したくなかったので、
福島に山を買ったんです。
- 糸井
- ちょっといいんですよ、それ。
- 浅生
- ぼくが買える程度の安い金額なので、
ぜんぜん大したことはないんですけど。
“山” 買うとどうなるかっていうと、
毎年「固定資産税」を払うことになるんですよ。
そうすると、
ぼくがうっかり忘れてても勝手に引き落とされる。
持ってる限りは “永久” に「福島のその町」と
つながりができるんですね。
だから、先月に、
また1つ「あっ」みたいな。
また、落ちてた。
- 糸井
- そろそろ。
まとめに入る?
<いよいよ、最終話へ>