こんにちは、浅生鴨です。
第3回 ニヤニヤしながら生きていたい
- 糸井
- 浅生さんの身の上に起きたあの、人生を変えるような大事件についても、もう何万回としゃべってる?
- 浅生
- そうですね。
- 糸井
- じゃあ、ここでは語らないでおこうか。(笑)(笑)
(ほぼ日注:31歳の時に合ったバイク事故のこと)
- 浅生
- 「凄いことが起こったんです、でも語らない」みたいな(笑)ひどいですね(笑)
勿論本当に死んだわけじゃないんだけど、一瞬心臓が止まって、やっぱり「死ぬとはなにか」をちょっと理解したんですよ。
- 糸井
- 身体でね。

- 浅生
- 死を体験しましたね。よく、死ぬのは怖くないから何でもできるみたいな人いるけど、あれは嘘ですね。「死ぬ」ってこういうことかと、分かったら怖くはなくなったんですが、やっぱり「嫌」ですね。怖いと嫌は別物です。
- 糸井
- より嫌になるでしょうね。きっと。
- 浅生
- うーん…。「死」ってすごく淋しいものなんだな、と思いました。
- 糸井
- それはね、若くして年寄りの気持ちを分かったね。俺は、歳をとるごとに死ぬ怖さが失われてきたの。
もう最後に映画の中で自分が「お父さん」とか呼ばれるシーンをもう想像しているわけ。その時に何か一言言いたいじゃない。それをしょっちゅう更新しているの(笑)
結構長いことこれがいいなって思ってたのは、「あー、面白かった。」だった。嘘でも良いからそう言って死のうと思ってた。でもこの頃は違うの。さぁ、命が尽きるっていう最期に、「人間は死ぬ」(笑)(笑)
- 浅生
- 真理を。
- 糸井
- 死ぬことは遺伝子に組み込まれているしね。
で、「死ぬ」ことがリアルになった時、「生きる」ことを考える機会も増えますよね?それはどうです?
- 浅生
- 何か世の中に遺したいみたいなものは、毛頭ないんですが、「死ぬ」ということはさびしいことだ。ということを体験したので、生きている間は楽しくしようみたいな。
別に、知らない人とワーってやるのは苦手なので、パーティーに行ったりとかする気は全然ないし、むしろそれを避けて引き籠りがちな暮らしなんですけど、それでも極力、人と接しようかなっていう。
大体、日ごろニコニコするのは上手じゃないので、ニヤニヤしながら生きていこうみたいな感じです。
- 糸井
- いいね、その展開の仕方。ニヤニヤで全部まとめちゃうじゃないですか。
- 浅生
- ニヤニヤしながら生きていきたいですね。
- 糸井
- オープンカーみたいなものも、みんなニヤニヤしながら買うじゃないですか。
- 浅生
- ニヤニヤしますね。
自分だけじゃなくて、それを見た人の反応を想像しても楽しめますよね。
- 糸井
- 屋根がないだけで、車ってちょっとおもちゃっぽくなりますよね。
浅生:
あれを見た人がやっぱり「派手な車」だとか。
- 糸井
- 「寒いんじゃないか」とかね。(笑)

- 浅生
- 皆がオープンカーに対していろいろ言うところが面白いですよね。
壊れた車だって、屋根がないから同じなはずなのに、最初から屋根がないだけで、良いことを言ってくれるというか。不思議ですよね。
- 糸井
- この前、浅生さんのオープンカーに乗せてもらったんです。味の素スタジアムから、東京まで。走っている感が強くなる分、ちょっと緊張感がありますよね。その分、ニヤニヤしがちですよね。
- 浅生
- 先生に怒られているときとか、必ずニヤニヤしますもんね。
- 糸井
- 神戸で、神戸でニヤニヤして生まれて。
- 浅生
- いや、生まれた時はニヤニヤしてないと思いますけど。
- 糸井
- ニヤニヤ、オギャーとはいかないか(笑)