特技は何か?
と問われれば「ゴキゲンでいること」。
いつからか、そう答えたいもんだと思うようになった。
技とつくからには訓練できると思っているし、
フキゲンな人は、事情はあろうが苦手だ。
気の弱い自分は、その雰囲気に飲まれるから。
どれくらい好きかと言われれば、
独立などする際には社名にしたいくらいだ。
電話口や挨拶で毎回「ゴキゲンの高木です」。いい。
もしくは、大好きな銭湯に入る権利と引き換えに、
首筋に太い文字で刺青をいれたいくらい。
いや、それは嘘だ。銭湯には行きたい。
いつからゴキゲンを意識し、また、
好きな物は好きと言える気持ちを
槇原敬之よろしく抱きしめて
「ゴキゲンが好きだねえ」というようになったのか。
こういう機会に改めて振り返ると、
あの年のあの出来事にあるんじゃないか?と
思い至った。
それは、2010年にペルーで起きた、
鉱山の崩落事故だ。
あえてWikipediaを先に進めず、記憶だけで書いてみる。
落盤した地下に33人の鉱夫たちが
閉じ込められて何日か。連絡は取れている。
奇跡的に皆、生きている。
昼のワイドショーで、
それを見ていた記憶が有る。
パネルに一人一人の
役割というか通り名というか、
キャッチコピーが付いていた。
確か、
「電気技師のスペシャリスト」とか、
「不死身の牧師」とか、格闘技番組のように
おお、こりゃすごい人だぞ、
と思わせるようなコピーの数々。
しかし、だ。
下にいくにつれ、どんどん適当になっていった。
「サッカーに詳しい」とかだったっけな。
とにもかくにもぞんざいになってゆき、
主要なメンバーのみが番組でも
クローズアップされる中。
6年経ったいまでも強烈に覚えている、
そのフレーズがあったのだ。
「パーティー好き」
パーティー好き!!
僕は猛烈にそのフレーズに惹かれた。
電気技師や牧師は物理的に、心理的に、
皆の生存を支えているだろう。
が、ただでさえギスギスしそうな環境において、
「パーティー好き」。
彼こそがヒーローだと
僕は思ってしまったのだ。
「ひゃー、まいったまいった。
あのドラマの続きが気になるのによー」とか
「やばくね?これ、無事に出られたら
映画化確定じゃね?どうする?お前の役、
誰がいい?竹之内?反町?ないでしょー」とか
「出てく時、ぜってー大統領とかいるっしょー
何やる?何やる?お前マリオだし、
スーパーマリオみたいに火とか出しちゃう?」とか
以上すべては想像だけれども、
そんなことを言っては
失笑をごっそり一手に買って出て、
全員生存へと導いたのではないかと思っている。
まだ会ったこともないし、
詳しく調べるつもりもない。
しかし、その「パーティー好き」こそが
僕のゴキゲンの原点のひとつではと今思う。
ゴキゲンを定義するならば。
それは災難や退屈といったマイナスに屈さず、
場の空気を変えられることだ。
プラスに解釈できる機微と想像力があり、
自らを変え、周りまで笑顔にできること。
日々の暮らしにおいては、この世知辛い世の中と
折り合いをつけ、渡り合うためのやわらかな武器だ。
僕は、それを何より大切にしたいし、
そういう人が、大好きだ。
そんな人について、
第二回では書いてみようと思います。