岐阜で生まれ育ち、現在は東京・武蔵野で家族三人、猫一匹と暮らしています。ファッションを中心に編集やライターの仕事をしています。狂おしいほどナッツが好き。最近のおすすめは中国発のスパイシーピーナッツ。

なりたくなかった“社長”になった日。

なりたくなかった“社長”になった日。

担当・なちまさと

ぼくはどうやら“社長”だった。
どうして曖昧な言い方なのかというと、
なりたくてなったわけではないし、
給料だってもらっていなかったし、
横断歩道の白線の数くらい興味がなかった。
長男という杓子定規の理由だけで
知らない間に役職がついていたのだった。
不動産や賃貸に関する仕事だということは、
ぼく以外の唯一の社員であり、
経理を担当している母から聞いていたけれど、
具体的に何をしているのか聞く耳すら持たず、
知りたいとさえ思っていなかった。

どうにも“社長”という肩書きが面映ゆくて、
不相応で、引け目を感じていたので
自分が社長であるということは
これまで誰にも告げたことはありません。
でも、これまで社長としてやるべき仕事に
かたくなに目を背けていた自分が、
出版社を辞めたこと、ほぼ日の塾の課題をきっかけに
はじめて社長業に向き合ってみました。

会社がある郷里の岐阜に帰って、
管理しているマンションを初めて掃除したり、
顧問の税理士の方にあいさつしたり、
同僚でもある母と対話したりして
これからの働き方、実家のこと、
将来のことを真剣に考えてみました。

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