- T女史
-
関西って、思ったことすぐ言う、みたいなとこあるよね。
私、大阪行ったとき、それで最初傷ついた(笑)。
大学で、授業が終わってみんな片付けしてたときに
私がまだ机にノートとか出してたら
「あんた遅いなあ!」って言われてさ。
そんなのろかったかな、迷惑かけたのかな、って。
- ――
-
え、うちの職場でダントツ仕事の早いTさんが
「遅い」と言われるとは‥‥。
- T女史
-
実家の長野のほうって、オブラートにつつむから
明確に「遅い」って言われたのにびっくりしたんだよね。
- オカン
-
目の前で起きたことに対して、言わずにはおれないのが
関西人のサガ‥‥。
- エエデ君
-
ハハハ! それはそうやなー。
ただ、事実を述べてるだけなんやけどな(笑)。
- T女史
-
うん、それが当たり前で、悪気もないってわかってからは
だいじょうぶだったけど。
- オカン
-
関西で水族館とか行ったら、
東京とちがってうるさいからね~(笑)。
オオサンショウウオとかがいて
「目ぇちっさ!!」「張りついとるやん!」
って、子どもたちがめっちゃさわいでる。
オオサンショウウオでこんだけの発話量!? って、
横浜生まれのうちの子どもたちもびっくりしてたわ。
- エエデ君
- あー、目に浮かぶなあ(笑)。
- オカン
-
大道芸とかやってても、関東ではみんなちゃんと見てるけど
関西だと最前列で子どもたちがめっちゃツッコんでんの。
大道芸の観賞の仕方がぜんぜんちがう。
- T女史
-
そういえば、USJもそんな感じだよね。
ウォーターワールドのショーとか、
ツッコミが入る前提のシナリオになってて、
へんな着ぐるみで出てきたら「それあかんやろ!」
とかってお客さんがどんどんツッコんでる。
ツッコまれたくてへんな服着てるんやろ!
みたいな目で、みんな(笑)。
- エエデ君
-
あ゛あ゛! いまハッとしたけどな。
うちの職場で、毎週社員がスピーチするいうのが
あるねんけど、よく考えたら、
おれだけ人のスピーチにツッコんでんな。
たしかに目の前のことに、すぐ言うてるわ~。
- みんな
- (笑)
- エエデ君
-
最後さ、締めのあいさつを偉い人がやるときも
「なんかないんかい!」とか、おれだけツッコんでるし。
そのしゃべってるやつが、
ツッコんでほしいくらいの顔してるように
見えるからな。
これはやっぱ“関西”やな、
広島ではそういう感じではないからな。
- ――
- また、顔の話が(笑)。
- エエデ君
-
あとさ、おれの奥さん関東の人やけど、
あほちゃうか!? って思わず言ったら
「あほとか言わないで!」ってえらい腹立ててたな。
- T女史
-
でも「あほ」の定義は、東京とぜんぜんちがうよね。
関西だと、ほめ言葉のときがある。
あいつあほやねん、みたいなのは、
かわいいとか、おもしろい、おいしいやつやな、
っていう意味だったりとか。
- オカン
- あと、関西は「きもっ!」ってよく言うかも。
- T女史
-
うん、私、大阪行ったばっかりのときに
「~~じゃん」っていう話し方してたら、
いきなり「きもい!」って言われた(笑)。
- ――
- え、「じゃん」は、きもいんだ!?
- T女史
-
男性の「~~だよね」とかの「ね」も
きもちわるいらしいよ。
- ――
-
まあ、あほも、きもいも、
あんまり関東では直接その人には言わないかもね。
- オカン
-
関東の人はさ、「あほちゃう!?」って言いたいとき、
どうしてんの?
- ――
- うーん‥‥。たぶん、なにも言わない。
- エエデ君
- ハハ! 言わへんのか。
- ――
-
そう、だから、そういう意味で
関西弁っていいなと思うとこがあって。
たとえば「それはちょっとまちがってる」
みたいなこと言いたいときに、
関西弁だったら、「ちゃうちゃう」「なにしとんねん」
ってツッコミ入れる感じで、
相手をあまり傷つけずに言いたいこと言える気が。
- オカン
-
ああ、それであんた時々職場で
えせ関西弁つこうとるんやな(笑)。
- ――
-
そ、そうです。すみません‥‥。
とくに関西人じゃない人がつかう関西弁は
にせものだけに、いい意味でペラっとしてて
本物の関西弁よりもつよすぎなくていいんじゃないかと
勝手に思ってる(笑)。
- オカン
-
そやね。たしかに、“関西弁を着る”
ようなことで、うまくいくことはあるかもね。
遠慮しいみたいなタイプの人にとっては
関西弁のキャラをかぶると、
言いたいことが少し言える、みたいな。
(つづく)