- ――
-
私の周りの人たちを見てると、
関西人は世話好き、みたいなイメージがあるんだけど
それって関西共通なのかな。
- T女史
-
関わり好きっていうか、
パーソナルスペースが広いとか、
人と人との壁が低い感じするよね。
- オカン
-
前さ、関西が舞台の某英会話教室のCMがあって、
お寺に行きたい外国人の人たちが
「テンプルテンプル」って地図見て探してたら
おっさんおばちゃんとかが集まってきて、
みんな英語がわからないんだけど、
なにかしてあげようと思ってどんどん輪が大きくなってきて、
「テンプラ? にいちゃん、テンプラ食べたいんか?」
とかワーワー言い出すみたいなやつ(笑)。
あれ、すごい大阪っぽいって思ったー。
- エエデ君
- あれほんまかな!?
- T女史
-
たしかに、信号待ちでも話しかけられるし、
居酒屋でバイトしてたとき、
お客さんみんな話しかけてきた。
- オカン
-
とりあえず、「なんだろう」って近づいてくる人たちが
関西のほうが多い気がする。
たとえばさっきのCMみたいに
明らかに自分がなにもできない、
役にたたないってわかった状況の場合は、
関東の人ってあんまりそれに近づかないかも。
- T女史
-
それと、だれかを助けるみたいなときに
東京あたりだと、だれかひとりが助けてたら
「あの人が助けてるから自分は行かなくても」
とか、逆に遠慮するみたいなところがあるけど、
関西の人は、何人重なろうが気にしないよね(笑)。
- エエデ君
-
それもあるけど、おれが思うのは、
関西の人は、相手を笑かしなれてる。
それで、だれかを笑かそうと思ったら
とにかくそいつが、どういうタイプのやつかがわからんと
ぜったい笑かせへんと思ってる。
だから、だれでもかれでも壁が低いってわけじゃなくて、
「こういう話だったらこいつはおもろいと思ってくれる」
っていう思考がはたらく。
そういう、“相手を見る目”がけっこうあるんやと思う。
- ――
- へぇ~、相手を観察してるんだ。
- エエデ君
-
そうそう。
その「相手の見方」がほかの地域とすごくちがうと思う。
ただの世話好き、やないで!
- みんな
- (笑)
- ――
-
そういえば、私の友人の関西人が
「相手のノリを探るためのボケを入れる」
って言ってたけど、それもそういうことかな。
- エエデ君
-
うん、近い。
まあ、ボケ入れんでも話してる空気でわかるけどな、
おれともなれば(笑)。
相手をよく見て、この人やったらええんちゃうか?
っていうのがわかる人が関西には多いから、
なんか「その人はええ」と思ったところに人が集まる。
ただ集まりたいから集まるんではなくて、
この人やったらおもろいことになりそうや、
と思うから集まってんねん。
脳みそのなかにその感覚が無意識にすり込まれてる。
- ――
-
つまり、相手をかぎわけてる。
相手をよく見てるから、おもしろくできるし
いい感じのコミュニケーションができる、と。
仕事のときとかでも、関西人の会話力を
うらやましく思うことがたまにあるんだけど、
そうか、まずその相手を観察する、
そういう努力を関西の人がしてるっていうのは
意外だったかも。
- エエデ君
-
こいつやったらこんな言い方ができる、とか
できへんとかというところをちゃんと知ってたり、
いままでの経験で、言い方のチョイスもたくさんあるから
そういう引き出しをつかって
うまいことやれてんのちゃうかなあ。
- オカン
- ふむふむ。なんか納得。
- T女史
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あと、そのストライクゾーンが広いよね。
よっぽどやばいやつじゃなかったら
行くっていうか(笑)。
関西の友達が東京に来たときに、
店員さんにやたら話しかけるのがすごい恥ずかしかった。
- エエデ君
-
ハハッ!
関西人が全員そうだとは思ってほしくないけどな。
おれかて東京ではそんなことせんで。
- オカン
- ほんまかいな(笑)。
(最終回へつづく)