ボクたちはみんな大人になれなかったスペシャルトーク 銀座LOFT編
第2回 「書き残すとうれしい」のは、なぜだろう?
- 糸井
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今日は手帳のイベントなんで、
「どうして思うだけじゃなくて書きたくなるんだろう」
って話を、してみましょうか。
- 燃え殻
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はい。
- 糸井
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燃え殻さん、前に話をしたときに
学級新聞みたいな壁新聞を作って毎日書いていたと。
- 燃え殻
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はい。
担任に言われたわけでもなく勝手に書いてて、
だから最後は不良にキレて破られたんですけど(笑)
当時本当に「何で書いてるんだろう」って
自分に問いたくなったぐらいです。
読んでる人いなかったから(笑)
- 糸井
-
(笑)
- 燃え殻
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たぶん、なんの意味もないのに書いてたんですよね。
ぼくは仕事の手帳も21冊全部取っているんですよ。
- 糸井
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らしいんだよね。
- 燃え殻
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その手帳に書いてあるのは仕事の予定だとか、
会った人の似顔絵だとか、うまかった天丼屋の箸袋だとか。
ぜんぜん大したことじゃないんです。
いいことも嫌なことも、大したことじゃないんです。
- 糸井
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うんうん。
- 燃え殻
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で、6~7冊は常にデスクの上に置いてて。
それを仕事中のちょっと時間ができたときに、
読み返すのが自分の安定剤になっていて。
多分そのために手帳を使っているんですね。
- 糸井
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うんうん。
そうすると、自分が生きてきた人生の中で
手帳に書いたことがちょっと浮き彫りになるんだよね
- 燃え殻
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はいはいはい。
- 糸井
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その感じっていうのと、
燃え殻さんの文章の書き方が密接につながっていて。
- 燃え殻
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近いかもしれないですね。
- 糸井
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小説の中の何気ない一日なんかでも、
同じことを経験しなくても共感してくれる人は、
けっこういると思うんです。
- 燃え殻
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そうですね。
- 糸井
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自分にしか見えない景色を切り取って
「これは俺しか思ってないかもしれない」と感じることって、
「悔しい」じゃなくて「うれしい」んですよね。
- 燃え殻
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すごくうれしい。
「経験してないけどわかるよ」ってところがうれしいです。
あとは見返すと手帳に書いてた悩みとか関係性が
どんどん変わっていくのがわかるとうれしいですね。