もくじ
第1回「どうして小説を書いたんですか?」 2017-10-17-Tue
第2回「書き残すとうれしい」のは、なぜだろう? 2017-10-17-Tue
第3回捨てる、思い出す、大人になる 2017-10-17-Tue
第4回燃え殻さんの「リズム&ブルース」 2017-10-17-Tue
第5回かさぶたと共に生きること 2017-10-17-Tue

1994年生まれ。ほっかいどうの田舎そだち。
出版と映画のしごとをしながら、勉強をしています。
好きな曲はベベチオのブラウニー、好きな映画はぼくの伯父さん、すきな楽器は小太鼓です。

ボクたちはみんな大人になれなかった</br>スペシャルトーク 銀座LOFT編

ボクたちはみんな大人になれなかった
スペシャルトーク 銀座LOFT編

第5回 かさぶたと共に生きること

燃え殻
今、ほぼ日さんで感想を送る…
糸井
あ、あれ面白いねえ。
燃え殻
その感想が、途中から悩み相談みたいになって
答えててもほんと面白くて(笑)
糸井
答えが偉い!ちゃんと向き合ってて。
燃え殻
いや、もうそうするしかないですよ。あれは。
その人たちはネットにメールするほど相当悩んでる。
ってことはそれぐらい傷ついたり、悩んだんで。
もう投げ出さなかったという時点ですごいなあって。

考えてみたら、ぼく自身が好きな映画だとか小説も、
観たあとに自分語りをしたくなるんですよね。
そういったものが自分でも作れたのなら、ああ嬉しいなって。
糸井
できてますよね。
とんでもない角度からいろいろ質問を受けているんだけど
あそこで相談に答えてる燃え殻さんは、
同じ目線に立ちながら、ものすごく一生懸命に考えてて、
エッセイでもなんでもないのに
ものすごい発見もあって、全部面白い。
燃え殻
えーありがたい。
糸井
『谷川俊太郎質問箱』っていう
谷川俊太郎さんの人生相談の本をうちで出してるんだけど
燃え殻
はい、ぼく持ってます
糸井
いいでしょう?あれくらい面白い。
燃え殻
え?
糸井
本当にそう思う。
燃え殻
ああ、ありがとうございます。
糸井
もう人生相談士って職業名に・・・・(笑)

燃え殻
また怪しい(笑)
糸井
あれは、いい意味での気の弱さのおかげで、
相談してきた人に嫌な思いをさせないような
書き方になってるのが何よりもいい。
燃え殻
ああ~
糸井
本心で、効率的に回答しようとすると、
「一回傷つけてでも言ってしまおうか」
「厳しいこと言うけど絶対この方がいいから」
ということはあって、ぼくもよくやるんです。
燃え殻
はい。
糸井
けど、燃え殻さんの回答は
人生相談に「答えてる」というよりは
その人の隣りで「慰めてる」んですよね。
燃え殻
ああ、そうです。
そう思って答えてました。
糸井
中には「境遇や悩みをごまかすな」って
言う人がいるかもしれないけど、
「ごまかすことで、もしかしたら
 明日は笑って過ごせるかもしれない」
と思うことは、ブルース的だともいえる。
燃え殻
あー、そうなんですよね。
「傷が癒えて、きれいになりました」ってのは
すごく素晴らしいことですけど、
そんなことばっかりじゃないから
糸井
そうそうそう。
燃え殻
かさぶたのままだったり、止血しながらでも
生きていかなきゃいけないじゃないですか。
糸井
そうそうそう。

燃え殻
僕、悩みをいつも一旦保留にしてきたんですよ。
だからこそ生きてこれたってことがたくさんあって。
糸井
あるあるある。
ムシャクシャしたことでも
ウワーッって泣いた後、ウッウッって
泣きやむと終わるじゃないですか。
そのうちテーマごと忘れたりして
どうにかなりますよね(笑)
燃え殻
わかります。わかります。
糸井
あの、泣いているだけの状態に対して
手を差し伸べるのがなんか本当・・・・
だからあなたモテるんですよ(笑)
燃え殻
モテない。モテない(笑)
糸井
(笑)じゃあ、これで終わりにします。
いっぱいしゃべってる無口じゃない燃え殻さんが
味わえたと思います。ありがとうございました。