木の枝がなぜ好きなのか。
まずは、それが枝分かれしているからです。
枝を目で追っていくと、分かれる。
その一方を追っていくとまた分かれる。
同時に、追っていかなかったほうの枝も分かれている。
うっかりそれを見に行ったら、
もともと見ていた方の枝が、次の分かれ道にさしかかる。
その間にも枝はどんどん分かれていき、
いろいろな形をした線がいろんな方向へ、
次々と同時に走り始める‥‥。
ああ。
思い浮かべるだけで、脳内に快感が走ります。
しかも、同じ形は、存在しない!
そして毎日、形が変わっていく。
ところで、
木はなぜ枝分かれしていくのでしょうか。
調べたら、フィナボッチ数列という、
イタリアの数学者、
フィナボッチさんが見つけた法則と
関係しているようです。
0、1、1、2、3、5、8、13、21、34、55‥‥
三つめ以降の数の、前の二つの数字の和が
次の数字になる数列。
植物はみんなこの法則で増え、
らせん型に成長していく。
木も、1本の幹が2本に分かれ、
2本のうちの1本が2本に分かれて3本になり、
そこから次の枝分かれで5本に‥‥と、
この数列どおりに分かれていくそうです。
バラの花びらや、まつぼっくり、
ヒマワリの種などの数や、枝の木の葉、
貝殻のらせん構造や、
ロマネスコという、うずまきだらけの
カリフラワーのいとこみたいな野菜まで、
みんな内側から同じ規則性で、
らせんを描きながら、増えていく。
ギリシャでは、この数列の隣り合う数の比が
黄金比として見いだされ、
最も美しい比率、1:1.618として、
知られるようになりました。
人間の顔から神殿などの建築物、
最近では有名IT企業のロゴまで。
このタテヨコ比率でできているものを、
人は美しいと感じるようにできているらしい。
黄金だけに、
数の美しさの、極みなんですね。
だから枝分かれって、目にも脳にも気持ちいいんだ。
でも、これを知ってから、
道端の木や花びら、葉っぱはもちろん、
まな板の上の切り立てブロッコリー、
スーパーでパイナップルを見かけたときまで、
目に入るものの数や枝分かれ具合、らせん具合を
ついつい、いちいち確かめてしまいます。
(つづきます)