- 清水
- ほぼ日、もう70人になったって?
- ほぼ日
- 社員はそうです。
- 糸井
- 増えたよね。今度アルバイトの子も一緒に、100人以上で社員旅行に行く予定なんだけど。
- 清水
- バス貸し切りってことか、幹事大変ですね。
- 糸井
- そういうの、うちはなんとかなるんですよ。
旅の栞とか、もう1冊の単行本みたいになってるらしい(笑)。
- 清水
- (笑)
- 糸井
- 仕事と遊びに同じ労力をかけてるんですよ。
遊びが仕事の練習にもなるんで。
- 清水
- そういうものですかね。
- 糸井
- うんうん。清水さんだってさ、テレビで寂聴さんが喋るのを見てて、「いいなあ」と思ってるのは、仕事か遊びかわかんないでしょう?
- 清水
- そうだね。おいしいなあと思って見てる(笑)。
- 糸井
- おいしいなって食べてるわけだから(笑)
多分同じようなことで。
- 糸井
- 俺、清水さんのステージを見て30年にもなるけど、あなたは文章も面白いよね。うちで連載してた時代があったじゃないですか。あのときに、いつもいいなあと思ってて。
- 清水
- わあ、本当?
- 糸井
- 社内で「みんな、このくらい書けるようになりなさい」って言ったことがありますよ。
- 清水
- うれしい。頑張ろう。
- 糸井
- ご本人は、文章は何だと思ってんの?
- 清水
- ブログなんかは、日記として書くとスッキリして寝られるから、寝る前のトイレみたいな感じですかね(笑)。
- 糸井
- ほう。でも、ブログだって何も思わないで生きてたら書けないじゃないですか。思ってる分量は多いよね。
- 清水
- うん、きっと多いと思う。それでいうと、高校生のときに自分で作った『おもしろノート』にエッセイを書いてて。
- 糸井
- へぇー。
- 清水
- それをクラスで「今回も書きましたけど、読む?」って回して、友達が笑ってると「もうすごい幸せ」みたいな。
- 糸井
- ああ。周りの人が面白がるみたいなのが原点だ。
生い立ちというか成り立ちが、あの人を思い出すね。さくらももこさん。
- 清水
- ああ、たしかにちょっと似てるかも。
- 糸井
- 思ってることを別に人に言うわけじゃないけど、「あ、あいつがおかしいことしてるなあ」って見てる(笑)。
- 清水
- それをあとで、ちまちまと書く(笑)。
- 糸井
- でも、文章の修業をしたつもりは全然ないわけだ。勉強はきちんとやるほうだったの?
- 清水
- うん。これでも一応教員免許は取りましたよ。
うちの田舎は、短大とか大学行くからにはそれがおきまりのコースだったから。
- 糸井
- へっちゃらなんだ、そういうの。
- 清水
- 勉強が好きかってうとたぶん違うけど、家政科だったし料理は面白かったですね。
- 糸井
- ドロップアウトをしてないんですよね、つまりね。
- 清水
- うん、してないです。
親に心配かけるようなことはしてない。
- 糸井
- なのに、やってることは、ずーっと(笑)。
- 清水
- もう、とにかくうちの両親は、森山良子さんの「ざわわ」をやめろやめろって。「まあまあ、もう今年でやめますから」と言い続けて30年も経ってる(笑)。
- 糸井
- (笑)
- 清水
- そんな感じの父母だし、弟もわりと真面目なんだけど、うちの家系に「嘘つきエイザ」って呼ばれてた、ひいおじいちゃんがいたらしくてね(笑)。
- 糸井
- うん(笑)。
- 清水
- 普通、嘘って自分の名誉とかお金のためにつくじゃないですか。
でも、ひいおじいちゃんはそうじゃなくて、本当に自分の楽しみのためにだけに嘘ついてて。
- 糸井
- 欲望に忠実な嘘つき(笑)。
- 清水
- 偉いお坊さんのところに行って、「〇〇家のおじいちゃんが亡くなったから、すぐ行ったほうがいい」とか真顔で嘘ついて、それでお坊さんがあわてて飛んで行くでしょう?
それを見て、1人ですっごい笑ってたんだって。「飛んでった、飛んでった」って(笑)。
- 糸井
- なんて単純な(笑)。
- 清水
- そう。それを何回も1人で繰り返してた人が、私の祖先なの(笑)。
(つづきます)