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ここまでだけでも、北野天満宮は
すごいね、やっぱり。 |
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来てよかったです。
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この三光門も、
国宝のご本殿も、すべて
豊臣秀吉公の遺命を受けて
息子である秀頼公がご造営されたものです。 |
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豊臣秀吉の。 |
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造られたのが1607年。
ざっと計算して、400年以上は
このままのかたちでここにあります。 |
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火事にも遭わずそのまんま? |
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もともと北野天満宮のご創建は947年で、
千年以上前からここに神社はあるんです。
最初はちいさなおやしろからはじまって
幾度となくご造営をくり返しました。
たしか、室町時代あたりに一度、
火事に見舞われてます。 |
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ああ、そうなんですね。 |
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はい。
そして、豊臣秀吉公の時代になって、
いま現在の立派な御本殿になりました。 |
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それが、1607年。 |
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安土桃山です。
その建築の文化の力が集約されています。
いまでこそ、色あせてるようにも見えますが、
当時はすごく壮大な御本殿だったでしょう。 |
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うーん‥‥。
だけど、どこかで馴染みのあるような
気がするんですよ。 |
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そうです、そうです、
日光東照宮の権現造り。
東照宮の御本殿はうちの御本殿が
モデルになってるんですよ。 |
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あれ?
こっちの後で、日光ですか? |
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日光は徳川時代で
こっちは安土桃山。
だから、天満宮の御本殿が先。 |
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ああ、そっか。先なのかぁ。 |
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ここは八棟造り(やつむねづくり)という
神社建築なのですが、
当時、とても斬新な造りでした。
道真公がおいでになる御本殿と
お参りに来られたみなさんが、
同じ高さで同じ空間に
入れるようになっています。
ご祈祷の方は中まで入れます。
同じ床の高さで同じ空間の中に入れる、
そういうような造り方は
それまでの神社にはあまりありませんでした。
だいたいは、お参りされるところと
神様がいらっしゃる場所は
離れていることが多かったんです。
つまり、「屋根が分かれている」という建築。
しかし、ここの「八棟」は、
棟が大屋根でつながって
ひとつの空間になっています。 |
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なんか、現代的だね。 |
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ひらかれた感じですね。
ほんとうに「八棟」あるわけじゃなくて、
たくさんの棟が屋根でつながってる、
ということなんですね??
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そうそう「八宝菜」とかね! |
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「七味」とかもね! |
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庶民に親しみを持たれていた神様、
ということが言えると思います。
修学旅行の時期は、あそこに
何十クラスと生徒さんが上がるんですよ。
みなさん、なにをされるかというと、合格祈願。 |
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ははは、それはもう、みんな。 |
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真剣だねぇ。 |
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いまもすごい行列ですよ。 |
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これは、我々、いま
お参りのために並んでるんですね?
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そうです。気づけば並んでる、
みたいにも思えますけど、
これは我々、お参りする気
まんまんでしょう。 |
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列、すごいな。 |
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どこからお参りしていただいても
結構なんですけども、
やはりみなさん、中央の鈴を
鳴らしてお参りしたいという
お気持ちがあるようで
このような行列になっています。 |
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みんな、とっても
きちんとしてるんだねぇ。 |
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もう我々が言ってもみなさん、
聞いていただけませんので、
どうしても並んでしまわれます。
ありがたい話ですけれども。 |
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では、これはべつに
横から行ってもいいってことですね? |
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ぼくはたいてい横から行きます。
でも今日は中央から行きましょう。 |
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あのさ、
「どれにしようかな てんじんさまのいうとおり」
とか言わなかった? |
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「とおりゃんせ」の歌でもね、出てきますよ。 |
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ああ、「とおりゃんせ」。
「ここはどこの 細道じゃ」 |
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「天神様の 細道じゃ」
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親しまれていたんだねぇ。 |
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江戸時代の寺子屋には、床の間の掛け軸に
必ずといっていいほど
天神様の御肖像画が掛けられていたといいます。
そのあたりから学問の神様として
全国に広まって、
天神信仰というのが浸透したと
ひとつには言われています。
それまでは畏れられた神様だったんですよ。 |
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畏れられていた‥‥? |
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雷の神様ということもあるんでしょうね。
平安時代は御霊信仰といって、
政治的なことなどで無念の死を遂げられた方を、
怨霊──という言い方は、
我々はいまはしないですけれども──
いわば「祟り」というように捉えていたことが
過去にはありました。
そのお御霊をお慰みして
手厚くお祀りするために
建てられたという意味も、
創建の理由としてはあります。 |
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ほほぅ。 |
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創建当初は、そういった気運がありましたが、
時代とともにだんだん
菅原道真公のご生前の功績が
讃えられるようになりました。
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やっぱり学問をたいへん、
がんばられた、と。
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そうです。 |
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天神社って全国に
どのくらいあるんですか? |
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だいたい、1万です。 |
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1万!
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大小ありますが、
1万数千社といわれてます。 |
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お稲荷さんも八幡さんもいっぱいあるけど。 |
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天神さんも多いんですね。 |
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全国で最も多いのは八幡宮です。
そして、お稲荷さん、天神さんです。 |
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その次に、天神さんですか。 |
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誰もが家の近くにある、ぐらい
いっぱいなんだねぇ。 |
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だから「とおりゃんせ」はけっこう
どこの地域にも通ずるんですね。
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ここに初詣に来られる方は、
毎年どのくらいですか? |
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そらもう、初詣のときは、すごいです。
こんな状態ではない。
ですから、お正月は鈴をはずします。 |
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試験前でもあるもんね。
鈴をはずしても鈴なり!
なんちゃって。 |
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‥‥‥(うまい)。 |
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だけど、いちばん混むのは
やっぱり梅のとき。 |
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梅? |
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梅が咲きはじめたら、みなさんすごいです。
天神様と梅はもう、
切っても切れない縁がございます。
ここにも1500本ほどの梅があります。
次は2月3月、
ぜひ梅のときにいらしてください。 |
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梅がお好きで、太宰府から
北野の梅を忍ばれていたんですよね。 |
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(忍さん‥‥) |
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(北野の忍さん‥‥) |
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天神さんは梅が
象徴のようなものですからね。
湯島天神にも梅はあるし、
太宰府にもある。 |
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お、そろそろ順番ですよ。 |
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では、お参りしましょう。
二礼二拍手一礼ですね。
順番に、順番に‥‥。 |
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(天神様に、お参りします。つづきますよ) |