『日本の神様』著者、
畑中章宏さん。
おかしな一団のリーダー役。
神様が好き。
グラフィックデザイナー、
祖父江慎さん。
あちこち寄り道するのが
大好き。
イラストレーター。
100%ORANGEの
及川賢治さん。
虫が好き、ハイキング好き。
ほぼ日乗組員。
ふりまわされるのが好き、
首をつっこむのも好き。
デコボココンビ。
北野天満宮を
案内してくれます。
かっこいい権禰宜さん。
大将軍八神社を
案内してくれます。
人気者の宮司さん。
第5回 後ろの正面。
ほぼ日

学問の神様、天神様を
参拝します。
なんだか、北野天満宮には
いくつか不思議なことがあるようです。
これはきっと、
不思議好きのハタナカリーダーの
目が光るにちがいありません。

ハタナカ (がらんがらーん)
ハタナカ ソブエさん、
いつもお参りは長めですね。
ソブエ お参りするときって
すごく素直になるね。
あれってなんなんだろーな。
ね、なんてお願いしたの?
ほぼ日 やっぱり頭がよくなりますように、って
お願いしてしまいました。
東川 さてみなさん、八棟造りを見ながら、
本殿の裏に行ってみましょう。
ちょっと不思議なことがあるんですよ。
ハタナカ 本殿は、おっしゃるとおり
棟がつづいてますね。
オイカワ すごく大きいですね。
東川 本殿は本来、横からも入ることができます。
ごらんいただくとわかるのですが、
地面の高さが床の高さでしょう?
ほぼ日

段差がなくて、
そのままスーッと入れる。
オープンな感じですね。

東川 平成14年は、
天神様がお亡くなりになって
1100年の節目の年でした。
お祭りもあって、
桧皮葺の屋根を葺き替えたり
塗をきれいにしました。
神社というのはそうして、
維持されていくようになっているんです。
オイカワ お祭りがあるたびに
建物をしぜんに
きれいにしていくんですね。
ソブエ うまくできてるんですねぇ。
東川 で、ここなんですけれどもね。
こちらは、さきほどお参りしていただいた
本殿の裏手です。
ハタナカ ここは‥‥‥?
東川 ちょっと、不思議でしょう?
北野天満宮は、裏からも
お参りできるようになってるんです。
ここには道真公のご先祖さまが祀られています。
ハタナカ そうだったんですか、裏からも!
‥‥お参りさせていただいてもよろしいですか?
東川 ぜひ。
ソブエ ここには鈴はないんですね。
オイカワ

裏からもお参りできるって不思議だなぁ。
あれれ?
あっちにも神社がある。
別の神社?

ソブエ

ほんとだねぇ。
あれはつまり、
Y100M70よりも、もっとオレンジですね。

ほぼ日 ‥‥‥‥‥‥‥‥。
オイカワ そうですね(真剣)、
Y90M50、きっとそれくらいですね。
ソブエ Mは、うーん、
50あるかにゃあ?
オイカワ それじゃ、48ぐらいでしょうか。
ソブエ 48だね。
結構な明るさでござる。
ほぼ日 ‥‥‥‥‥‥‥‥。
ハタナカ あのおやしろの、朱の色のことですか?
ソブエ はい。色のかけあわせで表現してみました。
(M=マゼンタ=赤、Y=イエロー=黄)
オイカワ そうとう大胆なオレンジですね。
印刷物にはふつうはあまり使わないかな?
あ、でも
ソブエさんはけっこう
こういう色、使いますね。
ソブエ あい。使う傾向にありますねぇ。
100%ORANGEに対して、
これは90%オレンジ?
それとも110%オレンジ? ふふふ。
東川 ‥‥‥‥えーっと‥‥?
ソブエ はっ、すみません
ついつい仕事の話を。
東川 いえ(笑)、
このオレンジのお社について、
ひとつお話ししていいですか?
ソブエ お、やった、なんだろう。
東川 みなさん、表参道から
鳥居をくぐってお越しになられましたね?
ソブエ

はい。男湯と女湯、
もしくは関西の関東の
エスカレーターのように
左右に分かれることもせず‥‥

オイカワ かなりインターナショナルに
くぐって参りました。
東川 神社というのは、門を入った正面に
御本殿があるのが常だと思うんですが、
うちの御本殿はごらんのとおり、
すこし西側にずれてるんです。
ハタナカ うん、うん、
そうですね。
東川 では、楼門から見た
正面には
何があるかというと?
ハタナカ あ! つまりはこの
オレンジの神社が正面なんですね?
東川 そうなんです。正面にはこの
地主神社があるんです。
オイカワ これが入口の正面?
ソブエ 後ろの正面?
東川 なぜ、これが正面にあるかというと。
全員 というと。
東川 北野天満宮の御本殿ができる前に
すでにこのお社があったからです。
ハタナカ ああ、
なるほど。
ほぼ日 高尾山のときも、たしか
薬王院よりも先に建っていた神社が
裏手にありましたね。
東川 ここは土地の神様をお祀りしています。
天の神、地の神です。
天満宮の御本殿を造営する際に
先にあったこのお社を動かすのは
しのびないので、
御本殿を西にずらして造ったのです。
全員 へえぇ。
ハタナカ ここに書いてありますね。
「天満宮創建以前よりこの地に鎮座していた」
オイカワ あのぅー、みなさん、
あまりにも熱心に看板を見てると
どんどん人が寄ってきますよ。
東川 ですから、北野天満宮は
「筋違いの本殿」という
言い方をされます。
ソブエ 筋違いって言われてる。
おもちろいなぁ!
東川 そういう不思議な感じのことが
このほかにもあります。
「七不思議」と言われて、
信仰の対象のひとつとなっています。


ソブエ

不思議なことがたくさんあって
たのしいねぇ。

ほぼ日 歴史があるから、不思議なことも
その分できあがって
信仰されていく、
ということもあるのかもしれないですね。
東川 気づかれたかもしれませんが、
ここの境内にいる牛は全て寝てるんですよ。
オイカワ なぜ寝てるんですか?
東川 さきほど少し言ったことと重なるんですが、
菅原道真公が太宰府で亡くなられて、
なきがらを牛車でお運びして
ある場所で牛がうずくまった。
おつきの者が押しても引っ張っても動かない。
そこでお墓をたてることにした。
そのときの牛の姿がまさに、
境内にいる臥牛です。
 

(つづきます。次はお口の大きな
 大黒さんが出てくるよ!
 ソブエさんの幸運を引き寄せる技術、必見)

七不思議 本殿背面の「裏の社」、
参道と本殿がずれた「筋違いの本殿」のほか、
天神様が降臨して
雪見の歌を詠むという「影向松」、
星が刻まれていない説がある「星欠けの三光門」、
境内唯一の「立ち牛」、天狗が棲む「天狗山」、
そして次回に紹介する「大黒天の燈篭」です。
2012-02-09-THU