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第1回 辛いけど、おいしいカレーのような。
シェフ
『クワイエットルームにようこそ』の試写を
最初に見たのが小池さんとゆーないとさん。
「面白かったー!」
って元気いっぱいで帰ってきたんだよね。
コイケ
帰り道、テンションが上がりすぎて、
六本木の試写室から青山まで
歩いて帰ってきちゃったくらいです。
「すごくいいものを見て悔しい!」
って思っちゃうくらいで。
シェフ
なんで悔しいんだー(笑)。
ゆーないと
なんかもう、よくできすぎてて、
すーごいなんか悔しくなったんです。
シェフ
生意気〜(笑)?
ゆーないと
そう、生意気! すっごい生意気。
でもすっごい感激団しちゃいました。
シェフ
アスミック・エースの担当のかたが、
「試写直後の感想が、2つに分かれるんですよ」
とおっしゃってて。
エンタテインメントとして堪能するタイプと、
ずっしり受け止めるタイプがいて、
ゆーないとさんたちが堪能タイプだとすると
僕と山下さんは、ずっしりタイプのほうで。
「女の人は、もうみんな『楽しかった』って
 帰ってってくれるんですよ」って。
むしろ男のほうがね、弱いんだな。
‥‥ぼくらも六本木から、やはり、
歩いて帰ってきたんですが‥‥。
山下
それはなぜかというとですね、
いまは狭いところに入りたくない、
地下鉄やタクシーに乗りたくないと。
一同
えー!(笑)
シェフ
そもそもですね、
閉所がちょっと僕は怖いんですよ。
なので‥‥
山下
このものがたりは、
閉ざされたところのお話ですもんね。
シェフ
そうなんですよ。しかも、
ジェットコースターの線路が見えてるみたいに
とってもわかりやすくつくられた映画なので、
これから先の「すごいことになるぞ」っていう
期待すら、恐怖になっちゃって!
閉鎖病棟を舞台にした話なんですけど、
くわしくは「あらすじ」のほうを
読んでいただくとして、
‥‥あのね、自分がそこにいても
おかしくない、と思って見ちゃったんですよ。
ゆーないと
ああ、そうか!
わたしはただ「面白ーい!」だったんだけど、
シェフみたいに見たら、そりゃ怖いかも。
シェフ
そう。何かのボタンを掛け違えたら、
そこにいたかもしれないっていうぐらい
最初から最後まで、
ずーっとリアルな話として見てたんです。
山下
主人公もそういうふうに、
「私は違うんだ、違うんだ」って言いながら、
少しずつ、そこにいなければならない理由が、
明かされていくでしょう。
シェフ
そうそうそうそう。
山下
自分もそこにいたら
「私は違うんだ」ってことを
証明できないんじゃないかなって。
コイケ
確かに。なんかいろんな人が
出てくるじゃないですか。
中にいる人、みんな違うんだけど、
でも、もしかすると、1人の人間の中に、
それは私のなかにも、
けっこうみんないるかもしれない、
っていうのは思いました。
シェフ
うん、全員に感情移入しましたよ。
病院の中にいる人だけじゃなくて、
主人公の恋人である
宮藤官九郎さん演じる鉄雄にしてもそうだし、
その弟子の、妻夫木くん演じる「コモノ」
にしてもそうだし。
ものすごいキャラで出てくる
大竹しのぶさんの「西野」にもそうだし、
怖いナース「江口」のりょうさんにもそうだし、
もう全部に自分がいてね、もう‥‥本当に。
ゆーないと
相当疲れますよ、それ!
シェフ
そう、ものすごく疲れたものだから、
せめて空が見えるところを
歩いて帰ろうと思って
山下さんに「歩いて帰りませんか」と。
コイケ
「どうでした?」
と訊いたときのシェフの後ろに
漫画だったらドーンという
タテ線が入ってた!
シェフ
重かったぁ。でも、でも面白かったです。
ゆーないと
「でも面白い」って言えちゃうんですよね。
シェフ
言えます。言える。
それには何時間‥‥何日間か必要だったし、
もっと言うと翌日より翌々日より、
1週間以上経った今のほうが、
「あれは面白かったよ!」って言えます。
ゆーないと
はぁ‥‥すごいですね。
山下
レストランに行って
「この、カレーください」と言ったときに、
ウェイトレスの子が、
「当店のカレーは、ちょっと辛いですよ」
と言ってくれたりするでしょう。
そういう感じで、
この映画を勧めたいです。
リアルな愛とかが描かれていて
面白いんだけど、でも、
毒もありますよって。
モギ
結局、「ほぼ日」で見た人で
楽しまなかった人はいないわけよね。
山下
そうなんです。
揺さぶられてんですよね、すごく。
モギ
私は、ゆーないとさんと、
シェフみたいなのの、
中間あたりにいるかもしれないなと思って。
松尾スズキさんの視線、
どういう意図なのかは全然まったく
わからないけど、
拒絶するでもなく認めるでもなく、
すごい淡々としてるから、
その目線のフラットさに感動しました。
いろんな人を見る目の。
なんか全部を肯定する感じの目線を感じて、
いい映画だっていうか、
明るい映画だって思ったの。
コイケ
あと、松尾さんのすごいところは、
やっぱ女性の部分も男性の部分も
両方すごく描けてるところ。
松尾さんの中の女性成分と
男性成分のバランスが、いい‥‥って言うと
あんまりしっくりこないかも
しれないですけど、
すごくあるんだなと思って。
やっぱり映画って、作品によって
「あ、男の人寄りだな」とか
「女の人寄りだな」とかって
けっこう思うんですけど、
『クワイエットルームにようこそ』は
どちらでもなかったですね。
 
(つづきます!)
   
 
2007-10-03-WED
 
(C)2007『クワイエットルームにようこそ』フィルムパートナーズ

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今回の感激団メンバー
シェフ ゆーないと モギ
コイケ 山下 田口
なんこ    





感激団による
『クワイエットルームにようこそ』
のあらすじ
 
くわしくは、こちら

試写会のおしらせ
日程:2007年10月11日(木)
時間:18時30分開場
   19時開演
会場:スペースFS汐留
くわしくは、こちら

映画『クワイエットルームにようこそ』 公式サイト
大人計画オフィシャルホームページ
松尾スズキ公式ホームページ「松尾ヶ原」
書籍『クワイエットルームにようこそ』