『クワイエットルームにようこそ』の試写を 最初に見たのが小池さんとゆーないとさん。 「面白かったー!」 って元気いっぱいで帰ってきたんだよね。 |
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帰り道、テンションが上がりすぎて、 六本木の試写室から青山まで 歩いて帰ってきちゃったくらいです。 「すごくいいものを見て悔しい!」 って思っちゃうくらいで。 |
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なんで悔しいんだー(笑)。 |
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なんかもう、よくできすぎてて、 すーごいなんか悔しくなったんです。 |
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生意気〜(笑)? |
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そう、生意気! すっごい生意気。 でもすっごい感激団しちゃいました。 |
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アスミック・エースの担当のかたが、 「試写直後の感想が、2つに分かれるんですよ」 とおっしゃってて。 エンタテインメントとして堪能するタイプと、 ずっしり受け止めるタイプがいて、 ゆーないとさんたちが堪能タイプだとすると 僕と山下さんは、ずっしりタイプのほうで。 「女の人は、もうみんな『楽しかった』って 帰ってってくれるんですよ」って。 むしろ男のほうがね、弱いんだな。 ‥‥ぼくらも六本木から、やはり、 歩いて帰ってきたんですが‥‥。 |
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それはなぜかというとですね、 いまは狭いところに入りたくない、 地下鉄やタクシーに乗りたくないと。 |
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一同 | えー!(笑) |
そもそもですね、 閉所がちょっと僕は怖いんですよ。 なので‥‥ |
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このものがたりは、 閉ざされたところのお話ですもんね。 |
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そうなんですよ。しかも、 ジェットコースターの線路が見えてるみたいに とってもわかりやすくつくられた映画なので、 これから先の「すごいことになるぞ」っていう 期待すら、恐怖になっちゃって! 閉鎖病棟を舞台にした話なんですけど、 くわしくは「あらすじ」のほうを 読んでいただくとして、 ‥‥あのね、自分がそこにいても おかしくない、と思って見ちゃったんですよ。 |
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ああ、そうか! わたしはただ「面白ーい!」だったんだけど、 シェフみたいに見たら、そりゃ怖いかも。 |
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そう。何かのボタンを掛け違えたら、 そこにいたかもしれないっていうぐらい 最初から最後まで、 ずーっとリアルな話として見てたんです。 |
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主人公もそういうふうに、 「私は違うんだ、違うんだ」って言いながら、 少しずつ、そこにいなければならない理由が、 明かされていくでしょう。 |
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そうそうそうそう。 |
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自分もそこにいたら 「私は違うんだ」ってことを 証明できないんじゃないかなって。 |
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確かに。なんかいろんな人が 出てくるじゃないですか。 中にいる人、みんな違うんだけど、 でも、もしかすると、1人の人間の中に、 それは私のなかにも、 けっこうみんないるかもしれない、 っていうのは思いました。 |
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うん、全員に感情移入しましたよ。 病院の中にいる人だけじゃなくて、 主人公の恋人である 宮藤官九郎さん演じる鉄雄にしてもそうだし、 その弟子の、妻夫木くん演じる「コモノ」 にしてもそうだし。 ものすごいキャラで出てくる 大竹しのぶさんの「西野」にもそうだし、 怖いナース「江口」のりょうさんにもそうだし、 もう全部に自分がいてね、もう‥‥本当に。 |
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相当疲れますよ、それ! |
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そう、ものすごく疲れたものだから、 せめて空が見えるところを 歩いて帰ろうと思って 山下さんに「歩いて帰りませんか」と。 |
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「どうでした?」 と訊いたときのシェフの後ろに 漫画だったらドーンという タテ線が入ってた! |
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重かったぁ。でも、でも面白かったです。 |
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「でも面白い」って言えちゃうんですよね。 |
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言えます。言える。 それには何時間‥‥何日間か必要だったし、 もっと言うと翌日より翌々日より、 1週間以上経った今のほうが、 「あれは面白かったよ!」って言えます。 |
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はぁ‥‥すごいですね。 |
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レストランに行って 「この、カレーください」と言ったときに、 ウェイトレスの子が、 「当店のカレーは、ちょっと辛いですよ」 と言ってくれたりするでしょう。 そういう感じで、 この映画を勧めたいです。 リアルな愛とかが描かれていて 面白いんだけど、でも、 毒もありますよって。 |
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結局、「ほぼ日」で見た人で 楽しまなかった人はいないわけよね。 |
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そうなんです。 揺さぶられてんですよね、すごく。 |
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私は、ゆーないとさんと、 シェフみたいなのの、 中間あたりにいるかもしれないなと思って。 松尾スズキさんの視線、 どういう意図なのかは全然まったく わからないけど、 拒絶するでもなく認めるでもなく、 すごい淡々としてるから、 その目線のフラットさに感動しました。 いろんな人を見る目の。 なんか全部を肯定する感じの目線を感じて、 いい映画だっていうか、 明るい映画だって思ったの。 |
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あと、松尾さんのすごいところは、 やっぱ女性の部分も男性の部分も 両方すごく描けてるところ。 松尾さんの中の女性成分と 男性成分のバランスが、いい‥‥って言うと あんまりしっくりこないかも しれないですけど、 すごくあるんだなと思って。 やっぱり映画って、作品によって 「あ、男の人寄りだな」とか 「女の人寄りだな」とかって けっこう思うんですけど、 『クワイエットルームにようこそ』は どちらでもなかったですね。 |
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(つづきます!) |
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2007-10-03-WED |
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(C)2007『クワイエットルームにようこそ』フィルムパートナーズ |