1回目、見終わったとき、 あまりの話の展開のすごさに 「誰が書いたんだろう‥‥」って 思いませんでしたか。 |
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すごく舞台っぽい構成じゃなかった? もとはどうなんでしょう。 |
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この作品、もともと劇団のために 書いていたシナリオらしいです。 で、その企画の相談をされた プロデューサーの人が、 映画にするのもいいんじゃないか、 みたいな感じで、 古沢さんも、映画化を見越して 書いたということでした。 |
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で、舞台にはなったのかな? |
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「48BLUES」(ヨンパチブルース)という劇団が 2003年に公演しているようですねー。 |
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そういうことかー。 つくりが、すごく舞台っぽいんですよね。 そのまま舞台でできるかんじ。 |
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シーンがすごい少ないですよね。 |
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密室劇みたいな。 |
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お芝居でいう、 「一場物(いちばもの)」ってやつですね。 もう非常に舞台的な映画です。 |
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ワンシチュエーションコメディ。 三谷幸喜さんが得意とするような、 |
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そうか! 見終わって、「まあ、よくできてるわ!」 と思うその印象が、 三谷さんの映画とか舞台を見たあとと 同じような印象なの。 そういうことだったのね。 |
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「よくできてる」ことに対して 感動するタイプの人は、 「キサラギ」は 間違いなく大丈夫ですねー。 |
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心に訴えたり思い出に訴えたりして 涙を流させたりっていう種類の揺さぶり方を、 ほとんど、させないところが、すごく痛快。 ずっと面白くてぐいぐい引っ張られて、 最後は拍手! みたいな気分で。 |
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お芝居って最後に、 さっきまで演じてた人が出てきて、 素に戻って、拍手に応えて お辞儀したりするじゃないですか。 あのぐらいのアッサリ感も この映画にはありますよね。 |
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それが心地いい感じですよね。 |
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心地いい、うん。 |
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舞台に釘付けになって、 どの人がどうなんだろうって 考えながら いろんな展開がジワジワわかってきて、 それでいて期待を裏切らない感じも すごく舞台っぽいと思いました。 |
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しかも、ためてためて、 大どんでん返しが最後にあるという タイプの物語じゃないんですよね。 ちっちゃい戸板返しがパンパンパンパン、 パンパンパンパン、ものすごいめくれる。 それがものすごい数、あるんだよね。 |
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戸板返しがめくれてって、 ぜんぶちゃんと ピースにおさまる感じね。 |
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そう。その組み合わせで まったく話が変わっていくでしょ。 |
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そうそうそうそう。 |
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「ここが表でここが裏でここが表だったら、 その話はこういうことになるよね」っていう。 「いや、でも、ここは実は裏だったんだよ」 っていうのが出てきて。 それが細かくずーっとあるんですよね。 |
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そのへんは、見た人には 「そうそうそう!」って わかっていただけると思うのですが、 見ていない人には 「なんのこっちゃ」かもしれないです。 |
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ただね、最初の何分間かが、 ちょっとのんびりというか‥‥ |
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まったり感がね。 時間がゆっくり経つ感じが。 |
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うん、ちょっとまったり感があるんですよ。 でも、そこをちゃんと見てないと、 ダメなんだよっていう 仕組みになってるって、 あとで気づいて! |
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そう! |
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そう! |
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ああ、そうか。 |
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「だからあのとき、 こういう言い方したのか」みたいな。 最初ね、あえてうっとうしいくらいの 空気を出したりしますもんね。 |
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うん、そうそうそうそう。 妙に言いよどんだりとかね、 そういう演出があるんですよね。 |
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で、それは、いちいち全部 あとで「そうか!」膝を打つことになるので、 最初のゆっくりした展開のところは、 よーく見て、 覚えといたほうがいいんじゃないかと思ったわー。 私、ほんと、引き気味に入ったの、損した! マニアの人たちのどたばた劇よね、 っていう先入観で見てるから、 記憶力スイッチとかを入れてなかったのが 悔やまれた! そういう意味で もう1回見たくなりますよね、すごく。 |
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設定も重要で、おたがいをよく知らない、 会ってない人たちが パラパラと集まってきたからこそ、 起きることなわけじゃないですか。 だから、やっぱり必要だったんですよね、 ああいうオフ会っていう設定は。 |
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全部必然性があるんです。 無理がないんですよねえ。 |
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(つづきます) |
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2008-03-14-FRI |
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(C)2007「キサラギ」フィルムパートナーズ 全国公開中/DVD発売中(発売・販売元:キングレコード株式会社) |