ベイちゃん、2回見た気分を もうちょっと教えてほしいな。 どのタイミングで2回見たの? |
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糸井さんが面白いというので 公開時、一度見て。 今回、DVDでもう一度見ました。 話を知ってる身で見ると、 2回目って面白いですよ。 最初から「あ! そうか! あ〜っ!」 の連続なんです。 |
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一同 | ああ〜。 |
そうか。そうだろうねえ。 |
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やっぱそうか(笑)。 |
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1度目にちょっと 「なんだろう」と思ってしまった、 最初の30分もすごく面白いんです。 |
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2回目は神の目線で見れるわけだ。 全知だものね。 ああ、そういう見方も おもしろいだろうなあ。 |
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でもさ、ほぼ、神の目線だけど、 1回目全部見終わったあと2回見たときに、 ほら、「謎」がさ。 |
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一同 | うんうん。 |
だから、もう1回見る視点も 完全に神ではないという しつこいくらいの仕掛けがあったよね。 あれは、2回見たときに面白がってもらえる 工夫というふうに思えなくはないよね。 |
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確かに。 |
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完全攻略できないような仕掛けを 置いてるのかも(笑)。 |
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真相が究明されないんですよ、これ。 |
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されないですね。 |
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それ言っていいのかな? |
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それは大丈夫だと思いますよ。 |
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言いた〜い! |
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そもそも「キサラギ」って、 話は進んでいくんですけど、 何も事件は起きてはいないんですよね。 あそこで話してるだけで。 |
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回想と推理の会話劇。 すごい台詞の量です。 |
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懐かしい映画で言えば、 黒澤明の『羅生門』がそれに近くて、 みんなそれぞれが同じ事件について語るけれども、 みんなそれぞれが違うことを言うから、 真相はこうであろうかもしれないけど、 そうじゃないかもしれないみたいな。 |
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『藪の中』ですね、原則は。 |
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『藪の中』ですね、芥川龍之介の。 |
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教養の深いこと言ってますね。 |
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いえ、年取ってるだけですー(笑)。 |
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「藪の中」はそれが語源なんですよ、確か。 |
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あ、そうです、そうです、 「藪の中に事件が迷宮入り」みたいなときの 「薮の中」、 語源は芥川の『薮の中』です。 |
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一同 | へーえ! |
このあいだ直木賞をとった 吉原の女の人の小説、 松井今朝子さんの‥‥ |
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『吉原御免状』じゃなくて‥‥。 |
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それは劇団☆新感線、 ではなくて、『吉原手引草』。 それも主人公は語らない小説なのね。 「キサラギ」も如月さんは語らず、 周りの人の会話で 何があったか浮かび上がらせるっていう。 |
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ああ、そういう手法ありますよね。 そっか。 |
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その中でもすごくよくできている、 っていう感じでした。 |
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みっちゃんはどんな感想? すこししゃべっていいよ。 |
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あのう、主人公の女の子は、 ‥‥そのう。 |
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主人公というか、 みんなが語る「如月ミキ」のことですね。 その女の子は? |
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あのう、‥‥、 本当におっちょこちょいですよね! |
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一同 | うわー! |
そうだよね、それはある意味核心かも! でもそれ以上は言えない! |
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すごくビックリでした、 本当に(笑)。 |
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ああ、確かに(笑)。 |
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情の部分で言うと、 そのおっちょこちょいな 見たことのないD級アイドルに対して、 ちょっと情が移りましたね、僕は。 |
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山下さんは 「もののあはれ」センサーが 敏感ですよねえ。 |
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いや、いい子なんだろうなあと思って。 |
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そうかもしれませんね。 |
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僕はでも一番感情移入したのは小栗さんですよ。 あ、ルックスじゃなくてね! |
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一同 | わかっとるわい。 |
で、シェフはなぜ 小栗さんに感情移入したの? |
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ややこしい話なんだけど、 見ているときじゃなくて、 見終わったあとに、 「ああーっ!」って思って。 最後のエンディングロールで、 もうビックリさせられたじゃないですか。 |
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うん、した! |
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うん、しましたね! |
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はいはい、はい! |
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ちょっと説明しましょう。 エンディングロールで ある事実がわかるんです。 これ以上は言えないんだけど、 エンディングロールだからって 気を抜かないように! ってことですね。 で、そうすると前に見たシーンに 「こういう意味があったんだ!」 って、気づくんです。終演後に。 とくに小栗さんの役「家元」に! |
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してやられたり! 監督に! |
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(つづきます) |
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※この記事の最後に、
「エンディングロールである事実がわかる」 とありますが、これは感激団の思い違いでした。 「ある事実」がわかるのは、 エンディングロールのすこし前、 登場人物たちがプラネタリウムの星空を見ながら それぞれに自分のことを思うシーンでのことでした。 そこで「うわあ、家元ってそんな境遇だったんだ!」 とたいへんビックリしたのです。 読者から「それ、エンディングロールではないのでは?」 というご指摘をいただき、確認しまして、 ぼくらの思い違いがはっきりした次第。 ここはあえて、本文を書き直すのではなく、 ぼくらのマヌケな思い違いはそのままに、 ここで修正させていただくことにいたしました。 まことに、申し訳ありませんでした。 (2008年7月16日:記) |
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2008-03-19-WED |
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(C)2007「キサラギ」フィルムパートナーズ 全国公開中/DVD発売中(発売・販売元:キングレコード株式会社) |