- 映画『キサラギ』編
‥‥これ演劇的に考えても、 ものすごい稽古量が積まれてますよね。 各人きっちり登場人物としての 履歴書がある感じですよね。 | |
お芝居やってた山下さんから見たら、 もう本当よくできてるなあって感心なさるんじゃ ないですか。 | |
ええ、よくできてますよね。 |
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役者さんも、お芝居をすることに ワクワクしただろうなあ。 舞台で客前でやりたいと思うでしょうね。 | |
そうでしょうね。 |
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これを舞台でやったら、 目の前でお客さんの表情が コロッコロ変わっていくんだよ。 で、「えー!」って言われるんだよ。 「おまえか! え、おまえか?!」 って言われるんだよー。 楽しいだろうねえ。 | |
その快感がね、撮影中にも あったと思うんです。 | |
全員が登場人物の役を こころの奥底まで本当に染み込んでないと できないお芝居をしてるんですよねえ。 | |
演出もすごく工夫したらしいです。 ワンシチュエーションだから、 見てるお客さんが飽きないようにって。 | |
アングル変えたり。 |
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撮るカットを変えたり。 |
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シーンが変わるたびに 照明が変わっていったのも すごいなあと思って。 | |
やっぱり演劇的ですよね。 |
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そうそう。窓から入る光で 時間や天気や心理を表現していくんだよね。 | |
あと、回想シーンのCGの工夫。 | |
CGも面白かったです! |
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回想シーンで、 わざとリアリティをなくすために 使われていたね。 | |
へんてこなCGで。 |
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紙人形みたいな。 |
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そう、紙人形みたいなCG使って。 |
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あと脚本と演出がすごいなあって思ったのは、 事情があって塚地さん演じる「安男」が消えて、 また帰ってくるじゃない。 | |
唯一あの密室から出入りする人なんですよね。 |
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でね、話のあまりの展開の すごさっていうのが、 彼がいることによってよくわかるの。 抜けて、戻ってきたとき、 彼が、話がわからなくなってて 戸惑うでしょう。 それが映画をみている自分に重なるのね。 「話の展開にもうついていけない!」 みたいな気分が、 ほっとしながら、よくわかる。 | |
で、ストーリー的にも、 彼がいない必然性が ちゃんとあるんだよねえ。 ご都合主義的にいなくなるわけじゃない。 | |
彼には、このことは 聞いててほしくないっていう場面には。 | |
そう、ちゃんといないんですよね。 |
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‥‥そうか。 私、わかってなかった! いま、わかった! いない必然性があったんだね。 私、すっごいアホでわかんなかったから、 もう1回見る!! | |
一同 | (笑) |
やっぱり記憶スイッチを入れて 見ないとダメなんだね。 | |
確かにこれ、受身過ぎるよりは前のめりで、 寝不足じゃない、頭のさえてるときに、 「楽しむぞ!」と思って見ると いいと思うんだ。 推理小説読むみたいな気分で 頭使ったほうが面白いと思うなー。 | |
一つ一つのディティールに 意味があるんですよね。 三谷幸喜さんもそういうことが すごく上手なんですけど、 その全体の構造の中に、 あえてそれには関係のないギャグを つけてたりするじゃないですか。 「キサラギ」は、 そのくっつけてるものさえ 全部意味が含まれてる。 最初、たんなるギャグや、 登場人物の個性をあわらすための 表現だと思っていたことにも すべて意味があるんだもの。 | |
相関図を描きたくなりますね、 いろいろ(笑)。 | |
多分完璧なんだろうね。 |
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私ね、だからこれはしずーかに 見るんじゃなくて、みんなで、 途中で話してもいいよっていうふうに DVDを見たら、すごく楽しいと思う。 | |
いっそ「ストップ!」とか。 |
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そうそうそうそう。 私、いっしょに見ていたなんちゃんが 「やっぱり!」って言ったときに わかんなくて悔しかった〜。 | |
一同 | (笑) |
なるほどね。 |
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私と武井さん、ずっと、 「もしかして、もしかして」って。 | |
ふふふ、ぼくら、早めだったよね。 |
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で、「もしかして」なんてことを 思い浮かばずにやってたら、 「もしかして」が何なのかもわからないでいたの。 だから、みんなで見たのが、余計楽しかった。 いつ私はわかるんだろうって。 「延々わからないかも、私」と思いながら(笑)。 | |
とくに、‥‥あの人でしょう? |
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そうそう! |
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うん、そうそう、多分そこそこ。 それがね、すごい楽しかったから、 映画館で見るのもいいのかもしれないけど、 こうしてDVDになって見て楽しかった。 みんなで見て話してもいいっていう、 そういう感じで見ると面白いかもと思った。 | |
ああ、もう1回見たい(笑)。 |
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そう、見たいです。 もう1回見たい! | |
話せば話すほどもう1回見たくなるね。 |
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うんうん。 |
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で、できたら、 「面白いよ」って言って初めての人に見せたい。 見せて、そのときに一緒に見たい! |
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(『キサラギ』編はこれでおしまい。 次回感激団にこうご期待!) |
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2008-03-21-FRI |
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(C)2007「キサラギ」フィルムパートナーズ 全国公開中/DVD発売中(発売・販売元:キングレコード株式会社) |