はい、感激団ですー。 |
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よろしくお願いします。 |
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すごかったですねー。 |
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見応えあったねー。 |
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待たれい! 待たれい! |
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なにごとですか。 |
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率爾ながら、お手前方は、 この展覧会がいかに希有な催しであるか、 ご承知であるか! |
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ふつうにしゃべりなさいよ。 |
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なにしろ、ほら、モギちゃんは 骨の髄から徳川ファンだから。 |
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ええっと、この展覧会は、 徳川御三家に伝わる貴重な品々を 一堂に集めたものなんですよね。 |
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資料では、徳川将軍家、尾張徳川家、 紀伊徳川家、水戸徳川家をはじめとする 全徳川家の至宝、300余点が集まった 史上初の展覧会だということです。 |
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さようである! まさに「大徳川展」の名に 恥じぬ充実っぷり! それがしなどは、 東京国立博物館に向かう道中、 天にも昇る心持ちでござった! |
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その、天にも昇る様子がこちらです。 |
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まぁ、そういうことで、 異常にテンションの高い人はほっといて、 展示内容について しゃべっていきましょうかね。 |
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あいや、しばらく! しばらく! |
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なによ、もう。 |
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率爾ながら、展示内容に入る前段として、 東京国立博物館のある上野公園の敷地内に 寛永寺があるという、この因縁について 触れておくべきではないかと! |
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なにを言ってるんですか、この人は。 |
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恐れながら申し上げまする! モギ殿がおっしゃっているのは 徳川慶喜公のことでございまする! |
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のらないで、のらないで。 |
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あ、そうか、今日のメンバーは 幕末ファンと一般人に 極端に分かれているんですね。 私と武井さんは一般部門で‥‥。 |
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べっかむ3は? |
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なれば、それがしが、 寛永寺の歴史について 資料片手にご説明申し上げましょう。 |
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そっちか。 |
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ヤバイ。分が悪い。3対2。 |
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寛永寺は徳川将軍家の菩提寺であり、 徳川最後の将軍、 第十五代将軍徳川慶喜公が 幕末に謹慎した寺としても知られております。 |
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よしのぶこうが‥‥なんだって? |
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ようするに、幕末に 将軍が謹慎してたお寺ってことですね。 |
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朝敵の汚名を着せられた 徳川最後の将軍が蟄居あそばされていた 寛永寺のそばで、 徳川家の至宝が公開されるとは、 なんたるめぐり合わせの妙でござろうか! |
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さらに申し上げれば、 寛永寺は彰義隊の活動拠点としても 知られる場所にございます! |
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わかった、わかった。 |
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モギ殿、モギ殿、 しかも上野公園の高台には、 かの西郷隆盛の像もございますぞ! |
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因縁、浅からず! 江戸城無血開城の立役者のひとり、 西郷隆盛の像が鎮座する地で 「大徳川展」開催とは、なんたる皮肉! |
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もう、いいよー。 |
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「皮肉」っていえばね、 ぼくの中学のときの歴史の先生が、 なにかっていうと 「歴史は皮肉ですねぇ」って言う人でね。 あだ名が「皮肉」だったんですよ‥‥。 |
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内容! 展覧会の内容! さっさと内容についてしゃべりましょう! |
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「皮肉」はね、ヘアースタイルが独特でね、 こう、てっぺんはハゲてるのに、 おでこの上だけなぜか白髪でね、 どういうわけか、 全体にパーマかけててね‥‥。 |
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で、展示内容ですけどね。 |
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時代劇口調はもういいんですか。 |
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面倒なんだもん。 |
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さすが「大徳川展」というだけあって、 かなりのボリュームでしたね。 |
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見応えありました。 |
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古いのがいっぱいありましたね! |
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そ‥‥そりゃそうでしょ。 |
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そりゃ、あるよ! 「大徳川展」なんだもん! |
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ものすごい感想だ。 |
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あははははは。 |
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すいません、すいません。 |
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ええと、まずは最初のセクションに 武器や馬具、ヨロイなどがありまして。 冒頭、いきなり目を引いたのが、 巨大な金の扇子! |
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ここで、 すかさず写真を載せるべきなのですが、 今回、展示品の写真の手配が難しく、 不肖、ワタクシが スケッチさせていただきました。 |
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こりゃひどい。 |
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ただの黄土色の扇子だ。 |
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威厳もなにもありませんね。 |
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権現様に申しわけない‥‥。 |
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本当はもっと、勇壮で、 キンキラキンで、でっかいんですよー! |
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資料によれば、全長221センチです。 |
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これは、なに? 馬印ってのは‥‥。 |
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ようするにアレですよ、 合戦の最中に、大将んところに置いといて、 「大将、ここにいるよー」って 知らせるようなもんですよ。 |
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なんつう大ざっぱな説明だ。 |
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この横のところに竿を挿すわけですね。 |
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そう。そんでバサーっとね。 |
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目立つなぁ。 でも、目立つことが目的なんだよね? |
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戦場では、士気を高めるんでしょうね。 「あそこに将軍さまがいらっしゃる!」 みたいなことが。 |
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でも、本当に、キンキラキンですね。 もう、すごい金色ですよね。 |
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権現様といえば、なにかと金色ですが。 |
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あの、金色の羽織もすごかったですよ。 |
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ああ、あの、ポンチョみたいなやつね! |
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このイラストでは まったく伝わってないと思いますけどね。 |
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金色の表現なんてムリだっつーの! |
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逆ギレ。 |
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でも、この羽織、 武井さん、絶対似合いますよ! |
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3人 | あー、似合う、似合う! |
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あ、そぉー? |
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シェフがまんざらでもない 反応を見せたところで 「金の羽織をまとうシェフ武井」も イラストにしておきましょう。 |
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‥‥‥‥。 |
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こりゃひどい。 |
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さえない。 |
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しょぼくれチャンチャンコおじさん みたいになってますね。 |
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死んでお詫びを。 |
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死ななくてもいいけどさ、 こういうものを家康公が 本当に身にまとってたという事実が、 鑑賞するうえではものすごく大きかったよね。 あの、美術品としての価値みたいなものは、 正直、よくわからないものもあるんだけど、 そこに「誰が使ってた」みたいな価値がつくと 途端に「うわぁ!」って思えるんだよね。 |
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そうそうそうそうそう、 「これ、使ってたんだー!」っていう。 |
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その意味でいうと、 すごかったのは、日用品ですよ。 メガネとか、鉛筆とか。 |
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そうそう! あれはすごい! 家康公が使ってたメガネ! 家康公が使ってた鉛筆! |
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なんか、「大徳川展」っていう イメージからいうと、 鎧甲とか、着物とか、巻物とか、刀とか、 豪華絢爛な宝物を想像しちゃうんだけど、 じつは、メガネとか鉛筆とか、 「その人が使ってた」っていうことが 想像しやすいもののほうが、 断然、グッとくるんだよね。 |
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そうなんですよねー! |
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家康公が使ってた ハサミも興味深かったですよ。 昔のハサミっていうと、 舌切り雀に出てくるような、 U字型で、指でつまんでパチンと切るような 糸切りバサミを想像しがちなんですけど、 いまと変わらない、 ふつうのハサミでしたよね。 ヘアサロンの人が使うような、 丸い指を入れる穴があるハサミ。 |
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あ、そうだったねー。 |
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刀や鎧甲って、いまは使わないから、 現実味が薄いんだけど、 あのハサミは、自分でもよく使う形なだけに、 すごくいまの景色と つながってる感じがしました。 |
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うんうん。そのあたりの 「つながってる感」が この展覧会の醍醐味だよね。 |
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メガネと鉛筆とハサミの イラストはいいんですか? |
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‥‥いちおう描いたけど、 見ないほうがいいと思うよ。 |
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どれどれ? |
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こりゃひどい。 |
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ただの文房具じゃないですか! |
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しかも、小学生が描いた文房具だ。 |
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この、焦げたチクワみたいなのはなんだ? |
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無礼な! これは鉛筆! チクワじゃなくて、権現様の鉛筆! |
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ていうか、ただの棒? |
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なにしろ威厳のかけらもありませんね。 |
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うわーん! 権現様、ごめーん! |
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(つ、続きます‥‥) |
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2007-11-21-WED |