第3回 泣きすぎです!(笑)
スガノ
で、ね?
本当にこういう寂しい人っているのかな?
いるのかな? いるの?
コギー
いるだろうと思うよ。
ゆーないと
うん。
スギエ
でも、この作品のおじさんは
寂しくないほうだと思う。
スガノ
そう? 寂しくないほうなんだ! 
スギエ
だって病気してないもん。
シェフ
ああ、それは言えますね。
スガノ
そっかあ‥‥
ああ、またすこしホッとした。
(笑)
スガノ
なんか、吉本隆明さんとか
谷川俊太郎さんとかをみてると、
そんな寂しさなんか、
ひとかけらもないじゃないですか。
シェフ
寂しさの質とか量って、わからないもんね。
自分と他人のそれを
くらべようがないものだし。
山下
わからないです、
自分がそこまで行ってみないと。
スガノ
わからない。
山下
わからないから、ぼくはそこをあまり
見つめなかったんだと思います。
で、ピントを合わせたのは
やっぱりこの、思い出の部分で。
スガノ
山下さんはそっちなんだね。うんうん。
山下
はい、大きなテーマとして
「思い出」をとらえてましたね。
ゆーないと
あたしも、そっち。
山下
だから、おじいさんが若いころに
奥さんと出会うシーンで
いちばん、こう、グッときたりしました。
シェフ
ぼくのいちばん好きなシーンは、
乾杯のシーン。
スギエ
あ〜、最後の。
シェフ
で、それは1回目よりも
さっき観た2回目のほうが‥‥
なんかもう、泣きっぱなし(笑)。
山下
そうですか‥‥。
シェフ
思い出って力になるんだなぁって思うと、
どうしても、こう‥‥。
さっきもちょっと、話しましたが、
つい最近、友だちを亡くしまして‥‥。
この物語のラストとね、
たまたま同じようなことをしていたんです。
スギエ
‥‥乾杯を?
シェフ
うん。
死んでしまうほんのちょっと前に、
ご飯を食べに行く約束をしたんですね。
で、お店の予約をしてたんです。
ところが友だちはその日が来る前に
亡くなってしまった。
で、予約をした日が来たわけです。
‥‥行かないのもねぇ(笑)。
行きましたよ、約束だから。
そこは知り合いの店で、
友だちが亡くなったことも知ってたので、
グラスをね、ふたつ出してくれたんです。
それで乾杯ってやったときには、
ちょっと、もう、ボロボロに‥‥。
‥‥‥‥‥‥。
スガノ
‥‥うん。
シェフ
あのね、幽霊がいるとか
そういう意味じゃないよ、
そうじゃなくて、
あの乾杯のシーンからぼくは
「死者と共に生きられるんだ」
っていう救いを感じたんです。
心情的には、
そこにいちばんピントが合いました。
スガノ
なるほど‥‥。
ゆーないと
なんか‥‥、あっしが観てて思ったのは、
思い出の部分にいちばん感動したんですけど。
でも思い出なんだけど、
「今」にも見えるんですよ、
私の世代から見るとね。
それでなんか‥‥‥‥
あの、たとえば‥‥‥‥‥‥
‥‥‥‥やばい、すごいウルってきた。
(笑)
スガノ
大丈夫、みんなウルってるから(笑)。
シェフ
みんなウルってる(笑)。
ゆーないと
なんかぁ、なんていうんだろうな?
その‥‥‥‥
自分がぁ‥‥生まれてぇぇ‥‥‥はぅっ。
(笑)
シェフ
あ、ゆーないとさん、
ティッシュを取りに走りました。
(笑)
スギエ
大丈夫? 平気?(笑)
ゆーないと
‥‥スンスン。
すいません、大丈夫です。
ええとぉ‥‥自分が生まれてぇ‥‥スン‥‥
育ってきてぇ‥‥そのあとにぃ‥‥
大きくなってぇ、結婚してぇ‥‥スンスン、
子どもが生まれてっていうのをぉ‥‥
親の目線でぇ・・・・‥‥‥ぇえぐ。
(笑)
スギエ
だめだ(笑)。
シェフ
ややこしいな(笑)、このひと。
あ、でもちょっとわかったぞ!
そういう意味で「今」っていうことか。
ゆーないと
そうそうそう‥‥‥‥スン。
シェフ
私の「今」は、
親にとっての「思い出」としてある。 
ゆーないと
そう。
シェフ
この作品で描かれている「思い出」は、
私の「今」だって思うわけね?
ゆーないと
それです。
シェフ
はぁ〜。
ゆーないと
すいません。
‥‥スンスンスンスン。
シェフ
まあ、ゆっくり鼻をかんでください。
コギー
「主人公」に自分を投影するのと、
「主人公の思い出」のところに
自分を置いて観るのとでは、
やっぱりだいぶちがってくるんだね。
ゆーないと
ぢがいまずね‥‥ビーーン(鼻をかむ)。
スギエ
そう、ぜんぜんちがってきますよね。
わたしは観るのが2回目だったから、
きょうはちょっと前とちがって観れて、
前はもっとこう素直にストレートに
観たんですけど‥‥あの‥‥
今回はやっぱりこれが自分だったりとか‥‥
これが親だったらとか(声が震えだす)。
スガノ
うんうん、いろいろに見えたのね?
スギエ
でも、自分の子どもも‥‥スン、
わらしがいないく、なっれも‥‥
こういうふうり、
なるわけじゃらないですかぁ‥‥‥‥‥‥。
(爆笑)
シェフ
みんな泣きすぎです!(笑)
ゆーないと
しかも、おスギさん
なに言ってるかわかんない‥‥スンスン。
山下
いやあ、すごいわ(笑)、
なんか、もう、いま、この場がすごい。
感動やら、人前で泣く恥ずかしさやら、
おもしろさやら、
もう、いろんな感情がうず巻いてる(笑)。
スガノ
おもしろいよねえ。
ほんとにこの作品、
こんなにいろんなこと思わせてくれる。
観かたが、いっぱいあるんですね。
山下
ふところが広いんですよね、作品の。
スガノ
ね。本当、本当。
山下
10分なのに。
シェフ
くどいようだけど、
10分、なんだよねぇ〜。
スガノ
う〜ん。
山下
これを寂しいと見るか、
豊かって思うかは、
やっぱりこっちの都合なんでしょうね。
コギー
うん、そうだね。
山下
この物語のおじいさんは、
ただ単に真面目に生きてきて、
豊かなものを持っているから
ここにいたいんだって、ぼくは思いたいし。
スガノ
それか、「寂しい」って言ってるか、
どっちかなんですよね。
シェフ
そうですね。
スガノ
受け取るほうの、
心情とか環境によるんだと思う。
ゆーないと
あっしも‥‥スンスンスン。
スギエ
わらしも、ほんろに、
そりはそうおもっれ‥‥ズズズズ。
シェフ
わかったので、
きみらは鼻かんでください(笑)。
スガノ
わはははははは‥‥‥‥スン、スン。
(つづきます!)
2008-12-22-MON


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今回の感激団メンバー
シェフ コギー ゆーないと
スガノ スギエ 山下
 
終盤の特別ゲスト
作者・加藤久仁生さん
カトウ    


感激団による
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