そもそもイジー・バルタ監督って人は チェコではどういう人なんですか? |
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イジー・バルタさんはチェコでは ものすごく有名なアニメーション作家。 かなり権威のある方です。 |
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権威のある人。 |
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アニメーションというものが チェコでは芸術としてきちんと 認められているんですよね。 プラハの芸術大学っていうのは 結構細分化されてて、 専門的に音楽(ハム)やってるところ、 あとパフォーマンス系の アート学校があって、 ファインアート(アム)があって、 あとアプライド・アート (ウンプルン)があるんですね。 そのパファーマンス系が さらに舞台(ダム)と 映像(ファム)に分かれていて、 人形劇はダム、 アニメーションはファムかな。 でも、バルタさんは アプライド・アートの大学、 「ウンプルン」に 唯一、アトリエを持ってたんですよ。 |
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アプライド・アートというのは 「工芸」と訳していいんですかね? |
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うーん、 そこはいつも論争になってるとこですね。 工芸と訳されるの、 嫌う人もいっぱいいるんですよ。 世界中で。要するにファインアートに 相対するものとして アプライド・アートっていうのがある。 でもまあ、日本だとクラフトとか 工芸っていう訳され方が多いですね。 |
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純粋な芸術が ファインアートだとすると、 アプライド・アートは、本来‥‥ |
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応用美術とか訳しますね。 そういう、せめぎあいがあるんです。 |
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その「ウンプルン」の バルタさんのクラスは たくさん生徒がいるの? |
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とんでもない。すごく少ない。 1学年にえっと 2人とか3人しか入れないんですね。 すごい競争率で そこにもう現役で入れるって言ったら ほんとにみんなから、 えー、イジー・バルタのクラスに 現役で入ったの? って言われるぐらいすごいことで。 |
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へえー。 |
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今も先生なんですか? |
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やめられたとは聞いたんですけども。 この映画を作るためにやめたみたいな、 話を聞きました。 |
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え、やめちゃったんですか? |
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と聞いてます。 フリーに、今、なってるって。 |
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2年ぐらい前に、そこの学校の 大改正があったんですよ。 そのアプライド・アートの学校を デザインスクール系にしようという動きが ちょっとあって、 もしかしたらそれと 合せたのかもしれないです。 |
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チェコでアートをやるっていうのは 実はものすごい 大変なことなんだそうですね。 日本は入るのが大変、 ま、向こうもそうなんですけど、 入るときにある程度の技量がないと 日本では美大に受かんないじゃないですか、 デッサンから何から。 |
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そうですね。 |
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そうじゃないんですよね? |
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入るのにすごく大変なのは 同じなんですが、 それはまず ちょっとしか人数を取らないから。 各アトリエがまず 2人から3人しか取らない。 |
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で、学科というよりは 教授が取るんですよね? |
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そうです。そうです。 でも教授も、 建築科なら建築科っていうのがあって 教授が所属するのではなくて、 その教授によって その科が構成されるんですね。 だからその教授がいなくなると その科もなくなっちゃう。 |
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うわー(笑)。 |
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すごい、面白いですね。 |
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だから卒業生が1年間に 10人から15人ぐらいしか 出ないんですよ。 その学校全体で。 |
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大変だー。 |
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それで卒業するにあたっては 国家試験なので。 |
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お医者さんみたいですね。 |
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そうですね、お医者さん、ほんとに。 で、6年出ると一応マスター。 その6年間、実は毎日、午前中が 実物大の人体デッサンなんですね。 それはひたすら必須ですね。 ていうのは、基本的に アプライド・アートの精神ていうのは、 もののかたちというのは人体にあり、 っていう考え方に沿っていて。 |
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へえー。 |
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それで人体を知らない限りは もののかたちは描けない。 全てのものの、要するに地球上に 存在するもののかたちというのは 人体にあるっていう考え方なんで、 生態学も勉強するし、 学生たちは全部、骨の名まえとかも すべてそらんじて覚えるくらいです。 |
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それはチェコ独特の考え方なんですか? |
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おそらくそうですね。 日本は美大に入るのに その美大によってデッサンを 描き分けるぐらいの技術が必要じゃない? ところがチェコの場合には 入ったときの学生のデッサンて もう、すんごい下手なんですね。 でも6年出るまでにものすごく上手になる。 |
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で、イジー・バルタさんはそんな中で ものすごく力がある作家であり。 人気がある教授だったわけですね。 |
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そうです。 |
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という人がこれを作ったわけですね。 ああ、やっと前説が終わったかんじ。 |
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じゃ、感想言っていい? いい? |
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どうぞ! |
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造形が、もうすごく細かいところまで、 しかもものすごく オリジナリティがあるでしょ。 1つひとつのかたちに。 あの動きときたら、本当、 何かリアル以上のリアリティっていうか、 うん、ビックリしました! |
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これ、コマ撮りですよね。 |
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コマ撮りですね。 |
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あ、コマ撮りなんですか? |
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コマ撮りですよ? |
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ひえー。 |
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(気づいてなかったんだ‥‥) |
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これ、じゃあ1分撮るのに 1日とか2日とかかけるってことですか? |
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そうですね、この作品に関しては 3班に分かれて2年かかってますね。 |
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3班、2年。 1チームだったら6年てことですね? |
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撮影だけで、はい。 |
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えーーー! |
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日本だと 許されない作り方になっちゃいますよね。 |
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そうですね、贅沢ですね。 |
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何でそんなことができるの? |
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チェコ時間ですよ、それは。 |
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チェコ時間。 |
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チェコ時間、ああ、 チェコ時間だからか。 |
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わかるの? |
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チェコ時間ってゆっくりだから、 2年かけるなんて 別にそんなにたいしたことでも、 っていう感じ。 |
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(どよめき)。 |
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(つづきます!) |
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2009-08-11-TUE |
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