ものをつくるときに気をつけていること
「聞く、ほぼ日。」のオリジナルコンテンツです。
毎回、ゲストの方を招き、その人が
「ものをつくるときに気をつけていること」を、
じっくりとうかがっていくオーディオコンテンツです。

聞き手は、ほぼ日の永田泰大と星野槙子が担当します。
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<桜井政博さんプロフィール>
1970年生まれ。

株式会社ハル研究所入社後、
『星のカービィ』、『星のカービィ夢の泉の物語』、
『星のカービィ スーパーデラックス』でディレクターを務める。
1999年『ニンテンドウオールスター!
大乱闘スマッシュブラザーズ』を発表。
以後、すべての『スマブラ』シリーズをディレクションする。

日本ゲーム大賞「経済産業大臣賞」など、数々の賞を受賞。

現在、有限会社ソラ代表。
第1回

「ユーザーの身になる」
「もう、今日はこの話題で終わりではないか」と
桜井さんが言うほどの大きなテーマ。

なぜなら、ゲームのなかにあるあらゆるものは、
すべてつくらなければいけないので‥‥と、
さっそく桜井さんのおもしろい話がはじまります。
第2回

「自分の内圧を高める」
え? ひとに相談をするな?

「自分の作品をつくって発表するひとに
ぜひおすすめしたいこと」として、
桜井さんが挙げてくれた「内圧」の話。
「ただ歩くだけでも、おもしろ歩き方がある」など、
おもしろい話がどんどん飛び出します。
第3回

「スタッフを待たせない」
姿勢や哲学といった大きな話から一転して、
あまりにも具体的な、制作現場での
「気をつけていること」。

それは自分のところで仕事を止めない。
質問に迅速に答えを返す。
しかも、ただ返すだけではなくて‥‥。
第4回

「他者像を想定する」
たとえばムービーをひとつつくるときも、
自分のなかに「他者」を想定して、
そのひとがどういう演出に「ぐっとくる」のか?
ということを追求していく。

ユーザーとして、開発者として、
ファミコンからスマホに至るまで、
時代とともに吸収してきたものへの感謝も。
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<森下佳子さんプロフィール>
2000年、ドラマ「平成夫婦茶碗
~ドケチの花道~」で脚本家デビュー。
NHK連続テレビ小説「ごちそうさん」で
第32回向田邦子賞、第22回橋田賞を受賞。
映画『花戦さ(はないくさ)』で
第41回日本アカデミー賞優秀脚本賞を受賞。
主な作品に、
『おんな城主 直虎』『白夜行(びゃくやこう)』
『JIN-仁-』『天皇の料理番』
『義母と娘のブルース』『天国と地獄』など。
最新作は5月20日公開予定の映画『大河への道』。
第1回

「基本的にマイナス思考で望む」
「脚本を書くときは、
世間は私や私が言いたいことに興味なんてない!
と思ってのぞむんです」という森下さん。
ドラマ『天国と地獄』『だから私は推しました』
『ごちそうさん』などの制作エピソードを交えながら、
独自のマイナス思考について語ります。
第2回

「選択肢の海に溺れる腹をくくる」
ドラマ『天国と地獄』のラストは
2種類つくられていた?
「どんな創作にも正解はない。どんなに考えても、
無限にある選択肢を選んだ結果のひとつに過ぎない」
という森下さん。
選択肢の海に溺れて何もわからなかったときは、
とっておきの解決策があるそうです。
第3回

「やったことないポイントを探す」
新しい仕事をはじめるとき、森下さんは
「自分がやったことがないポイントを重視する」
そうです。
いままでの作品もつねに
「やったことがないこと」を選んできたとか。
そして、森下さんがいつかやってみたいのに
どうしてもできないジャンルとは?
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聞き手
永田泰大(ほぼ日)

星野槙子(ほぼ日)
ほぼ日刊イトイ新聞で
たくさんの読み物や書籍をつくっている永田泰大と、
ほぼ日手帳などのプロダクトを
企画開発している星野槙子が聞き手を務めます。
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いつかやってみようと
思っていたことを、
いまはじめます。


こんにちは、ほぼ日の永田泰大です。



書くコンテンツばかりをつくっていたのですが、
このたび、しゃべるコンテンツに
取り組むことになりました。
マイクの前に座ります。



いや、そんなのできるの? 
しゃべれるの、おまえ?
という気持ちはいまでももちろんあります。
とはいえ、ゲストの方々をお招きし、
お時間をいただいて語ってもらうのですから、
できるの? とか言ってる場合じゃありません、
やるんです。ぼくは、やります。



できることをしっかりやろう、
できることをとことんやろう、
というスタンスで仕事をしてきました。
具体的にいえば、書くことや編集すること、
なにかを企画することを中心にしてきました。
今後もきっとそれは芯として変わりません。



けれども、もっとできることがある。
そのことに、じつは気づいていたのです。
あらゆる技術が個人の発信を
超イージーに超スムーズにしてくれているのに、
そこは、まあ、いいかな、と後回しにしていることに。



わざと、遊びでやってみますよと言い訳をして、
ちょっと試したりはするものの、
本領にはしないまま、やり過ごしてきました。
そういうふうに曖昧におもしろがるのも
もちろん気楽でたのしいんですけど、
今回ばかりは、きちんとやってみるつもりです。



なぜかというと、真剣にやったほうが、
絶対にいいものになるからです。



もうすこし前段から話すと、
かつては、自分がそういうことと
まったく無縁だと思っていました。
つまり、書くのはできるけど、しゃべるなんて、と。
正直、選択肢にあがる以前の論外だと思ってました。



覆されたのは2011年のことでした。
東日本大震災の直後です。
はっきりと、ある1日がきっかけでした。



その日、まだ被害が生々しい福島県を
ぼくは取材していました。
現地を車で案内してくださっていたのは、
福島県のラジオ局に勤務されている方でした。



その日の取材がだいたい終わって、
ぼくらは夕方にそのラジオ局に戻りました。
そこで、唐突に言われたのです。



ラジオ福島の大和田新アナウンサーは、ぼくに言いました。
「じゃあ、永田さん、そこに座って。
 いまから夕方の生放送です。
 今日、取材して、感じたことを、
 なんでもいいからそのまましゃべってください」



え、そんなのできません、とは、とても言えません。
当時のことを憶えている人も多いと思いますが、
2011年に起こった東日本大震災というのは、
「いま、なにができるのか?」ということを
ひとりひとりに予断なくジャストで突きつける、
純度の高い機会のかたまりだったのです。



つまり、2011年、
日本で真剣に仕事をしていたほとんどの人は、
四の五の言ってる場合じゃなかった。



時間が来て、ブースの向こうからキューが出て、
ぼくはマイクの前でしゃべりました。
もちろんそれは大和田さんの経験によって
あらかじめ裏付けられていた環境だったのだと
いまはわかりますが、
リハーサルも台本もまったくないなかで、
ぼくは意外なほどきちんとしゃべることができました。
いろんなことを、まっすぐに、ごまかさずに、
ちゃんと言えたと思います。



そうか、とぼくは、終わってから思いました。
こういう表現もあるんだ、と。



そんなわけで、
いつかやってみようと思っていたことを、
いまはじめます。



やりたいことをそのままタイトルにしたら、
なんだか長くなりました。



「ものをつくるときに気をつけていること」



ひとつだけ、決め事をつくりました。
ゲストの方に、先に言ってもらいます。



「ものをつくるときに気をつけていること」を。



つまり、一旦結論が出ているところまでは
近道させてもらって、
そこから話していきたいのです。
これなら不慣れなぼくでも安定して加速できるはず。
近況とか世間話とか挨拶とかはスキップして、
その人のクリエイティブの真ん中を轟々と流れる
潮流にいきなり乗っかっていきたいのです。



そういう場にしたい、と考えたら、
なんだかちょっと恥ずかしいんですが、
もう、すぐにいろんな人と話したくなりました。
きっと、それぞれにあると思うんです。
「ものをつくるときに気をつけていること」が。
あえて他人事みたいにいえば、
絶対おもしろいと思うんですよね、その話。



しゃべるコンテンツをはじめます、
ということを、またしても、
こうしてたっぷり書いてしまいました。
でも、要するに、書くこともしゃべることも
気にせずどんどんやっていこうよ、
っていうことだから、これでいいのだと思います。



そんな気持ちではじめます。
最後くらいはマイクの前にいる気持ちで言いましょう。



みなさん、どうぞ、おたのしみに!





永田泰大(ほぼ日)
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