小網代の森5周年記念企画 花さく小網代、花さく三浦! みんなで小網代にハマカンゾウを植えにいこう!
神奈川県三浦半島の先端にある、小網代の森。
一般開放から5周年を迎えた今年、
ほぼ日乗組員と「ほぼ日の学校」受講生、
みんなで小網代の森に集合して、
ハマカンゾウを植えることになりました。
当日はテキスト中継をする予定なのですが、
「そもそも小網代ってなに?」
「ハマカンゾウってどんな花?」
という読者もいらっしゃると思います。
そこで予習復習をかねて、
30年以上保全活動をされてきた岸由二さんに、
小網代の歴史、ハマカンゾウのこと、
いろいろなお話をうかがってきました!
4花さく小網代、花さく三浦
──「お花がお金」とは、
どういう意味なのでしょうか?
岸いろんな人がいろんな考えをもってるけど、
ぼく個人は自由主義、資本主義の下で、
ちゃんとした福祉国家をつくらなきゃいけない
という考えがベースがあります。
──はい。
岸だからこそ小網代を守ろうと思ったとき、
行政や企業と戦うのではなくて、
「その土地を守ったほうが得になる」
という考えで説得してまわりました。
そういう資本主義の発想からすると
「お花はお金」ということになるんです。
どういう意味かわかりますか?
──「お花を売ってお金にする」
ということではないんですか?
岸それとはちょっと違うんです。
まず「お金ってなんだろう?」
ということを考えてみてください。
例えば、ここに銀貨が1枚あるとして、
なぜ銀貨はお金になるんでしょうか?
──えっと‥‥それは、
銀が価値のある素材だから?
岸そうですね。
銀には何かと交換するだけの価値がある。
交換価値があるというのはお金の本質です。
あと、銀貨は1枚より2枚、2枚より3枚のほうが、
より価値あるものと交換ができます。
つまり、増やすことができる。
これもお金の本質のひとつです。
──「お金」は交換価値があって、
増やすことができる。
岸そうです。
そしてそれは「お花」にも言えます。
「この花、1株あげるから
ちょっと肩もんでくれない?」って頼んだら、
たぶんみんな肩をもんでくれます。
それは交換価値があるからです。
──あぁ、たしかに。
岸ハマカンゾウの花って、
欧米では「デイリリー」と呼ばれていて、
観賞用としても人気があります。
交換価値がある花なんです。
さらにどこでも育つ強い花だから、
かんたんに増やすこともできます。
交換価値があって、
容易に増やすことができる。
つまり小網代に
ハマカンゾウ畑をもってるというのは、
金蔵と造幣局を
両方もってるのと同じことなんです。
──「お花をお金にかえる」わけじゃなくて、
「お花そのものがお金である」と。
岸お金にかえる要素もありますが、
それだけじゃないということです。
花の資本主義で
地域振興と自然保護をいっしょにするのが、
ぼくのいまやろうとしていることです。
小網代にハマカンゾウ畑があるだけで、
いろんな可能性が生まれると思っています。
新たな花の地域経済が
まわりはじめていると言っていいと思います。
切り花にしたら100円で売れるかもしれないし、
ハマカンゾウのつぼみは「金針菜」という、
中華料理の定番食材にもなります。
たくさんのハマカンゾウが集まれば、
それだけできることも広がります。
いまは何ができるかまだわかりませんが、
ハマカンゾウの大群落があれば、
いろんなアイデアを生み出すことができます。
──いまはハマカンゾウという資本を
たくさん蓄えてる段階ということですね。
岸そうですね。
資本蓄積のめどはいついたので、
そろそろ次に行こうぜという段階。
小網代を守りながら、
三浦市全体へと広げていこうよって。
──まさに小網代の第二章ですね。
岸もしかしたら三浦市を飛び越えて、
三浦半島全体に広がる可能性だってあります。
ハマカンゾウという花で、
三浦半島がひとつになるというのも
おもしろいじゃないですか。
──すごく壮大な計画ですが
無理じゃないような気がしますね。
岸ほぼ日のみなさんに植えてもらうものも、
翌年にはちゃんと花を咲かせます。
翌年だけじゃなくて、
自分が植えたのが毎年咲くわけだから、
きっとうれしいと思いますよ。
──毎年、小網代に見に行きたくなりますね。
岸エノキテラスから海に出る通路の右側、
そのあたりをほぼ日エリアにします。
うまく増やすことができれば、
株は倍々で増えていくと思います。
はやくて4年後、2023年には、
あたり一面がハマカンゾウでうまると思います。
──そんなにたくさんの
ハマカンゾウを見られるところって、
他にはあるんですか?
岸ハマカンゾウ自体は、
いろんなところで咲いてるんです。
探せばけっこうあります。
でも、小網代は人の手ですき間なく植えるので、
自然のスカスカした咲き方じゃなくて、
一面がオレンジ色の花でうまるはずです。
それはもう、すごい光景だと思いますよ。
小網代にいってみたい方へ。
小網代の森は2014年に一般開放され、
全長約1.6キロの散策路を歩きながら、
気軽に大自然をたのしめるようになりました。
利用時間内であれば
だれでも自由に出入りすることができます。
現在は台風15号の被害により、
一部の区間で通行禁止となっています。
(2019年10月10日(木)現在)
小網代におでかけの際は、
「NPO法人小網代野外活動調整会議」の
ホームページまたは
フェイスブックページをご確認ください。
小網代の活動に寄付や応援したいという方は、
「かながわトラストみどり財団」を通じて、
小網代の保全に協力することもできます。
ご興味がある方は
あわせてチェックしてみてくださいね。