能登の先端狼煙(のろし)で、遅めのお昼ごはんを食べたあと、
車は海岸線の道を南下していきます。

さっきまでは岩礁に白波の立つ海(外浦)だったのが、
砂浜にそっと波が寄せては返す海(内浦)に、
がらりと変わっているのが不思議です。

メキシコで地震に起きて
オアハカ州にも甚大な被害がありましたので
しばらくメキシコ編をお休みさせていただきます。








 
ちょっと寄り道

わたしのたっての希望で、
三崎町寺家(じけ)の
須須(すず)神社に寄ってもらいました。

珠洲市には多くの神社があるのですが、
特にここは海の守護神として
古くより信仰を集めている
「 延喜式」の神社なのです。

元は霊山(鈴ヶ巌)の
山伏山の頂上にあったものを
9世紀に遷座したと記されています。

古墳部的には、
崇神天皇の命で創建された…
2000年前?
というあたりに、おっ?!
と反応するのですが、
「珠洲」を、「鈴」とか「須須」と
違う漢字を当てていることも気になります。  

あ~鳥居の向こうには海が見えて……。

この太鼓橋も古そうですね~。

延喜式って?
 

あ、ここはミミケンの出番ですよね!
確実にミミケンの!
あ、私は、ミミケン。
スソさんのかばんの中に潜む
土偶でございます。
こうしてときおり
カバンのなかからくぐもった声で
多少の解説などをしています。

で、延喜式です。延喜式。
905年(延喜5年)に
醍醐天皇の命で編纂をはじめた
「律令制」を施行するための
細かいルールブックです。
須須(すず)神社は、
このルールブックにすでに
名前がでている神社、
ということになります。
昔にイトイさんが
「イトイ式」という
テレビ番組をやっていましたが、
ミミケンはそのときに
いつも「延喜式」のことを
あたまに浮かべていました。
いや、式しか同じではないですが。









 
しーーん
いざ、中へ。

ひんやり、涼しい~~。
そして、
大木がなんかすごいことになってます!
階段の連続だーけっこうきつい!

三原色。
 

古墳部といえば、土の茶色、石の灰色、
葉っぱの緑です。
今回も立派な三原色が現れています。
古墳と石室の場合が多いのですが、
こんかいは神社にて三原色ですね。





 
やっと
拝殿がありました。

静かです。

海からそう遠くないところに
岬のように小山がせり出している。
そんな場所にありました。

きもちのよい場所。
 

数多くの古墳をめぐっている
スソさんからお聞きしたお話ですが、
古墳の場所は風通しがよかったり
眺めがよかったり
とにかく気持ちの良い場所が多いとか。
古代の人々がそういう場所をみつけて
古墳をそこにつくり
さらにそのあとの時代の人が
神社を造営することも多かったとか。
なんとなくその気持がわかりますよね。
いい場所に
この世のものではないようなものを
置いておきたいという心。
ミミケンも古墳はもちろん
神社のある場所にいって
ぼんやりするのが大好きです。



 
さてさて

芸術祭廻りにもどりましょう~

須須神社からさらに南へ。

このあたりの砂浜には
今も船小屋が多く並んでいます。

車で5~6分の砂浜に作品がありました。

小山真徳(こやま・まさよし)
『最涯の漂着神』

破舟と鯨の骨が一体化しています。
内部には……。

写真でお見せするのはやめておきましょう。

砂浜の、
ここに立ったスケールで見て欲しいので!

小山真徳さん
 


1981年愛知県生まれ。
2011年に
東京藝術大学大学院美術研究科
絵画専攻修士課程修了。

2013 年 瀬戸内国際芸術祭
(香川県小豆島)
2014 年 第17 回岡本太郎現代芸術賞展
(川崎市岡本太郎美術館)
2014 年 表現のチカラ 東京藝大セレクション
(高松城跡 披雲閣)
2015 年 中之条ビエンナーレ
(群馬県中之条)
2016 年 Who By Art vol.5
(西武渋谷 美術画廊)









 
さて、お次は!
いきなり作品です。

海岸線の道を南下して
二俣の道を山側に入っていったところにある
古民家の中にいます。

家の中が、塩で埋まっているんです。
床の間や座敷が半分くらいの高さまで塩に…。

塩の海に浮かんでいるのは、
懐かしいお人形とか、
だるまなどが並んだ棚とか…。

何艘かの舟も浮かんでいます。
なんと、これらは漂着した
食品トレー(スーパーやコンビニで使用される)
などを利用して
造られたものなのです。

岩崎貴宏(いわさき・たかひろ)
『Untitled』

ガイドブックの作品スケッチには
「ふすま」「囲われた風景」「漂流物風景」
「解体して再構築」と文字が添えられていました。

リサイクルや漂流物の再利用をする作品が多い中で、
ここまで緻密なものは特異ではないでしょうか。

岩崎貴宏さん
 

1975年広島県生まれ。
見慣れた日用品で風景を作り出し、
イメージの転化をはかる作品を
制作されています。
2017年には、
第57回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展の
日本館代表に選出されています。
その他、
オーストラリア、スコットランド、中国など、
各国で作品がコレクションされています。













 
さあさあ!
珠洲市の市街地、正院を通り越して
内浦沿いの道を一気に進みます。

次は、いよいよ今回案内してくれている陸さん、
眞壁陸二さんの作品『青い船小屋』です。

車を降り、船小屋へ。
さぁ、中へ!

内部の壁は小さな板で構成されていて、
能登の海や山、空、草や木、キリコ祭りの風景が
描かれています。

ところどころに銀や金の板があり、
それが差し込む光に反射して、
キラキラと光っています。

そして、地面の砂は、波うって海のよう。

中央の踏み板を奥に歩いていき、振り返ると、
壁上部に空けた隙間から海が!

陸さんは
「来場者には、入口両脇の椅子に腰掛け、
波の音を聴きながら、
静かに瞑想の時間を過ごしてもらいたい」
と話していました。






 
さんにん。
奥にいて、砂を見つめている男性が
作家の眞壁陸二さん。

眞壁さんの手前にいる女性は、
金沢のコラボン店主のオオハタさんです。

そして、赤いパンツの男性は
革で靴・鞄を作る曽田耕(そだ・こう)さん。

今回の芸術祭にあわせ、
真壁さんと曽田さんは、
コラボバッグを制作し、
この旅の前日まで
コラボンで展示していました。

ふたりは同じ歳で、
旅の間もよくおしゃべりしています。
仲良しなんですねー。

コラボンさん。
 

金沢市内の、ギャラリーでもあり
カフェでもあり雑貨やさんででもあるお店です。
スソさんの帽子もときおり
こちらのお店で購入でできるときもあります。
金沢にいくときは
ぜひルートにいれて
ほっと一息ついてくださいませ〜。









 
海で
陸さんが
「昨晩の強風で、
砂の波のかたちが甘くなってるところがある!
ちょっと直します!」
と、仕事に取りかかりました。

わたしたちはその間、砂浜でのんびり。








 
珍しいもの?
陸さんがこの作品を作るにあたり、
地元のかた達から
珠洲のことを
いろいろ教えてもらったそうなのです。

その中で、
特に実際に見て面白かったもの…。

『倒(さかさ)杉』
を見に行くことになりました。

陸さんの作品から車で3分ぐらい。

とても大きな杉の木なんですが、
その幹の根元から見上げると…

枝が、ぐにゃりぐにゃりとねじれて
垂れているんです!

あはは、
となんか笑っちゃうねじれっぷりです。

これはもうぜひ、根元から見上げるのを
オススメします!

作品!
 

これは、すごい。
ミミケンもはじめて
ぐねぐねの杉を見ました。
ずいぶんな時間をかけて
すばらしい作品になっています。
こちらもぜひ立ち寄って
ご覧いただきたいです。



 
お疲れさまー
夕暮れです。そろそろ宿へ向かいましょう
お風呂に入ってごはんを食べて…その後は?



まだ行きますよ!
 

なんと夜の見学です!
また作品を観に行くのです。
夜はまた雰囲気が違いますからね〜!
お楽しみに〜!


 
2017-10-13-FRI
 
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