作品の鑑賞時間は9時半から17時までですが、
一部の作品は夜間21時まで鑑賞可能になっています。
わたしたちはぎりぎり20時54分に
大慌てで車に乗りこんで出発しました!

※メキシコで地震が起きて
オアハカ州にも甚大な被害がありましたので
しばらくメキシコ編をお休みさせていただきます。






 
おや?
宿から車で約2分~3分、
一番近い「のと鉄道旧上戸駅」に
向かいました。

ぎりぎりの20時58分には到着したのに
なぜか真っ暗!

作品タイマーがずれてしまったのか?
ライトを消す人が間違えちゃったのか?

ううーー残念ーーと叫びながら‥‥。

あきらめきれず、
宝立地区の「旧鵜飼駅」のほうへ向かいました。

21時はすこし過ぎていましたが
ライトは点いています!
やった間に合いました!

アデル・アブデスメッド
『まーもーなく』

この写真ではわかりにくいと思いますが、
電車の電気がついているのではなく
長い直線の光(オブジェ)が
中を貫いています。

線路の脇の赤いライトが
ときどき点滅するのをお見逃しなく!

アデル・アブデスメッドさん
 

さてさて、奥能登国際芸術祭のレポートの
第三弾です。
申し遅れましたが、
わたくしはスソさんのカバンのなかから
さまざまなことを小さな声でさけぶ土人形
ミミズク土偶の健太郎でございます。
さて、アデル・アブデスメッドさん。
アルジェリア出身の方。
映像作品を中心に活躍中です。
国際的な注目をあつめる展覧会で
物議をかもす作品を発表してきました。
代表作に『リアルタイム(2003)』、
『Décor (2011-2012)』などだそうですよ。









 
さらに
夜のドライブ、
風も爽やかで気持ちよいですー。

もうひとつ欲張ってやって来たのは
見附島(みつけじま)です。
「軍艦島」とも呼ばれています。

地元のお年寄りたちは
「昔はもっと大きかったんだー」と言っていて
そんな~? と疑っていたらしいのですが
実際に、島は珪藻土でできているため
荒波に削られて小さくなっているとか。

珪藻土
 

さて、ミミケンらしい解説項目です。
藻類の一種の「珪藻」と
よばれるもののカラの化石の堆積物です。
主成分は二酸化ケイ素。
カラには小さい穴が
たくさん空いているため、
大きさのわりに軽いという特徴があります。
耐火性と断熱性にすぐれているので
建材や保温材につかわれることが多くあります。
日本での有名な使いみちは七輪ですね。
ああ、七輪でやいたサンマの香りなど‥‥。


砂浜には、
リュウ・ジャンファの作品
『Drifting Landscape』があります。

珠洲はかつて窯業が盛んで、
中世には”珠洲焼”が、
北陸から北海道にかけて
日用品や流通にかかせない入れ物として
多く使われていました。

また、能登の浜は海外の様々な
焼き物が流れ着きます。

作品の中の長靴やおもちゃ、
ペットボトルやパソコンのキーボードなどは
陶器で作られ、壊わされています。

暗闇の中で観ると、文明の終末‥‥。
なんて感じてしまうけど
昼の光の中では違って見えるのかな~。

さてさて、夜の見学は終了!

星空がとてもとてもきれいだったことを
付け加えておきます。

リュウ・ジャンファさん
 

中国江西吉安市生まれ。
陶磁器の産地として有名な
景徳鎮で仕事を始め、
景徳鎮陶磁学院で学びました。
卒業後は陶磁器を用いた作品を発表。
モスクワ・ビエンナーレ2007、
シドニービエンナーレ2010、
光州ビエンナーレ2012などに
作品を発表。
国際的に活躍する中国を代表する
アーチストのお一人です。
十和田市現代美術館に
常設の作品がありますので
お近くの方はぜひ〜!



 
朝ーーー
ニワトリの鳴き声で目が覚めました。

朝ご飯の美味しさは想像にお任せして
元気に出発した一行。

すこし北へ戻って、
蛸島地区から見学を開始します。

2005年に
「のと鉄道能登線」は廃線になり、
その終着駅だった
「蛸島駅(たこじまえき)」の駅舎です。

インドネシアの作家、エコ・ヌグロホの作品で
『Bookmark of dried flowers』

駅舎の中で、
第二次世界大戦で日本軍が
インドネシアで鉄道をつくったことや
今は廃線となり、
駅舎は住宅として使われている様子などを
映像で観ることができます。

また、絵とドライフラワーによる
インスタレーション作品が
配置されています。

エコ・ヌグロホさん
 

インドネシア・ジャカルタ生まれ。
書籍、コミック、ビデオ・アートなど
いろいろなメディアとコラボレーションをした
壁画や絵画を作製。
社会的な課題をテーマとした作品も多いそうです。
リヨンビエンナーレ2013、
ヴェネツィア・ビエンナーレ
第55回国際美術展 にも参加されています。











 
旧ホームへ
おや?
これは?
次の作品ですね!

トビアス・レーベルガーの
『Something Else is Possible/
何か他ににできる』

陸さんが線路を反対方向に歩き出しました。

遠くにカラフルな
四角いものが見えています。

近づくと、線路は道路で分断されていますが、
カラフルなものの正体、
オブジェがありました。

よく見ると、中に双眼鏡があるようです。

さらにずっと先の草むらの中に
ぽつんと電車が取り残されています。

トビアス・レーベルガーさん
 

1966年ドイツ エスリンゲン・
アム・ネッカー生まれの彫刻家。
絵画、彫刻、パフォーミングアーツで
作品を発表。
第53回ベネチア・ビエンナーレでは
金獅子賞を受賞されています。





 
双眼鏡は?
オブジェを横から見ると、
これは線路と同じ鉄骨で
作られていることがわかりました!

後ろから中へ入っていきます。

そして双眼鏡を覗くと‥‥。

あーーーー! そうか~~!

なるほど、そういうことか~~とわかります。

線路を歩いてよかった~。
陸さんはうまく
考えてくれたんだなーと思いました。






 
さあて
次は正院(しょういん)地区へ。
古代の珠洲の中心地で、
城や主要な港がありました。

巨大な倉庫の中へ入っていきます。
ここは漁網を補修するために
使われていたそうです。

中央の大きな白い幕に、
漁網やオブジェが写しだされていて、
それが上下したり
拡大縮小したりして変化します。

漁網が海のようにうねったり、
宇宙船(?)や気球が飛んでいたり‥‥。

ウー・ジーツォン&チェン・シューチャンの
『Passing』

階段を上がって奥へ進むと、
白い幕の裏側のしかけを見ることができます。

漁網や、様々な漁具、
その他の道具などが
電動で上下していました。

薄暗い倉庫の大きさや漁網の大きさから
海のスケールや怖さをじわりと感じました。

ウー・ジーツォンさん&
チェン・シューチャンさん
 

ウー・ジーツォンさんも
チェン・シューチャンさんも
台湾出身のアーティスト。
ウーさんは写真や映像を使った作品を発表。
チェンさんは彫刻と絵画。
自然の素材で作品を作ることが
多くあります。



 
やっと
アレクサンドル・コンスタンチーノフの
『珠洲街道五十三次』

珠洲市内の
4カ所のバス停を活用した作品です。

これまで、他の場所でも
車の中から見ていたのですが、
ここでやっと撮ることができました。

この作品、このままずっとで、
良さそうですねー。

アレクサンドル・
コンスタンチーノフさん
 

モスクワ生まれ。
作家、建築家。数学者でもあります。
古い家屋を様々な素材で包み込む
一連の作品があります。
今回は、家ではなくて
バス停を包んだのですね。













 
なじみのある風景
ここ正院には、
2年前に来たことがあります。
海が見えるこの通りも歩きました。

それは
「珠洲には横穴墓が石川県で一番多い!」と
この近くに実家があるむっちゃんに教えられ、
連れてきてもらったのです。


なじみ‥‥。
 

『ひとり古墳部石川編その5』
ぜひご覧くださいませ。
宣伝めいて恐縮ですが、
珠洲いろは書店、
金沢キリク・コラボンにて絶賛発売中の
小冊子です。


この通りにある、
かつて銭湯だった”恵比寿湯”には
2つの作品が展示されています。

麻生祥子(あそう・しょうこ)の『信心のかたち』

井上唯(いのうえ・ゆい)の『info the rain』

2つとも、
この場所にぴったりな作品になっているなー、
と思いました。
銭湯の中でおしゃべりしている地元の人たちも
ちょっと嬉しそうでした。

麻生祥子さん
井上唯さん
 

麻生さんは、石川県生まれ。
インスタレーション作品を中心に発表。
井上唯さんは、愛知県豊橋市生まれ。
「織る」「編む」など
生活の知恵に根ざした技法と
日常身近にある素材をつかった作品を
発表しています。

 




 
珍しいもの?
海岸沿いにすこし西へ行くと、
直(ただ)地区になります。

砂浜に面した大きな倉庫に入りました。

角文平(かど・ぶんペい)の
『Silhouette Factory』

金属プレート製の
切り絵が吊るされています。

能登の風景やお祭り、
舟やサザエや草木などが
モチーフになっています。

砂浜と海、空や雲、光、
波の音がそのまま使われて、
心地よい空間と時間を造っています。

海側から中を覗くと
また別の楽しみ方ができましたよ。

角文平さん
 

福井生まれ。
日常にみなれたものを組み合わせて
意味をずらしていく彫刻作品を制作。
Tokyo Midtown Award 2012、
六甲ミーツ・アート芸術散歩2014、
などに参加。











 
凝縮
さらに西の飯田地区へ。
ここは珠洲の中心地です。

飯田港には、
かつて七尾や佐渡島の旅客船が発着し
交通の要所・分岐点となっていて、
市が開かれ、
人も物資も行き交う賑やかな場所でした。

遊郭もあったという西寺町、
今はスナック街の奥のほうにある、
1軒の建物にやってきました。

吉野央子(よしの・おうじ)の
『JUEN 光陰』

建物内部は迷路のようになっていて、
昭和を感じるJUENという名の
スナックがあった部屋のほかに、
床の間がある和室があったり、
働く女性達が生活した
狭い部屋、炊事場、洗濯場、
もしかしたら客引きの…?
という部屋などなど
ヒトのあれやこれやが
ぎゅっーーむっーーーと
詰まった空間が残っていました。

濃厚な空気に圧倒されながら、
ところどころに置かれた作品を
見ていくという趣向です。

吉野央子さん
 

鹿児島生まれ。
お名前に「子」がつきますが
よみかたは「じ」で男性です。
木彫を中心としたインスタレーション作品を
発表されています。
家畜や魚などの動物をモチーフとした
寓話的な作品も多くあります。
瀬戸内国際芸術祭2013、
越後妻有アートトリエンナーレ2009、
などに参加。



 
ふーーっ
今日もお昼がやってきました!

飯田港のそばには、
ショッピングプラザ 
シーサイドがあります。

ここは、陸さんをはじめ
作家さんやスタッフ達が、
何度となく通ってお世話になったレストラン
「道連れ」があります。

普段は地元の人たちの大切なレストラン!

少なめでーとお願いした
名物メニューの道連れ丼。
これ、普通の大盛りくらいあります。
蛤のお吸い物、絶品でした!

次回も!
 

次回は午後の見学と
日没のツバメがえりを!



 
2017-10-13-FRI
 
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