田中泰延+古賀史健+燃え殻+永田泰大+糸井重里「書くについての公開雑談。」
第3回
調子が出たとたんにディスられ。
燃え殻
さっき糸井さんには言ったんですが‥‥。
糸井
ええ。
燃え殻
俺、40までまったく調子が出なくて。
糸井
聞きました(笑)。
燃え殻
で、ようやく40歳を超えたあたりから
ちょっと「おもしろい」とか
言ってもらえたりした‥‥とたんにですよ、
地方の高校生から
「お前、調子に乗るんじゃねぇ」とか。

ツイッターで。
会場
(笑)
燃え殻
言われて。
糸井
やっと調子が出ててきたのに(笑)。
永田
調子に乗るな、と(笑)。
燃え殻
調子が出たって言ったって、
本当に、ほんのちょっとなんですよ。

タワーマンションを買っただとかね、
そんなのまったくないのに‥‥。
糸井
そうですよね(笑)。
燃え殻
糸井さんからは、大人の意見で
「燃え殻くん、そういうのは気にするなよ」
って言ってもらったんですけど、
「調子に乗るな」と言ってきた高校生の
タイムラインを見たら
「お前、調子に乗るんじゃねえ」のあとに
「朝の小テストムカつく」とか‥‥。
会場
(笑)
田中
その同列感‥‥(笑)。
燃え殻
久しぶりに、心が折れました。
糸井
永田さんは、こういう人たちを前にして、
どちらかと言うと、
全体をまとめにかかる立場なわけですが。
永田
そうですね、チラッと時計を見たりして。
糸井
たまには、自由にやってごらん。
永田
それ、いちばん困ります(笑)。
糸井
そんなこと言わないで、
「俺の怒り」をぶつけたらいいじゃないか!
永田
いやいや(笑)、でも話の流れで言いますと、
ゲーム雑誌の編集部に入ったことが、
ものを書くという仕事の、はじまりでした。

ですから、燃え殻さんのような人の投稿を、
採用したりボツにしたりするのが、
まずは、はじめの仕事としてあったんですよ。
燃え殻
え、すごい人‥‥。
糸井
えっと、そのときは、選ぶだけ?
永田
いえ、選んだ投稿に対して、
よりおもしろいコメントを書かなきゃとか、
そういうことを
まだ時給でやってるころから、ずっと。
糸井
じゃ、学級新聞は?
永田
書いてないです(笑)。
糸井
足が速くてモテたりとかも?
永田
足も中くらいで。
糸井
中肉中背?
永田
そうですね、背格好で言えば(笑)。
糸井
だったら永田さんは、
どうして、あんなにいっぱい書いてるの?

この人はですね、
弊社にも社員旅行とかあるじゃないですか、
そういうときに
「バスが出るのは何時だから、
 絶対に遅刻しないように」ってことを、
400字詰め原稿用紙で
えんえん、10枚くらいにわたって‥‥。
会場
(笑)
永田
ええ、社員全員に向かって。
糸井
長たらしいメールを全社員に出すんです。

「間に合う予定だったんですが、
 永田さんのメールが長くて遅れました」
っていう人まで出る始末で。
会場
(笑)
糸井
あれは、もしまだ紙を使う時代だったら、
もう、いまごろ国会の場とかで‥‥。
田中
けしからんと。環境問題だと。
燃え殻
仕分けの対象ですよね、明らかに。
糸井
そうそう(笑)。

で、ですね‥‥ここまでのトークの流れ、
大雑把に言いまして、
まったく想像通りの答えばっかりなので、
ちっともおもしろくないですね。
会場
(笑)
燃え殻
糸井さんて、厳しいですね‥‥怖い!
糸井
みなさん、もっとこう、ないんですか。

だって、こんなに文字を書く人たちなんて、
ちょっと他にいないんですよ。
君たち、もっと自分を掘り下げないか!
田中
すいません。
糸井
燃え殻さんの話には
「足の速いモテるヤツに対しての自分」
が出てきたから、
まあ、すこしはよかったんだけど、
あとの人たちは
「なんか、書いちゃうんですよねー僕」
としか言ってないじゃないか。
燃え殻
やっぱり僕は帰りたいです。帰りたい。
糸井
だってさ、何かなかったら、
あんないっぱい書かないと思うんだよ。
古賀
心に?
糸井
そう。
永田
じゃあ、そういう意味で言うと、
苦にならないというのがひとつあります。
糸井
あぁ、はいはい。キミはね。
永田
ふつうは苦になるんだと、思うくらい。
燃え殻
僕、メチャクチャ苦になりますよ。
永田
あ、そうですか?
燃え殻
え、苦にならない? え、田中さんは?
田中
僕は、夜、寝入る瞬間にツイートをして、
フワ~っと入眠して、
ハッと朝起きたらツイッターで何か言う。

だいたい、そんな感じですかね。
燃え殻
あなたは、本当にひどいですね。
田中
「文字がはみ出てる」みたいなことです。

誰にとっても、何の価値もないことを、
どうしても言いたいんです。
燃え殻
なんで? なんで? なんで?
田中
なんでやろね。でも、これが、
ただの白い壁に言うとかじゃダメなんです。
燃え殻
不特定多数の誰かに言いたいんだ。
田中
ただ僕は、ツイッターをはじめる前は、
そんなにも
何かしゃべったり書いたりする人では、
なかったんですよ、

ツイッターにしたって、
「そんなめんどくさいこと何でやるの?」
と思ってたくらいで。
古賀
え、そうなんだ。
田中
いまでは「特定少数」の
「ウザガラマー」と呼ばれている人たちに
毎日、同じように絡まれてますけど。
古賀
でもね、泰延さんのツイートを見てると、
ウザガラマーさんたちも含めて、
お客さんに優しいんですよね、やっぱり。
田中
ええ、僕はウザガラマーを愛しています。

ウザガラマーとクソリプラーの違い‥‥、
というのがありまして。
古賀
それ、ぜひお願いします。
田中
悪意のありなし。
永田
あー、なるほど。
田中
ウザガラマーは、心が洗われるくらいに
悪意のない、清らかな人たちなんです。
糸井
俺は‥‥どっち?
田中
え? い、糸井さんは‥‥。
古賀
この展開、すっごいおもしろい(笑)。
田中
糸井さんはですね、
夜中の3時台とかはウザガラマーです。

ただしですね、その時間帯になったら
返事が返してくるのって、
糸井さんだけだったりするんですけど。
糸井
もう、2人しか起きてないんだ(笑)。
<つづきます>
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