雨が心地よく感じたら、キャンプが好きになった証拠。ゼインアーツの小杉敬さんと糸井重里が夕暮れのキャンプ場で話す。
ほぼ日刊イトイ新聞

ほぼ日のキャンプブランド「yozora」の
最初のプロダクトとなるテント、
「kohaku」の予約販売がいよいよスタートします。

約1年以上をたっぷりかけたこの企画を、
「おお、いいね!」「いよいよだねぇ」と、
すこし遠巻きに応援していたのが糸井重里でした。
そう、糸井重里とキャンプの関係は微妙です。
バーベキューも釣りもおしゃべりも合宿も大好き、
だけど、テントを張って泊まった経験はない。
そんな糸井を秋のキャンプ場に呼んで、
「kohaku」をプロデュースしてくれた
ゼインアーツの小杉敬さんと話してもらいました。

なにを感じるのかなぁ、と自分で自分の反応を
たのしみにしていた糸井重里、
小杉さんとどんな話をしたのでしょうか?

第4回 キャンプのバリエーション
糸井
今日、キャンプ場に来てみて、こういった、
「アウトドアをたのしむ場」をつくる人たちが、
以前よりもずっと進化しているというか、
プロフェッショナルになったように感じます。
「このくらいの知識があれば大丈夫」
「このくらいのマナーを守ってくれれば遊べます」
という環境を先回りして、
お客さんに提供してくれているというか。
小杉
ああ、そうですね。
糸井
それは、アウトドアの業界全体を、
ひとつの産業としてしっかりやっていこう、
という意識が高まったからなんでしょうか。
小杉
先ほどお話しした、
コロナ禍やインスタがきっかけになった
というところはあるかと思います。
あともうひとつ考えられるのは、
第一次アウトドアブームのときの
ジュニア世代が入ってきて、
いまのマーケットの下支えをしている
ということがいえると思います。
世代が一巡したといいますか。
糸井
というと?
小杉
1990年代、バブルが崩壊して、
これからの日本はどうなるんだっていうときに、
アウトドアのレジャーが話題になって、
第一次アウトドアブームと呼ばれる
大きな盛り上がりが起こったんですね。
そのときのアウトドアブームを、
子ども時代に経験した人たちが、
いま、親としてこの業界を支えてるんです。
糸井
ああ、なるほど。
子どものころにキャンプやアウトドアの
たのしさを当たり前に経験している世代が。
つまり、キャンプのたいへんさや
難しさも含めて知ってるから、
自分が家族を持ったときに
ふつうにキャンプをはじめるんですね。
しかも、当時よりもいまは便利になってるから、
「いまのキャンプはこんなに簡単なのか」って、
プラスの作用も大きいんでしょうね。
小杉
そうなんです。昔を知っているので、
「もっとこうしよう」とか、
「いまはこういうこともできる」みたいな
意見やアイディアがどんどん出てきて、
それがフィードバックされて
いいものが生まれやすい状況にあるんです。
若い世代なので、チャレンジングだし、
新しいことにも抵抗がないですし。
糸井
なるほど。となると、
キャンプグッズの価格も下がってくる?
小杉
価格は、簡単にいうと、二極化しました。
じつはコロナ前までは、
値段は上がり続けていたんですよ。
誰もが買えるといえないくらいの
高価格なものが増えていって、
どちらかというとマニアックな人たちが
それを求めるようになった。
と同時に、初心者向けのものは
すごく安くなりました。
でも、値段相応に素材もチープで、
機能もあまり高くなかった。
糸井
なるほど、なるほど。
小杉
というわけで、安いか高いか、いいか悪いか、
というふうに二極化してました。
そんなときにコロナになって、
ふつうのレジャーに行けなくなったので、
短期的にキャンプブームが起きたんです。
そうなると、お客さんだけじゃなく、
大小さまざまな会社が参入してきて、
たくさんのキャンプブランドが生まれた。
ファッショナブルになりましたし、
価格面でも中間的なものが増えて、
多種多様な選択肢のなかから、
好きなものを選べるようになりました。
キャンプのやり方自体も、
バリエーションが増えましたし。
糸井
便利でファッショナブルになる一方で、
「昔ながらのキャンプがしたい」っていう人も?
小杉
あえてそういうことをしたいという方も
いらっしいますね。
ある種のカウンターカルチャーみたいな感じで、
「あえて薪割りを楽しみたい」とか、
「サバイバル的なキャンプをやってみたい」とか。
糸井
じゃあ
「おれは自分の斧がほしい」
という人もいるわけですね。
小杉
そうです(笑)。
糸井
昔だと、みんながいちおう持っておく、
スタンダード的な道具がありましたよね。
小杉
ありました、ありました。
やっぱり、サバイバル的だったんですよ。
最近は、キャンプの中でも
ジャンルがいろいろ出てきたので、
「自分はこういうキャンプがしたい」っていう
チョイスができるようになりましたね。
糸井
最初から、危ない場所には行かないような
キャンプだって選べますものね。
というか、そもそも、キャンプをするのに
危ない場所ってそんなにないのかな。
小杉
キャンプは、そこまで危ない場所はないですね。
野宿とは違って、わりと整った自然のなかで、
水場もありますし、トイレもありますし、
今日のこのキャンプ場にはシャワーもあります。
糸井
ぼくは、登山とごっちゃにしていたかもしれない。
山登りは道具が必要ですよね。
小杉
必要ですね。ところが、山の世界は、
道具をなるだけ持たずに行く、
という人が多いんですよ。
糸井
えーっ、混乱してきた(笑)。
なんでなんだろう。
小杉
山は、わりと精神性が高い世界なので、
道具に頼らずに自力で行って帰ってくる
っていうことができる人ほど、
山に慣れた強い人である、
という目で見られがちなんです。
だから、持っていく道具はなるだけ、
少なく、軽くする傾向があるんです。
道具に助けられるんじゃなくて、
自力で登って下りてくるということが
どこまでできるか、という。
糸井
それは、キャンプとはぜんぜん違いますね。
小杉
違いますね。キャンプは逆に、
道具を楽しむという要素もあるので、
むしろ道具をどんどんそろえて、
いろんなギアを試しながら、
快適な時間を過ごすことがよろこびだったり。
ただ、山登りもキャンプも、
本質的には同じだと思いますが。
糸井
「外部と接したい感じ」っていうのは、
どっちにも共通してますよね。
小杉
そうですね。
やっぱり、きれいな自然と出会いたい。
糸井
都市って、いってしまえば、
頭の中の世界がそのまま
具現化されてるみたいなものだから、
都市にいる限りは、たとえ外出しても
「内部にいる」んですよね。
小杉
内部。
糸井
街にいると、「頭の中と同じじゃないか」
と思うことがあるんですよね。
「あれ、ないかな?」と思ったら、
たいていのものは売ってたり。
コンビニがある意味、
自分の家の冷蔵庫みたいになってたり。
小杉
ああー、なるほど。
糸井
でも、自然は、ちょっと踏み込むだけでも、
想像してなかったものと出会うわけですから。
小杉
そうですね。
そういう意味では、キャンプと登山って、
違うジャンルではあるんですけど、
延長線上にあるような気がします。
糸井
ひとつの道から、
枝分かれしてるのかもしれませんね。
キャンプをはじめた人が釣りにハマったり。
小杉
ありえると思います。

(つづきます)

2024-01-20-SAT

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