黒柳 | 水中ヨガは、名高さんも弟もできなかったから、 みんなできないのかなぁと 思い直して、そのままでいたんです。 ところでわたし、 「ザ・ベストテン」という番組を 長いことやらせていただいていたんですが。 |
糸井 | はい、はい。 |
黒柳 | 夏にロケで放送したとき、たまたま プールのそばで 「今週の第1位」と言う機会がありましてね。 |
糸井 | はい(笑)。 |
黒柳 | もう久米さん(久米宏さん)はいなくて、 コニタン(小西博之さん)といっしょに 司会をしていたときです。 プールを目の前にして、ディレクターさんに 「わたし、ちょっと 水中ヨガができるみたいなんですけど」 って言ったら、 「やってみてください」 と言われまして、 ブラウスとズボンを着たまま水に入ったんです。 |
一同 | (笑) |
黒柳 | 服を着たままだと普通は重いと思うんですけど、 足をグーッと手前に引っ張って ポーズを取ったら、 すぐにできました。 コニタンって、遠泳の選手なんですって。 |
糸井 | そうなんですか。 |
黒柳 | だから、コニタンに「やってみて」って 頼んだら、すぐ下向きになって沈んだの(笑)。 誰がやっても沈んだの。 マッチ(近藤真彦さん)がやったら、 マッチも沈んだの。 |
一同 | (笑) |
黒柳 | だから、 「これはあんがいできないんじゃないの」 ということになりました。 |
糸井 | とにかく、黒柳さんしか できないわけですからね。 |
黒柳 | わたしは、やれば何時間でも やっていられるわけです。 そのまま「今週の第1位」も言えるから じゃあそうしよう、ということになりました。 |
糸井 | ええ? |
黒柳 | 水ってほんとに怖いのよ。 プールの中じゃ、着ていたブラウスのボタンが ポンポンポンって全部外れたんですから。 |
糸井 | 怖さの種類が ちょっとわからないですけど(笑)。 |
黒柳 | ボタンって、手でこうやって、 取るのもはめるのもなかなか大変でしょう? だけど、何にもしないのに、 水がどんどんどんどん外しちゃってるんだもの、 すごくありませんか。 |
糸井 | わりとこう、怖いというではなくて、 エロティックなイメージなら あるかもしれないけど‥‥。 |
黒柳 | ね? ですから、ブラウスだとダメなので、 急遽、後ろがチャックになった服を 用意してもらって、 やったんです、「今週の第1位!」 サザンオールスターズが1位でした。 |
一同 | (笑) |
黒柳 | 放送後、それを見た日本中の人が やってみたらしいんです。 やっぱり誰もできなくて、 「どうやるんですか、どうやるんですか」 って、質問がたくさん来たんですって。 |
糸井 | 「タネはどうなってるんですか?」 と、言いたいですよね。 |
黒柳 | 水泳の木原光知子さんも 放送を見たそうなんですけど、 木原さんは 「どっかに絶対浮き輪を入れてるんだろうな」 って思ったそうです。 |
糸井 | やっぱり、普通じゃ無理なんですね。 |
黒柳 | わたしはいきなりできただけだから、 みなさんに「どうするんですか」と言われても、 伝えられなくて 「できたんです」としか言えないです。 木原さんがあまりにも 「ほんとにできるの?」って言うから 木原さんの目の前でもお見せしました。 4年くらい前にも、木原さんから、 「ちょっとあれを、 みんなのいるところでやってほしい」 って言われて。 |
糸井 | 「例のあれをやってくれ」 |
黒柳 | そうなのよ、フッ(笑)、木原さんは 「ウーマンズ・スイム・フェスティバル」 というのをやってらっしゃるんですけど、 そのプールでのスターターをやらせていただいて そのあとで「例のあれ」をやることにしました。 みんな「わー」なんて言ってんだけど‥‥ ここまで話しておわかりだと思うんだけど、 その水中ヨガがすごいのは、はっきり言って、 ちっとも難しそうに見えないの。 |
糸井 | うーん‥‥見えないんでしょうね。 |
黒柳 | そんなの誰でもできるって思っちゃう。 ヨガのポーズで浮かんで 「今週の第1位」 「ウーマンズ・スイム・ フェスティバル2004!」 とか。 |
一同 | (笑) |
糸井 | まわりでどんどん沈んでいく人たちを いっしょに中継しないと、 黒柳さんのすごさが伝わらないですね。 |
黒柳 | 木原さんが「すごいんですよ」って 言ってくだすっても、 みんなは「そうか」と思うくらいでねぇ。 |
糸井 | ところで、つまり‥‥それは、 どういうことなんでしょうか? |
黒柳 | みんながね、脂肪の関係だろうとか、 お尻の関係だろうとか、いろいろ言うんだけど、 結局わからないんです。 横から見ると、わりあいお尻が水中で 下がってるんですよ。平らじゃないの。 だから余計、木原さんが 「あんなにお尻が下がってて 手足を動かさないで、 いつまでも浮いてるということはありえない、 不思議だ」 とおっしゃるんです。 小包状態ですから。 |
糸井 | なにか理由をつけたくなりますね。 |
黒柳 | 加山雄三さんってね、科学的な方なんだって。 |
糸井 | はい、はい。 |
黒柳 | 加山さん、海の人だからね。 水中ヨガの話をちょっとしたら、さすが、すぐに 「あ、それはできません」 っておっしゃった。 「あなた、細胞がちがうんだと思います」って。 |
一同 | (笑) |
黒柳 | 「細胞がちがわないとそうなりません」って、 なんだかそんなことをおっしゃいました。 こんなに誰もできないことができるのに、 わたしは、なんの商売にもならなければ、 なにも評価してもらえない。 |
一同 | (笑) |
2008-09-10-WED