その1 海あり山あり、そしていろんな食材のふるさと。
- ──
- 飯島さん、こんにちは。
いま、飯島さんが和歌山にすごく
注目していると聞きましたよ。
- 飯島
- そうなんです!
- ──
- 和歌山って、たしか、
しょうゆ、梅干しのふるさと。
金山寺味噌もそう。それから高野豆腐。
- 飯島
- そうです、鰹節もですよ。
- ──
- すごいですよね、日本の食の原点の
けっこう多くが、和歌山にある!
そもそもは、どんなご縁が?
- 飯島
- 雑誌などの取材でよく旅に同行してくださる
女性カメラマンのご両親が、和歌山の人で、
おいしいシラスとか、いただいたりしていたんです。
東京で買い求める好きなプチトマトが
和歌山のものだったりもして、
気になるなあってずっと思っていました。
そんななか、雑誌の取材で、
どこか、行きたいところはありますかと訊かれ、
「あのおいしいトマトのところに行ってみたい」
と思ったのが最初です。
そうして取材に行き、
さらに、そのカメラマンの人に
いろいろなかたを紹介してもらったりして、
何度か訪れるうち、どんどん好きになっていきました。
勝浦の漁港のせりの風景です。(撮影:飯島奈美)
せりおとされたまぐろ。(撮影:飯島奈美)
これでも不漁みたいです。(撮影:飯島奈美)
- ──
- 東京で暮らしていると、和歌山というのは
「なんとなくあのあたりだな」っていうくらいの
知識しかないひともいますよね。
ぼくも、そうでした。
- 飯島
- わたしも、そうでしたよ。
けれども梅干しとかしょうゆとか金山寺味噌だとか、
日本人にとって欠かせないものの発祥だと知り、
私にとっては、和歌山というブランドとして
意識するようになっていったんです。
しょうゆも、和歌山から分かれて、
関東ならば千葉というふうに、
いろいろ発展していくんですけど、
おおもとの和歌山自体は、
ちょっとアピールが苦手なのかもしれませんね、
あまり届いてこなかったのが、
ちょっとくやしくって。
- ──
- 海もあり、山もあり、でも意外と行きづらくて。
- 飯島
- そう。でも、交通が不便だからこそ、
残っているものもいっぱいあるんですよね。
熊野も、行くのはすごく大変なんですけど、
行ったらわかる、ほんとうに気持ちのいい
空気があるんですよ。
熊野古道(撮影:飯島奈美)
熊野古道は素朴で自然なままの感じがいいです。途中で甘夏売ってました。眺めがいい~。(撮影:飯島奈美)
- ──
- あのあたりって、何年か前に
台風で甚大な被害を受けて。
- 飯島
- そうです。それもあって、
カメラマンの人と、何か協力できたらいいね、
みたいな話をしていたら、
こういうことになったんです。
- ──
- その「こういうこと」っていうのは
具体的に何をなさっているんですか。
- 飯島
- JR西日本と自治体が組んだ
「デスティネーション・キャンペーン」
っていうのがあるんですね。
その、ことしの地域が和歌山。
http://www.wakayamadc.jp/
その一環で、わたしは、駅で売るお弁当や、
宿泊した人が食べる宿のご飯を提案しました。
お弁当は、和歌山駅に置かれたり、
バスでツアーに来る人とが注文しておくと、
お昼ご飯にお弁当として食べられたりするんですよ。
- ──
- へえ!
- 飯島
- でも、わたしのお弁当やごはんで、
人が来てくださるのか、不安で。
すごいプレッシャーなんですよ、今でも。
半年間、『ごちそうさん』もあったりして、
ちょっと違った層の方にも知ってもらえるような形になり、
できるかもしれないなっていうので、
やることにしたんですけど‥‥。
- ──
- それが、できあがったんですね。
- 飯島
- そうです!
- ──
- これは‥‥おむすび?
- 飯島
- 「めはり寿司」です。
ごはんを高菜で包んだ、
名前はお寿司ですが、おむすびに近いですね。
お店によっては高菜にだししょうゆみたいなのをつけて、
軽く握った白飯を包むところもあれば、
中に刻んだ高菜も混ぜて、それをおにぎりにしたり、
いろいろ中身は違うんですけど、
昔はもっと大きくて。
食べる時に大きな口をあけて目を見張るから、
「めはり寿司」って言うんですって。
- ──
- 目を見張るお寿司でめはり寿司。これは中は。
- 飯島
- 中は二つとも違うんですけど、
一つはシラスとぶどう山椒(青山椒)を
軽くしょうゆと煮て、ご飯に混ぜています。
そして、もう一つは、和歌山発祥である鰹節と梅干、
それをしょうゆと軽く混ぜたものです。
- ──
- このおかずは‥‥。
- 飯島
- おかずはアジフライなんですけど、
梅酢で味付けしてるんですよ。
梅酢に軽くくぐらせて下味をつけて、フライにしています。
ソースは、金山寺タルタルみたいな感じで、
マヨネーズと金山寺味噌を混ぜました。
(レシピはこちらをどうぞ!)
- ──
- 和歌山ならではの、和様折衷!
- 飯島
- そう、和歌山ならではの。
あとは「すろっぽ」っていう、
和歌山の伝統食をアレンジしたものです。
根菜と油揚げを軽く炒め煮して、
酢と味噌とお砂糖で味付けしています。
(こちらもレシピがありますよ!)
- ──
- お酢を使うということは、きんぴらともちょっと違う。
- 飯島
- ちょっとすっぱい味噌味のきんぴらみたいな。
- 飯島
- あとは、和歌山の高野豆腐や、シイタケとかレンコンを
梅干を入れたあっさりしただしで煮てみたもの。
- ──
- 見るからにおいしそうです。
これが、和歌山行ったら買えたりするんですね。
- 飯島
- そうなんです。
あと、もう1種類、
梅ちらし弁当もあるんですよ。
これは白いご飯にサバと、レンコン、ニンジンなど、
そういう野菜を一緒に、しょうゆと砂糖で煮て、
味がついたら水けを切って、酢飯と混ぜて、
梅干しと卵焼きなどをちらしています。
- ──
- ほんとうに「ちらし」ですね。
- 飯島
- そこに、生麩の照り焼き。
ぶどう山椒で焼いています。
- ──
- それから「里芋とししとうの素揚げ、金山寺味噌を添えて」
「みかんの変わりかくや」。
あ、『LIFE 副菜』にも登場した、かくや!
- 飯島
- 和歌山のみかんの皮をたっぷり入れて。
ショウガも名産なので、せん切りでたっぷり。
(レシピはこちらです!)
- ──
- 全体的に、おいしくできました?
- 飯島
- はい、できました。
- ──
- よかった!
- 飯島
- すごくよかったです。
- ──
- これが、12月の13日までの間、食べられるんですね。
- 飯島
- 食べられるんです!
中西商店、ミカンの種類てこんなにあるんですね。(撮影:飯島奈美)
2014-10-10-FRI