[南]
鶴岡八幡宮の上の方にハイキングコースみたいなのがあるんだけどね。



[糸井]
うん。

[南]
そこを昔、歩いてったらね、親父にそっくりなやつがいたんだよ。

[糸井]
‥‥伸坊の親父?

[南]
うん、オレの親父にそっくり。もう生き写し。
ホクロつけたらもうそのまんまっていうのが。

[糸井]
お地蔵さんかなんか?

[南]
うん、木像。

[糸井]
ああ、木像か。木像の親父。

[南]
うん、木像の親父。
だから、親父じゃないことはわかる。
木像だからさ。

[糸井]
伸坊の親父ってさ、昔、ブータンにもいなかったか?

[南]
ブータンにいたのはオレ。

[糸井]
あ、ブータンにいたのは自分か。

[一同]
(笑)



[糸井]
あんまり似てるんで、思わず指差したっていう。

[南]
そうそう。
あれはほんとにビックリしたね。
もう、そっくりでさ。

[糸井]
はははははは。

[南]
それでまぁ、八幡宮の上のハイキングコースに親父がいたんだよ。
鶴岡八幡宮に来るとそれを思い出すね。

[糸井]
おれは遠足かなんかで来た記憶しかないなぁ。
こう、イチョウの木のところで説明を受けてね。
「ここに誰々が隠れておりました」って。

[南]
公暁が隠れてたんだよね。

[糸井]
そうそう。
隠れてて、襲いかかって、頼朝斬殺。

[南]
んん?

[糸井]
でも、それを聞いてるのは頼朝と義経の区別もついてないような学生たち。

[南]
頼朝じゃないんじゃない?

[糸井]
え?

[南]
公暁が殺そうとしてたのは、頼朝じゃないよ。

[糸井]
たいへんだ。俺は今まで頼朝だと思ってた。

[南]
頼朝はあそこで死んでないと思うよ。
実朝とかだよ。

[糸井]
実朝か。

[南]
ん?実朝じゃないか?ナニトモだったかな‥‥

[糸井]
はっきりしてくれよ。

[南]
しかも殺されてないんじゃなかったか?

[糸井]
え? 襲われただけ?



[南]
よくわかんなくなってきたね。
ああ、呉智英がここにいたらなぁ。
こういうとき、かならず前の晩、勉強してくるから。

[糸井]
そうだね(笑)。

[南]
「キミガタは知らんだろうが‥‥」っていうのを言いたいがためにね、予習してくんだよ(笑)。

[糸井]
(笑)



(のんびりと、続きます)


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