[糸井]
今日は江ノ電にも乗るんだよね。
七里ヶ浜あたりに行くんだっけ。
[南]
あ、そうなんだ。
[糸井]
「♪七里ヶ浜の〜」って、妙に寂しい歌があったね。
[南]
はいはい、あったね。
「つーるぎとーぜしこーせんじょおー」だね。
[糸井]
そうそう、古戦場、古戦場。
で、最後は、「♪ラーラララーラー」と。
[南]
悲しくハモるんだよね。
[糸井]
そうそう、悲しい終り方をするんだよね。
[南]
わりと糸井さん、苦手なタイプの歌でしょ。
[糸井]
苦手、苦手。悲しい歌は苦手。
[南]
糸井さんは、昔から、『雪が降る町を』聴くとかなしくなっちゃうんだよ。
[一同]
(笑)
[糸井]
いやぁ、弱いんだよ。
でもね、『雪の降る町を』は、だいぶ克服した。
もういまじゃ相当強いよ。
[南]
え、そう。どうやって克服したの?
[糸井]
あのね、フィンランドの映画の中で、最後に日本人からすると名前を知らない歌手が『雪の降る町を』を朗々と歌うエンディングがあるんですよ。
[南]
へえ。日本語で?
[糸井]
まったくの日本語なんですよ。
監督は、フィンランドのアキ・カウリスマキさんで。
[南]
ああ、はい、はい、うん。
カウリスマキ。
あの人、いいよね、おもしろいよね。
[糸井]
とってもいいですよね。
で、その人の映画の最後のところで『雪の降る町を』が使われてたんで、なんていうか、謎が解けたような気がしてさ、だいぶ楽になったんだ。
[南]
どういうふうに謎が解けたの?
[糸井]
あのね、そうか、みんな、怖いんだな、寂しいんだなっていう感じで。
[南]
アキ・カウリスマキさんも、寂しいんだな、怖いなぁと思いながらそれを使ったんだろうな、と。
[糸井]
うん。だからさ、フィンランドの人にも
「これは、使わなきゃ」と思わせるような、なにかこうキュンとしたものがあるんでしょうね。
[南]
あるんだね。
[糸井]
だからあれですよね、アグネス・ラムを日本人が広告に使ったみたいなことでさ。
[南]
え?はい、はい。
[糸井]
ハワイでボインの娘がいてさ、あの子はずいぶんあれじゃないかって現地でも評判だった女の子を日本のCMで使ったら、まぁ、爆発的に人気が出たみたいな。
[南]
そっちはずいぶん明るい話じゃない。
(ゆるゆると、つづきます)
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