[南]
あと、タコっていうのは、力もあるんだよ。
タコを入れておく水槽にね、フタがしてあるんだけど、その上にブロックが4つも乗っけてあるんだ。
[糸井]
タコはね、タウリンがあるから。
[南]
うん、タウリンがね。
[糸井]
1000ミリグラム以上、あるからさ。
[南]
好きなんだね、その話が。
[糸井]
あとさ、タコはさ、強そうじゃないのに強い、というのがいいね。
「思ったより強い」わけだよ。
だって、ブロックを‥‥何個だっけ?
[南]
4個も。
[糸井]
4個も乗っけてあるんだからさ。
強いったって、1個も乗せれば大丈夫だろう、って思うけど、4個だからね。
タコは、予想よりも4倍強いわけだよ。
[南]
いや、1個だって必要ないだろうと思うよ。
フタしておけば十分だと思うもの。
[糸井]
じゃ、8倍だ。
タコは、予想よりも8倍強い!
[南]
どういう計算なんだかわかんないけど、ともかく予想以上に強い。
というか、ふつうは、フタさえ必要ないと思うよな。
[糸井]
じゃ、16倍だ!
タコは、キミが思ってる16倍くらい強いぞ!
[南]
うん。そして、足は8本だ。
[糸井]
足は予想どおり8本だ。
でも、8本って、足にしちゃ多いね。
[南]
うん、多いです。
[糸井]
イカは10本あるけど、1本1本は細いからね。
[南]
足の話で思い出した。
あのね、関川夏央が、昔出した『ソウルの練習問題』っていう本の中に書いてあった話なんだけどね、あの、ソウルでスルメを道ばたで売ってるところがあってさ。
[糸井]
うん。
[南]
それでさ、韓国人の女のコと、関川がそのへん見ながら歩いてるとさァ、おばちゃんが、売りもんのスルメの足を、こうやって、ときどきむしって食ってるんだって。
[糸井]
うん(笑)。
[南]
あれはマズイだろ‥‥と関川が言うんだよ。
スルメの足の数はきまってんだからさ。
一本へってたって商品としてキズモノじゃない。
[糸井]
ああ、そうだね。
[南]
そもそもね、韓国の人って、タコとイカをあんまり峻別してないらしいんだ。
いちおう、ことばは違うんだけど。
[糸井]
日本人ほど区別してない。
[南]
その女のコがいうには韓国の人はスルメ買っていちいち足の数、数えないってこういうわけよ。
[糸井]
うん、うん。
[南]
「でも、タコの足は8本だし、 イカの足は10本だろ?」
って、関川が食い下がるとね、その女のコがさあ。
「‥‥日本人は、またそういう細かいことを言う」
[一同]
(爆笑)
[南]
(ヒザをバシバシ叩く)
[糸井]
いいねぇ(笑)。
[南]
この話は笑ったなぁ(笑)。
[糸井]
韓国の人からすると、タコもイカも、足のいっぱいある、ぬるぬるしたものっていうことなんでしょうかね。
[南]
韓国じゃタコの足とか、ブツブツに小さく切るよね。
まァとにかく日本人は細かいなと、そう思ってるみたいですね、タコもイカも同じだろうと‥‥。
[糸井]
なるほどなぁ。
でも、同じじゃないよな。
[南]
同じじゃないよ。
タコは8本、イカは10本。
おまけにイカの2本は手なんだから。
[糸井]
あ、そうなんだっけ。
そういえばイカは2本だけ長いね。
[南]
あれは手。あとの8本が足。
[糸井]
またそういう細かいことを言う。
[一同]
(笑)
(終わりが来るのかな、この連載?)
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