[糸井]
伸坊はさ、そういう、
「原始の血が騒ぐ」みたいなことある?



[南]
う〜ん、なんだろうね‥‥。
あ、無性にマネしたくなることはあるな。

[糸井]
え? なにそれ?

[南]
たとえばね、コンサートに行くでしょ。
うちのツマが好きなもんで、ワールドミュージックみたいなジャンルのコンサートに行ったりするんだよ。

[糸井]
うん、うん。

[南]
そこで、中国の奥地のミャオ族の音楽かなんかをやってたりするわけ。
もう、も〜のすごく、月並みじゃない声。
「へ、ァアーーー!」みたいな。
それを見てるとね、
「うゎ、いますぐマネしてぇ!」って思うんだ。



[糸井]
ははははははは。
それが、「原始の血が騒ぐ」感じ?

[南]
うん。もう、見ながら、間髪入れずにマネしたいんだよね。
「いますぐだったらマネできる!」
家に帰って思い出して、じゃダメ。
「いますぐマネしたい!」って思うの。
これ、清水ミチコに言ったらすごくわかってくれましたよ。

[糸井]
あー、清水ミチコもそう思ってんだろうね。
「マネしてぇ!」って、いろんなところで。

[南]
うん、思ってるはず。
だって、絶対ウケるしさ。

[糸井]
でも、ウケようがウケまいが、マネしたいわけでしょ?

[南]
あ、そうか。なんでだろうね。

[糸井]
なんでだろうね。
雁がさ、群れを作って飛んでくみたいなことかね。

[南]
‥‥‥‥え?

[一同]
(笑)



[糸井]
つまりさ、マネするような本能がないと、一団となって飛んでいけないじゃない?

[南]
ああ、はい、はい。

[糸井]
だから、人間なんかもこう、誰かがそういう、特徴的なことをしてたら、うお、オレもオレも! っていうようなことかね。

[南]
なるほどね。そうかもね。

[糸井]
そういや、うちの犬がさ、おんなじ格好して寝るんだよ、人間と。

[南]
へえ。

[糸井]
つまり、俺がこうして寝てたら、犬もこうして寝てるわけ。
それを、かみさんが写真に撮るからあとで見て知るんだけど、どうも、同じ格好してるんだよ。



[南]
マネしてるのかね。
マネっていうか、同化しようとしてる。

[糸井]
うん、だと思うんだよね。

[南]
生き物って、そういうの、あるかもね。

[糸井]
あると思うよ。
赤ん坊だって、親のマネしていろんなことを学ぶわけでさ。

[南]
オレの場合、マネして理解したいんだろうね。

[糸井]
あ、マネすることでそれが何であるかを体得するというか。

[南]
でもって、ウケるし。

[糸井]
けっきょく、それなんじゃないのか?

[南]
そうかも(笑)。



(まだ、続くけれども、ぼちぼち)


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