[糸井]
ぼちぼち、日光だね。

[南]
そうだね。



[糸井]
わざわざ来たってことは、眠り猫だの、なんだの、見るんだろうね。

[南]
見ざるだの、言わざるだの。

[糸井]
煮ざるだの、茹でざるだの。

[南]
おだやかじゃないね。

[一同]
(笑)

[糸井]
焼きざる!

[南]
ははははは。
ほんとは、焼かざるって言うべきかな。



[糸井]
「生ざる」なんてのもあるんだろうね。

[南]
生のさるね。なまざる。

[糸井]
生ざる、煮ざる、焼きざる。

[南]
生はげ、煮はげ、焼きはげ、っていうのはどうかな。

[糸井]
ははははは。
だったらさ、「生なまはげ」からはじまったほうがいいんじゃない?

[南]
なまなまはげ?

[糸井]
生なまはげ、煮なまはげ、焼きなまはげ。

[南]
ははははは。
「焼きなまはげ」ってのはすごいね。
どっちなんだって感じだね。
かなり怖いな、それは。

[糸井]
なまはげってさ、思えばさ、子どもじゃなくても怖いよね。
「悪いごはいねがー!」なんつって突然、家に入ってきたらさ。

[南]
そうだね(笑)。

[糸井]
去年だか、一昨年だか、どこかの村のなまはげが、女湯に入ってっちゃって、女の人のおっぱいを触ったんだよね。

[南]
あ、はいはい、あったね。
精進が足りなかったんだろうね。
その場合、なまはげの「なま」は、なまぐさぼうずの「なま」だね。

[糸井]
「なまぐさなまはげ」だ。

[南]
「学名:ナマグサナマハゲ」。

[一同]
(笑)



[糸井]
実際、その、おっぱい触っちゃったなまはげは、年齢的に若いなまはげでさ。
ずいぶん、問題になったらしいよ、なまはげ界で。

[南]
「なまはげ界」(笑)。

[糸井]
いや、ほんとの話、会合が開かれてね、なまはげなりのルールをつくるべきだとか、なまはげガイドラインが必要だとか、そういう話になったらしいんだけど。

[南]
「なまはげガイドライン」(笑)。

[糸井]
いろいろ話し合った結果、ルールでしばるのはやめて、結論としては、
「なまはげの原点に戻ろう」と、そういうことになったんだって。

[南]
「なまはげの原点」(笑)。

[糸井]
そこのところは、ちょっといい話だよな。

[南]
なまはげのなまはげがいればいいんだよね。

[糸井]
え? どういうこと?

[南]
だから、つまり、
「悪いなまはげはいねがー」っていうなまはげがいれば、問題ない。



[糸井]
あ、そうだ(笑)。

[南]
ただ、うるさくてしょうがねぇな。
悪い子を探すなまはげと、悪いなまはげを探すなまはげと、二重で叫ぶことになっちゃうから。

[糸井]
ばかなこと言ってるうちに駐車場に着いたね。日光。ケッコウ。

[南]
「日光と言えば、けっこうと言うな」。

[糸井]
違うだろう。

[南]
違うよな。

[糸井]
「言うなかれ」だ。

[南]
はははは。

[糸井]
「日光を見ずして、けっこうと言うなかれ」。

[南]
もう、縮めちゃってさ、「日光と言うなかれ」。

[糸井]
もっと、どんどん縮めて「日光と言うな!」。

[南]
ははははは、「日光と言うな!」。

[糸井]
もう、子どもの言いぶんだね。
「日光って言うな!」(笑)。

[南]
はははははは。



(日光に着いたみたいですが、つづきます)


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