[南]
阿修羅像、あるでしょ? 興福寺の阿修羅像。
[糸井]
はい、はい。
[南]
なんか仏像の話してたら、うちの嫁がね、
「阿修羅像って、 タカアシガニに似てるよね」って言うんだ。
たしかに、似てるんだよ。
タカアシガニの、このさぁ、脚のところと、阿修羅像の手のこういうふうに見えるところ。
[糸井]
ああー。
[南]
細くて折れそうな筒っぽいものがさ、こう、入り組んでるあたりが。
[糸井]
あの、タカアシガニってのがちょっとよく思い浮かばないんだけど。
[南]
あ、そう?
ええとね、伊豆の方とかでとれるものすごく大きなカニなんだけどね。
軽く、1.5メートルくらいあるような。
[糸井]
1.5メートルって(笑)。
[南]
いや、ほんとに。
[糸井]
ま、とにかくデカいと。
[南]
いやいや、あのー、ほんとにそれくらいあるんだ。
[糸井]
1.5メートル?
[南]
うん。
[糸井]
カニで? それはちょっと。
[南]
いや、ほんとに。
だって‥‥いるんだから。
[一同]
(笑)
[糸井]
ま、いいか。
[南]
「ま、いいか」じゃなくてさ。
ほんとだよ。そのくらいあるよ。
お店でふつうに頼んで出てくるようなやつもこーのくらいはあるよ。
[糸井]
それ、ぜんぜん1.5メートルじゃないじゃない。
[南]
いや、だから、これは脚だよ、脚。
食べる用に、切った、脚の一部。
人間でいったら、二の腕くらいのところ。
[糸井]
でも、1.5メートルって、そうとうだよ?
[南]
胴体が1.5メートルあるって言ってるんじゃないよ?
[糸井]
もちろん、脚ごとでしょ。
[南]
脚ごと、脚ごと。
あれ? そんなにないのかな? こう、1.5メートル‥‥いや、あるよ! 1.5メートルくらいあるんだよ。
[糸井]
その脚ってさ、どうなってるの? ビターンと、こう、カニが開脚した状態を計って1.5メートルなんじゃないの?
[南]
はははははは、カニが開脚(笑)。
[糸井]
(両指をカニの脚のように ギュッと折り曲げて)
ほんとは、こういう状態で、1.5メートルあるって言いたいわけでしょ?
[南]
うん。
[糸井]
(両指をぎゅっと折り曲げて)こうと、
(両指をピーンと伸ばして)こうとでは、だいぶ、大きさが違ってくると思うよ。
でも、どっちにしろ、1.5メートルは大きいよ。
[南]
いや、あるんだよ、信じてくださいよ。
タカアシガニ、大きいんだよ。
[糸井]
全体像を見たことあるの?
[南]
全体像って、言われても‥‥。
ああ、でも、中身をくり貫いたあとの、剥製がね、飾ってあるの見た。
それは、明らかにデカい。
1.5メートルある。
[糸井]
それはさ、なんかさ、ノーマルのやつじゃなくて、ちょっとしたスターのカニなんじゃない?
[南]
え?
[糸井]
つまり、ものすごく珍しいから飾ってあるというか。
ある種のこう、巨根伝説みたいな。
[南]
はははははは。
なんで巨根伝説にいくんだよ(笑)!
[一同]
(笑)
[糸井]
ごくまれに、
「こんなデカいのもいるんですよ!」
っていう。
[南]
いや、そういう感じでもなくて‥‥。
え、ほんとに知らない? タカアシガニ?
[糸井]
なんか、深海にいるようなやつ?
[南]
そうそう、深海、深海。
というか、浅瀬にいたら怖いよ。
1.5メートルのカニが。
[糸井]
逃げまどうね、海水浴客が。
パニック映画『タカアシガニ!』だ。
おもしろいねぇー。
[南]
いや、違う、フィクションじゃないんだ。
水族館とか行ってごらんよ。
水槽、まるまる1個貸し切りで、タカアシガニがワシャーっといるからさ。
[糸井]
それも、巨根伝説だろう? めずらしいから、水族館に入れられちゃったんだろう?
[南]
ははははは。だから、どうして巨根伝説にいくんだ(笑)。
[糸井]
男根祭りみたいなもんだろう?
[南]
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