[糸井]
中学とか高校のころって、趣味のクラブ的なものに入ってた?

[南]
趣味のクラブ?

[糸井]
囲碁研究会とか、なんとかさ。



[南]
ああー、そういうの、ないですね。

[糸井]
部活そのものをやってなかったの?

[南]
ええとね、中学んときは、剣道部に入ろうと思ってた。

[糸井]
へぇ。

[南]
こう、小学生のころに、姉貴に傘を持ってってやったりするときに教室をのぞいたりするっていうと、防具かぶったりなんかして、やってるんだよ、剣道部が。
かっこいいなと思ったんだよね。

[糸井]
「痛そう」とか思わなかった?

[南]
とか思わなかったね。
ま、チャンバラの延長って感じで
「かっこいい」と思っちゃったんだろうね。
小学生だからさ。

[糸井]
でも、剣道って痛いんだよな。
叩かれるのって、防具があるところだけじゃないからね。
こういう隙間のところとか、間違って叩かれると、痛いよー。



[南]
それはね、あとで、体育の時間に剣道をやったときに知った。
どこを打たれても痛い。
ずばり、正面から面を打たれても痛いよね。

[糸井]
オレは小さいころから剣道はするもんじゃないと思ってたよ。
痛いに決まってんじゃん、と思って。

[南]
へぇ、頭のいい子どもだったんだなぁ。

[糸井]
そういうのを見抜くのは、早かったね。
「おまえら痛いぞ、それは」って思ってた。
剣道だけじゃないよ。
柔道で投げられたって痛いじゃないですか。

[南]
痛いねぇ。

[糸井]
畳の上にドーンと投げられたりしたらさ、どうやったって痛いじゃないか。

[南]
痛い、痛い。
受け身の練習っていうのをやらされたりするんだけどね、受け身とったって、痛いものは痛い。

[糸井]
剣道なんか、竹刀っていうある種の武器で打たれるわけだからね。
どう考えても、ものすごく痛いよ。

[南]
あれ、どういうわけか素人相手でも手加減せずに打ち込んでくるんだ、剣道部は。
まぁ、剣道部には入んなかったんだけど。

[糸井]
え、入んなかったの?

[南]
やりたかったんだけど、剣道部の部室さがしてウロウロしてたら、弁論部に引っ張り込まれちゃったんだよ。

[糸井]
弁論部!

[南]
こう、部室がずらりと並んでてさ、新入生はそこを訪ねていくんだけど、剣道部の部室にたどりつくまえに、どういうわけだか‥‥弁論部に。

[糸井]
くわしく聞きたいねぇ、弁論部。

[南]
はははは。



(聞きたい聞きたい。つづきます)


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