[糸井]
頭のいい人たちがパソコンにさまざまな改良を施して、どんどんパソコンが優秀になってるんだけど、それぜんぶが稼ぎ出した量よりも、洗濯機のななめ式ドラムが稼いだ量のほうがぜんぜん大きいっていう話があってさ。
[南]
いい話だねぇ。
[糸井]
いい話だろう、これは。
[南]
ホッとするね。
[糸井]
なんていうか、希望があるよね。
[南]
あるある(笑)。
[糸井]
ななめ式ドラムの洗濯機、お宅は?
[南]
ななめになってるかもよ。
[糸井]
うちもだよ。
だから、このリアリティーなんだよ。
ぼくはね、こういうことを、つねに本気で考えて生きていきたいんですよ。
「それがあってよかった」っていうことをしつこく、本気で考えてさ。
[南]
たとえば、どんなことだろうね?
[糸井]
たとえば、その、なんだ、高速道路のETCってあるじゃない?
ま、あれができて、たしかに便利にはなったけど、なんというか、パソコンの進化と似てるなと。
[南]
ほう。
[糸井]
そうじゃなくてね、ETCができるまえに、ぼくが思っていたのは、たとえば、高速道路の料金所で、機械にお金を入れようとして車を寄せても、距離感を間違えて届かなかったりするでしょ?
駐車場の料金箱とかでも。
[南]
うん。
[糸井]
そういうときに、向こうから来い、と。
[南]
向こうから?
[糸井]
うん。機械がこっちに来るべきだよ。
[南]
(笑)
[糸井]
ふだんは動かなくていいけれども、
「あ、この車は、届かないな」と思ったら、そっちからお金を取りに来いと。
[南]
お客さんからお金をもらう立場なんだから。
[糸井]
そうそう(笑)。
左ハンドルのときなんか、もう、ようこそいらっしゃいましたと言って手を握ってほしいくらい。
[南]
来い、と。
[糸井]
来い、と。
[南]
でも、あの料金箱が、そこらへんをウロウロしてても困るね。
[糸井]
ああ、街を歩いてたり。そりゃ困る。
[南]
こう、観光客にまとわりついたりして。
「高速道路はいかがですか」とか、
「安い宿を紹介しますよ」とか。
そのかわり、ここにお金を入れろと。
[糸井]
料金箱が(笑)。
[南]
料金箱が(笑)。
[糸井]
それは、払う筋合いはない。
[南]
「ノー、ノー!」だよね。
[糸井]
「ノー、ノー!」だよ。
[南]
いい料金箱もいるかもしれないけど、悪質な料金箱もいるかもしれないし。
[糸井]
うん。注意したほうがいい。
というか、そこまで歩き回らなくていい。
[南]
ははははは。
[糸井]
ただ、車が料金箱に寄り切らなかったときに、料金箱のほうから近づいてくるくらいのちょっとした工夫ができないものかなと、そういうことをずっと考えてるわけですよ。
その、ななめ式ドラムと同じようにね。
[南]
料金箱が、ちょっとななめになりゃいいんだよね。
車が来たときに。
[糸井]
あっ!
[南]
どう?
[糸井]
すごい! それはすごい!
[南]
もしかして、いいアイデアだったかな。
[糸井]
やっぱり、オレと伸坊は、ふたりで会社をやる?
[一同]
(爆笑)
[糸井]
そうだよ、料金箱がななめになればいいんだ。
[南]
ははははは。
[糸井]
そうだ、そのとおりだ!
なんて、打てば響く男なんだ。
[南]
ははははは。
[糸井]
みなさん、ここにいるのが、ぼくの昔からの友人の、南くんです。
[一同]
(拍手)
[南]
(笑顔で手を振る)
[糸井]
友を選ばば才長けて。すばらしい。歌おう。
[南]
(笑顔で手を振る)
[一同]
(拍手)
(拍手しながら、つづきます)
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