[糸井]
松島は、芭蕉さんのおっしゃるとおりでしたね。

[南]
あ、そうでしたか。

[糸井]
ええ。「岩のかたちがヘン」でした。

[南]
そうでしょう?



[糸井]
大小、さまざまな奇岩が。

[南]
(遊覧船のアナウンスを真似て)
「そのかたちがぁ、仁王様がぁ、座っているように見えることからぁ、『仁王島』とぉ、呼ばれていますぅ」。

[糸井]
そうそう(笑)。
小さい島の名前の由来を紹介するとき、ぜんぶ、そのパターンなんだよね。

[南]
「風が通るときにぃ、ゴーっという音がすることからぁ、『鐘島』とぉ、呼ばれていますぅ」。

[糸井]
「松島は」。

[南]
「岩のかたちが」。 ふたり「ヘンですね」。

[一同]
(笑)



[糸井]
あとは、カモメだね。
あの、かっぱえびせん好きのカモメ。
船をずっと追いかけてきて、かっぱえびせんを投げると空中でぱくっと食べちゃう。

[南]
おもしろいよね、あれは。

[糸井]
「船からかっぱえびせんを投げるとぉ、 つぎつぎに集まってくるところからぁ‥‥」。

[南]
「ちょうだい、ちょうだいと 言っているように思えるところからぁ‥‥」。

[糸井]
「松島のカモメはぁ、『ちょうだい鳥』ともぉ、呼ばれていますぅ」。

[南]
なんだか、ほんとっぽいね(笑)。



[糸井]
ちょうだい鳥たちが、投げられたかっぱえびせんを奪い合ってケンカすることを
「ちょうだいゲンカ(兄弟ゲンカ)」
っていうんだ。

[南]
お、そっちに行く?

[糸井]
「ちょうだいゲンカ」はやめなさい!

[南]
かっぱえびせんをひとりじめせず、食べたら、つぎのカモメにゆずることを
「ちょうだい仁義(兄弟仁義)」と。

[糸井]
いいねぇ(笑)。

[南]
「ちょうだい船(兄弟船)」
っていうのもあるかな。

[糸井]
たぶん、オレたちの乗った遊覧船そのものが。

[南]
「ちょうだい船」(笑)。



[糸井]
あと、航海する船の目印として、灯りを照らす高い塔が海辺に立ってるでしょ?

[南]
うん。

[糸井]
あれはね、「灯台」。

[南]
うん?

[糸井]
これは、ダジャレじゃない。

[南]
「ちょうだい」と「灯台」は、関係ない。

[糸井]
そう。関係ない。
ダジャレだと思われると、困るよ。

[南]
ああ、それは不本意だね。

[糸井]
のべつまくなしにダジャレを言って、ふざけてるように思われたりするからね。

[南]
それはちょっと心外だね。



[糸井]
シンガイ革命(辛亥革命)。

[南]
ははははは。

[糸井]
ダジャレだと思われるのは、シンガイ革命!

[南]
ははははははは。

[糸井]
思うソンブン(孫文)、言ってやりたい。

[南]
もう、いいんじゃないかな。

[糸井]
もう、このくらいで、いいカモメ。

[南]
それも、ダジャレじゃないんだよね?

[糸井]
ダジャレだなんて! シンガイ革命!



(‥‥‥‥つづきます)


前へ 次へ
目次へ    
友だちに教える
感想を送る
書籍版「黄昏」
ほぼ日のTOPへ