糸井 |
いろんな職業って
きっと根本のところは同じなんでしょうね。 |
日笠 |
そうそう、同じなんですよ |
糸井 |
そこのところが通じ合うから面白いんでしょうね。
だから、別の職業の人同士が会って、
意気投合できるじゃないですか。 |
日笠 |
そうです、そうです。
私、風俗嬢の人とも、すごく気が合うんですよ。 |
糸井 |
ああ、そうだろうね。 |
日笠 |
1日何人みたいな感じで時間はどうなのとか、
いろんな方が来てくださっていろいろ話してて、
すごくわかるし、「ああ、お疲れ様」って言えるし、
ああ、こういう職業をしてるけど、
すごく人の癒しにもなってるんだろうし。
「ああ、私と似てる仕事なのかもね。
ああ、そうか」って。
例えば、職業で偏見があったとしても、
「ああ、こういう人もいるんだ」っていう、
いい人たちが多いんですよ。 |
糸井 |
あらゆる職業というか運命ってね、
「そっち行っちゃダメだよ」って
言う人がいなかったら、
だれでも行く可能性があるんですよね。
だから、「ダメだよ」って言う人が強くいたら、
そっち行かなかったかもっていう人は
いっぱいいますよね。 |
日笠 |
うん。あと、でも、
レール敷かれすぎてる感じがあって。
だから、もう周りが外野がうるさくて、
本当に自分が好きなことを発見しにくくて、
自分の力で行き着けてない人が多いですよね。 |
|
|
糸井 |
うん‥‥。
じゃ、すごい弱い印象があるんだ。 |
日笠 |
だれにですか? |
糸井 |
人々に対して。 |
日笠 |
もちろんそうですよ。
みんな健気だし、傷つきやすいし、みんな弱い。
‥‥みんな弱いです。 |
糸井 |
男のお客さんはどれくらい? |
日笠 |
1割ぐらいです |
糸井 |
男の人の相談は違うんですか。全然。 |
日笠 |
いや、同じようなものですね。
でも男の人のほうが楽です、お客さまとしては。 |
糸井 |
へぇー‥‥そういうものなんですか。
僕は男のほうがなんかややこしいなといつも思ってて。 |
日笠 |
そのややこしさが、単純だから。 |
糸井 |
あらま‥‥あ、そうですか。 |
日笠 |
そう。 |
糸井 |
ややこしさが単純。
確かにね、そういえばね。 |
日笠 |
そう(笑)。 |
糸井 |
男たちを見ていると、自分が親だったら
本当に面倒臭いなと思うことがあるんです。
もうね、小学生と大人、同じだもの。 |
日笠 |
うん。みんな子どもなんですよ。
だから、人間は大人になるっていうのは
幻想だったわけです。 |
糸井 |
そのとおりだね。 |
日笠 |
だから、例えばちゃんとした社会人として
きちんとできるかどうか、っていうので
大人と呼ぶっていうのがあるかもしれないけど。 |
糸井 |
大人のようにふるまうことが
できるようになったことを、
大人っていうんだな。 |
日笠 |
‥‥て、みんな思ってるみたいだけど、
ほんとうの大人に会ったことはないですよ。
人間は大人にならないままですよ。 |
糸井 |
はい‥‥そうだと思います。そうだよなあ。
自分の魂年齢が28な感じもよくわかる。
大体の人のこと年上だと思ってるもん、俺。
年下だとよく思われてるし。 |
日笠 |
そういう人がいるのも幸せですよね。
年下になれない人もいるじゃないですか。
糸井さんは、
年上のお友達もたくさんいるし、
仲間もたくさんいるから、
バランスが取れるんですよ。
学級委員長とかお母さんばっかりじゃなくて。 |
糸井 |
バランスは取ってないとやっぱりつらいですよね。 |
日笠 |
私もだからすーごいダメな、ダメな、
「うえーん」って言ってる
グズいマーコってのもいる。
そのダメダメなグズグズの
どうしようもないマーコってのがいるから
楽なんですよね。
だから、バランスが取れてる感じがする。 |
糸井 |
そうか。相談を受けてる側にばっかり立ってると、
バランス壊れるもんね。
マーコは自分では自分のを見たりするの。 |
日笠 |
見ますよ、ときどき。
喫茶店入ったり電車の中で
本持っていくの忘れたときなんか
自分の手相を読んだりして。 |
糸井 |
「占い師」っていうと、違うんだよね。 |
日笠 |
違いますね。
私はいわゆる「占い」はしないんです。
神社でおみくじ引くか、あとは辞書占い。
どうしてもわかんないこと、
キーワードがほしいときに、
辞書をピラピララーっとやって、
エーイってやって、その言葉から
「あ、そうか」って。
それぐらいしか占いはしないです。 |
糸井 |
それもまあ、星座の動きを見るのと
同じことだよね、思えば。 |
日笠 |
うん、占いで一番面白いのはね‥‥、
よしもとばななさんが
タロットが得意っていうのも
すごくよくわかるし、
私もわりと得意だったんですけど、
トランプだとかタロットカードとか、
辞書でキーワードを、っていうときは、
なんかね、神様とセッションできてる感じがする。
なぜこの言葉なのか、このカードが出てきたのか、
見事な感じですよね。トランプでもそうだし。
「ああ、神様って本当にいるな」
って神様を確認する感じ。
「ああ、神様いらっしゃる。ああ、本当だ、
ああ、こういう偶然はないよな。
当たり前のことだよ」って、
なんかつながってる感じが
すごい嬉しいっていうことですね。 |
|
|
糸井 |
そっちの感じと、手のひらとは関係ないんですか。 |
日笠 |
それが関係あるんです。
昔、いまのようにゲームがなかった頃、
トランプで神経衰弱をしてたんだけど、
うちの神経衰弱は記憶じゃなくて、
「まずエースを4枚めくりましょう」
だったんですよ。
カードを上からこうやって透視してると、
明らかにエースとかっていうのは
エースだってわかるじゃないですか。 |
糸井 |
‥‥え? |
日笠 |
わかるんですよ。わかるんです。
本当にあれはわかるのね。
それが例えば黒のカードで
数字じゃないけどキングではないぞとか、
‥‥もう明らかにわかる。
「相」っていうのは
カードの裏側からも感じるもので、
それをずっとトレーニングしてたんです。
母が私より上手でわかってたから、
当たり前にそれをやっていたんですね。
で、ある日、手相を見たときに、
手相って全部‥‥こう、
トランプの表側なわけです。
それまで気配を読み取る訓練を散々してたから、
手相ってすっごくわかりやすいものだ!
というのがあって。 |
糸井 |
うん‥‥それは面白いな。 |
日笠 |
トランプの「気配読み」の訓練は
しておいてよかったですね。
例えばエース、最初の1、2枚は
明らかに出せるわけですよ、わかるから。
ところが、3枚目とか4枚目で、
いい気になってきたりとか、
いろんな欲が出てきたりすると、
とたんにわかんなくなる。
わかんなくなると、
もうネガティブになっちゃうと
わかるわけないわけじゃないですか、
そんなもの本当は。
だけど、調子がいいときは
明らかにわかるわけですよね。
で、わかんなくなったときに
お風呂とか入ってきれいにして、
水でも浴びて統一してパッと見れば、
明らかにまたエースがわかるわけですよね、
その「なぜわかるのか」と「わからないのか」
っていうのが昔からすごく疑問だったし、
自分のテーマになっていたから
追求してたというのがあって。 |
糸井 |
マーコなんかと全然違うんだけど、
僕なんかの中にも何ミリかそういう要素があってさ、
それがときどきポンと出てくるときがあって。
今日はマーコと話をしていてゲップが出たんですよ。 |
日笠 |
あ、いいですね。 |
糸井 |
で、なんかね、そういうときってゲップが出て、
「ああ、今日も出てるな」と思ったんだけど、
あなたの悩みが私から出たのか、
私の中のものが出たのかわからないけれど。 |
日笠 |
私のを出してもらったのかもしれない。 |
糸井 |
そういうことだってありますよね。
だから、僕は人に指圧したりしてるときに、
その最中に相手が楽になると
自分がゲップ出たりしてたんだけど、
このゲップ、謎なんだよねえ。 |
日笠 |
私ね、ゲップ出しするんですよ。
例えば自分で指圧とかしてますよね。
そうすると、生あくびと涙と、
あとゲップが止まんなくなるの。 |
糸井 |
そうですよね。 |
日笠 |
もうそれは超気持ちのいいことで。
すっごくゲップをいっぱい出すと、
そのあと邪気が取れてスーッとするの。
ゲップだしはすごく体のためにもいいですよ。 |
糸井 |
久々に今日はだからしゃべってるだけで出たから、
面白いなあと思って。
僕は(体調的には)今日はゲップするような日じゃ
なかったような気がするんで(笑)。 |
日笠 |
あ、私がお世話になっちゃったかも。 |
糸井 |
ちょっとそういうことも
ありうるかもしれないね。 |
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(つづきます。) |
2007-04-13-FRI |